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介護職の退職金はいくら?勤続5年・10年・20年の相場と制度を解説

介護職の退職金はいくら?勤続5年・10年・20年の相場と制度を解説

介護職の退職金相場を勤続年数別に解説。5年で20〜30万円、10年で数十万〜百数十万円、25年で約407万円。社会福祉法人と民間企業の違い、退職共済制度、退職金を増やす方法まで。

ポイント

この記事のポイント

介護職の退職金は、勤続5年で約20〜30万円、10年で約数十万〜百数十万円、25年で約407万円が相場です。全産業平均(勤続20年で約1,000万円超)と比べると低めですが、社会福祉法人は独自退職共済制度に加入していることが多く、民間企業より手厚い傾向。退職金を増やすには「社会福祉法人で長く働く」「福祉医療機構の退職共済に加入している施設を選ぶ」ことが重要です。

「介護の仕事は好きだけど、他の仕事にも挑戦してみたい」「体力的にきつくなってきた」「給料をもっと上げたい」——介護職から他業種への転職を考える方は少なくありません。

介護労働安定センターの調査では、介護職の離職理由として「収入が少なかった」(14.6%)、「自分の将来の見込みが立たなかった」(13.9%)が上位に入っています。一方で、介護職で培ったスキルは他業種でも高く評価されるのをご存知でしょうか。

コミュニケーション力、観察力、忍耐力、チームワーク力、マネジメント力——介護の現場で自然と身につくこれらのスキルは、営業・接客・医療事務・福祉用具営業・人材紹介など多くの職種で活かせます。厚労省の調査では、介護業界への新規就業者のうち63.1%が介護・福祉・医療以外の業種から転職しており、逆に介護から他業種への転職も一般的になっています。

この記事では、介護職で身につく他業種でも通用する6つのスキル、介護経験を活かせる職種10選(年収目安付き)、介護業界内でのキャリアチェンジ、年代別の転職成功のコツ、転職活動の進め方、メリット・デメリット、失敗パターンと注意点まで網羅的に解説します。

介護職の退職金の相場 — 勤続年数別

介護職の退職金の勤続年数別相場のイラスト

介護職の退職金の相場を、勤続年数別・学歴別に確認しましょう。

勤続年数別の退職金相場(自己都合退職)

東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」の医療・福祉分野のモデル退職金です。

勤続年数高卒高専・短大卒大卒
5年199,000円246,000円263,000円
10年517,000円585,000円651,000円
15年800,000円870,000円985,000円
20年1,319,000円1,349,000円1,514,000円
25年1,750,000円1,800,000円1,904,000円
30年2,300,000円2,400,000円2,626,000円

5年で約20〜26万円、10年で約52〜65万円、20年で約132〜151万円が中小企業(医療・福祉)の相場です。

全産業との比較

大企業の大卒・定年退職の場合、退職金は約1,900万円(厚労省データ)。介護職は全産業と比べると大幅に少ないのが現実です。ただし上記は中小企業のデータであり、社会福祉法人の退職共済制度に加入している施設なら、これよりかなり高い退職金が期待できます(後述のシミュレーション参照)。

退職金の支給条件

多くの施設では最低勤続年数を定めています。

条件対象備考
勤続1年以上退職共済制度(福祉医療機構・中退共)加入1年から支給対象。1年未満は支給なし
勤続3年以上施設独自の退職金制度3年以上の勤続が条件のことが多い
パート・非常勤施設により異なる退職共済は常勤職員が対象。中退共はパートも加入可能な場合あり

退職金制度がある施設の割合:医療・福祉分野で約75.5%。約4分の1の施設には退職金制度がないため、入職前の確認が必須です。

退職共済制度別のシミュレーション — 基本給別の退職金早見表

実際にいくらもらえるのか、退職共済制度別の具体的なシミュレーションを見てみましょう。

社会福祉施設職員等退職手当共済(福祉医療機構)

社会福祉法人で最も一般的な制度。基本給(退職前6ヶ月の平均本俸月額)と勤続年数で退職金が決まります。

勤続年数基本給16万円基本給22万円基本給28万円基本給36万円
3年250,560円344,520円438,480円563,760円
5年417,600円574,200円730,800円939,600円
10年835,200円1,148,400円1,461,600円1,879,200円
15年1,639,680円2,254,560円2,869,440円3,689,280円
20年3,271,200円4,497,900円5,724,600円7,360,200円
25年4,072,320円5,599,440円7,126,560円9,162,720円

基本給28万円で20年勤務すれば約572万円。これは中小企業のモデル退職金(約151万円)の約3.8倍です。社会福祉法人で長く働くメリットが明確に分かります。

中小企業退職金共済(中退共)

民間企業(株式会社)がよく利用する制度。事業者が毎月掛金を支払い、退職時に中退共から直接退職金が支給されます。

掛金(月額)5年10年15年20年
5,000円約30万円約62万円約97万円約135万円
10,000円約60万円約124万円約194万円約270万円
20,000円約120万円約248万円約388万円約540万円
30,000円約180万円約372万円約582万円約810万円

中退共は掛金の額が退職金を左右します。月額5,000円なら20年で約135万円ですが、月額30,000円なら約810万円。入職時に「中退共の掛金はいくらですか?」と確認することで、将来の退職金がおおよそ分かります。

都内社会福祉法人の退職金比較

東京都社会福祉協議会の調査では、福祉医療機構と中退共の退職金を比較しています。

勤続年数福祉医療機構中退共
5年553,500円679,664円
10年1,586,250円1,414,308円
15年2,957,400円2,179,125円
20年6,048,000円2,979,926円

短期(5年以内)は中退共が有利、長期(10年以上)は福祉医療機構が有利です。勤続20年では約300万円の差が出ます。長く働く予定なら福祉医療機構加入の社会福祉法人が圧倒的に有利です。

介護職の退職金制度の種類

介護職の退職金制度の種類のイラスト

介護職の退職金制度は主に4種類あります。自分の施設がどの制度に加入しているかを知ることが、退職金を理解する第一歩です。

1. 社会福祉施設職員等退職手当共済(福祉医療機構)

社会福祉法人で最も一般的な退職金制度です。独立行政法人福祉医療機構が運営し、事業者が毎月掛金を支払い、退職時にまとめて退職金が支給されます。

  • 対象:社会福祉法人の常勤職員
  • 掛金:退職前6ヶ月の平均本俸月額をもとに計算(事業者負担。職員の給与から天引きされない)
  • 支給額:基本給×勤続月数に応じた支給率で計算
  • 特徴:勤続年数が長いほど支給率が上がるため、長期勤続者ほど有利。20年以上の勤続で支給率が大幅にアップ
  • 注意:転職すると原則リセット。同じ社会福祉法人間でも通算不可

2. 中小企業退職金共済(中退共)

民間企業(株式会社