
ケアマネジャーは国家資格|2026年5月22日衆院厚労委で黒田老健局長「介護保険法に規定された国家資格」と明言
2026年5月22日の衆議院厚生労働委員会で厚労省老健局の黒田秀郎局長が「ケアマネジャーは介護保険法に規定された国家資格」と改めて明言。社会的地位向上への施策継続を表明した答弁の意味と、担当件数45件拡大・更新制廃止・2027年度改定議論への波及を整理します。
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この記事のポイント
2026年5月22日の衆議院厚生労働委員会で、厚生労働省老健局の黒田秀郎局長が「ケアマネジャー(介護支援専門員)は介護保険法に規定された国家資格である」と改めて明言しました。沼崎光子議員(中道改革連合)からの質問に答えたもので、「国家資格としての法的位置付けを広く知ってもらう取り組みを引き続き進める」とも表明。担当件数の上限拡大(最大45件)や更新制廃止と並ぶ、ケアマネの社会的地位向上策の柱として位置付けられそうです。
目次
解説動画
「ケアマネジャーは国家資格ですか、それとも公的資格ですか」――この問いは、現場のケアマネが研修や採用面接の場で繰り返し向き合ってきたものです。書籍や転職サイトでも「都道府県知事資格」「公的資格」と説明されることが多く、介護福祉士のような筆記試験+登録の仕組みを持つ国家資格と並べて語られることはまれでした。
しかし2026年5月22日、衆議院厚生労働委員会で厚生労働省老健局の黒田秀郎局長は、この曖昧さに正面から答えました。沼崎光子議員(中道改革連合)の質問に対し、「ケアマネジャーは介護保険法に規定された国家資格として位置付けている」と明言。国会答弁で一貫して同じ説明をしてきたとも述べ、社会的地位向上に向けて法的位置付けの周知を続ける考えを示しました。
本稿では、黒田局長答弁の中身を正確に確認したうえで、なぜ「国家資格論争」が長年くすぶってきたのかを整理します。そのうえで、2024年度改定で実現した担当件数45件への上限拡大、2026年4月閣議決定の更新制廃止、2027年度報酬改定の論点となりつつある財務省「登録施設介護支援」議論と、今回答弁の関係性を読み解きます。
黒田老健局長「国家資格として位置付けている」答弁の中身
沼崎議員の質問と政府答弁の応酬
2026年5月22日に開かれた衆議院厚生労働委員会で、中道改革連合の沼崎光子議員はケアマネジャーの資格区分について政府見解を質した。ケアマネが医療・介護現場で果たしている役割の大きさに対し、世間一般での社会的地位や認知度が追いついていないこと、その背景に「国家資格か公的資格か」という位置付けの揺らぎがあることが質問の問題意識だった。
これに対し、答弁に立った厚生労働省老健局の黒田秀郎局長は、「ケアマネジャーは法律に規定された国家資格として位置付けている」と回答した。さらに「国会答弁でも一貫して国家資格とお答えしている」と述べ、政府として位置付けを動かしていないことを強調した。
「広く知ってもらう取り組み」を継続
黒田局長はまた、「国家資格であるという法的な位置付けも含め、皆様に広く知っていただく取り組みを引き続き進めていく」と答弁し、ケアマネの社会的地位向上に向けて周知啓発を継続する方針を明確にした。資格制度の運用論ではなく、社会への発信そのものを政府の役割と位置付けた点が特徴的だ。
黒田局長は2024年7月に老健局長に就任して以降、2026年4月10日の同委員会ではケアプランデータ連携システムの導入率が処遇改善加算の要件化を受けて28%まで急上昇していると答弁するなど、ケアマネ周りの制度説明者として国会の場に立ち続けている。今回答弁も、こうした一連の説明の延長線上に位置付けられる。
「これまで一貫」発言が示すもの
黒田局長は今回も「国会答弁でも一貫して国家資格とお答えしている」と述べた。この言い回しは、過去の国会会議録でも厚労省が「介護支援専門員は介護保険法に基づく国家資格」と説明してきたという事実を、改めて確認する意味合いを持つ。
つまり今回答弁は、政府見解を「新たに」打ち出したものではなく、長く存在していた政府の立場を、社会的認知の乏しさを問題視する議員質問にぶつけられて、改めて公の場で繰り返したという性格のものだ。それでもニュースとして大きく扱われたのは、当事者のケアマネ自身を含め「国家資格ではない」という説明が業界外で広く流通してきたからにほかならない。
なぜ「国家資格か否か」が長らく揺らいできたのか
介護保険法第7条5項・第69条の7に位置付けられた資格
そもそも介護支援専門員(ケアマネジャー)は、1997年制定の介護保険法(平成9年法律第123号)によって創設された資格である。介護保険法第7条5項は、介護支援専門員を「要介護者または要支援者からの相談に応じ、適切な居宅サービスや施設サービス等を利用できるよう、市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整等を行う者」と定義し、必要な専門的知識・技術を有する者として「第69条の7第1項の介護支援専門員証の交付を受けた者」と規定している。
受験資格の判定、実務研修受講試験、登録、介護支援専門員証の交付までを、介護保険法と関連政省令が細かく定めている構造だ。試験事務や登録事務は都道府県が担うが、制度設計そのものは国の法律で完結している。黒田局長が「法律に規定された国家資格」と語ったのは、この立法構造を指してのことだ。
「都道府県知事資格」「公的資格」と説明されてきた経緯
一方で、ケアマネは長年「国家資格ではない」と説明されてきた。理由は主に二つある。一つは、試験の実施主体が国ではなく都道府県知事であり、登録や介護支援専門員証の交付も都道府県知事が行うこと。もう一つは、介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士など、社会福祉士及び介護福祉士法など個別法に「国家試験」と明記された資格と並べたとき、ケアマネの根拠法(介護保険法)には「国家試験」という直接の文言がないことだ。
このため、転職サイトや資格情報サイトの多くは「都道府県知事資格」「公的資格」と分類し、ケアマネ自身も「介護福祉士は国家資格、ケアマネは公的資格」と理解してきた。今回の黒田答弁は、こうした業界慣行的な分類に対して、政府としての公式な立場を改めて示した点で意味を持つ。
政府答弁の「国家資格」判定は何を変えるか
政府が「国家資格」と位置付けることで法律の条文や運用が直ちに変わるわけではない。受験資格・試験事務・登録事務といった現行の仕組みはそのまま続く。変わるのは、ケアマネ自身が自らの資格をどう語れるか、そして利用者・家族・連携先の医療職が「介護保険法に基づく国家資格を持つ専門職」としてケアマネを認識できるか、という社会的承認の部分だ。
厚労省が公表する「介護支援専門員(ケアマネジャー)」の資料でも、介護支援専門員の業務は「要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識及び技術を有するもの」と位置付けられている。黒田局長の答弁は、この専門職像と「国家資格」というラベルを正面から結びつけた政府発信であり、ケアマネのキャリア発信や採用広報にも影響しうる。
社会的地位向上策と「45件拡大」「更新制廃止」の連動構造
担当件数の逓減制が一律「45件以上」に
今回答弁を「社会的地位向上策」の文脈で読み直すと、すでに動いている制度改正と連動していることが見えてくる。代表が居宅介護支援の逓減制の見直しだ。2024年度介護報酬改定では、ケアマネ1人あたりの担当件数の逓減制適用が「40件以上」から「45件以上」に緩和され、要支援者の取扱いを3分の1とカウントし、ケアプランデータ連携システムを利用して事務員を配置している場合は最大49件まで減算なしで担当できる仕組みが導入された。
これは単純に「ケアマネ1人で抱える件数の上限が増えた」という話ではなく、ICT活用と業務分担を前提に専門職としての対応力を引き上げる方針への転換である。ケアマネを介護保険制度の基幹的な担い手として位置付け直す動きであり、「国家資格としての位置付けを広く知ってもらう」という今回の方針発信と歩調が合う。
更新制廃止と研修受講義務化のセット
もう一つの大きな動きが、2026年4月3日に閣議決定された社会福祉法等改正案によるケアマネ資格の更新制廃止だ。法案は公布後1年6月以内、つまり2027年4月施行が見込まれている。更新研修を受けないと資格が失効する現行の仕組みは廃止される一方、所定の研修受講を法令で義務化し、未受講者には最長1年の業務禁止を課す。
「国家資格」としての位置付けを強調する政府答弁が、ちょうど更新制廃止法案の国会審議と同じ時期に行われていることは偶然ではない。資格の継続性を担保しつつ、研修要件は法令義務として残すという制度設計は、まさに国家資格としての枠組みに沿うものだ。担当件数拡大・更新制廃止・国家資格としての位置付け再確認が一連のパッケージとして動いている。
処遇改善2.1%加算とのつながり
2026年6月1日には、居宅介護支援に対して処遇改善2.1%相当の新加算が施行される。介護報酬全体のなかで居宅介護支援だけ処遇改善加算が認められていなかったという長年の制度上の偏りに対する是正であり、ケアマネを「介護保険制度を支える専門職」として処遇面でも他の介護職と並べて扱うという方針の現れだ。
これらの動きを総合すると、政府はケアマネについて「国家資格として明確に位置付け」「担当件数の上限を引き上げ」「更新制を廃止して継続的な業務環境を整え」「処遇改善加算で報酬面の待遇を底上げする」という4本柱で社会的地位向上を進めていると整理できる。今回の黒田答弁は、この4本柱のうち最も基礎にある資格区分の整理を、国会の場で改めて宣言したものと位置付けられる。
2027年度報酬改定と財務省「登録施設介護支援」議論への波及
「登録施設介護支援」新類型をめぐる対立構造
視点を未来に移すと、ケアマネの社会的地位は2027年度介護報酬改定の議論で再び問われることになる。財務省は2026年5月の財政制度等審議会で、住宅型有料老人ホームに付随するケアマネ事業所向けに新類型「登録施設介護支援」を設け、報酬単価を居宅介護支援より引き下げる案を提示した。同一建物内利用者中心の事業所は実務負荷が軽いという見立てだ。
これに対し日本介護支援専門員協会は2026年5月21日に反論声明を出し、同一建物減算はすでに導入され適正化されていること、追加引き下げは事業所の休廃止を加速させ要介護者のケアプラン作成体制を毀損することを指摘した。「ケアマネは国家資格を持つ専門職」という今回答弁は、こうした報酬議論の場でも「専門職としての業務評価」を求める論拠として効いてくる構図だ。
自立支援アウトカム連動報酬の論点との接続
2027年度改定に向けては、財務省サイドからケアマネ報酬への「自立支援アウトカム連動」の導入も提言されている。要介護度の改善実績などケアマネの業務成果を報酬に反映させる仕組みで、専門職としての成果責任を求める方向性だ。
「国家資格としての専門性を持つ職種」という政府の位置付けは、こうしたアウトカム連動報酬を入れる際の前提条件にもなる。専門職として明確に位置付けられているからこそ、アウトカムへの責任を制度に組み込む正当性が出てくる。今回答弁は短期的にはケアマネへのエール、中長期的には専門職責任を強化する制度議論への布石、という二重の意味を持つ。
ケアマネ転職市場と求職者への影響
転職を検討している現役ケアマネにとっても、「国家資格」としての位置付けが政府答弁で明確化された意味は小さくない。求人広告や転職エージェントの説明で「国家資格を持つ専門職」と明示しやすくなり、施設系・居宅系・地域包括・特定事業所加算事業所などでの待遇交渉でも「国家資格者としての評価」を持ち出せる根拠が増える。
処遇改善2.1%の新加算が居宅介護支援に入る2026年6月以降、報酬改善が見込めるタイミングで転職を検討するケアマネは増える。その際、自分の資格区分を「国家資格である」と社会的に堂々と説明できる環境が整いつつあることは、長期キャリア設計の選択肢を広げる材料になる。働き方診断などを通じて自分に合う職場像を整理しておくと、改定後の交渉がスムーズになるだろう。
参考資料
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まとめ
2026年5月22日の衆議院厚生労働委員会で、厚生労働省老健局の黒田秀郎局長は「ケアマネジャーは介護保険法に規定された国家資格として位置付けている」と改めて明言した。「国会答弁でも一貫して国家資格とお答えしている」と述べたうえで、「国家資格としての法的位置付けを広く知ってもらう取り組みを引き続き進める」と社会的地位向上への施策継続を表明している。
この答弁は、2024年度改定で実現した担当件数の逓減制緩和(最大45件)、2026年4月閣議決定の更新制廃止、2026年6月施行の処遇改善2.1%加算、2027年度改定に向けた財務省「登録施設介護支援」をめぐる議論と、一連のパッケージとして読むべきものだ。資格区分・業務量・継続環境・処遇の4つの軸でケアマネを「介護保険制度を支える専門職」として再定義する動きが、答弁の背後にある。現役ケアマネはもちろん、介護福祉士や看護師から将来ケアマネを目指す人にとっても、自分のキャリア選択を「国家資格を持つ専門職を目指すルート」として位置付け直す材料になる。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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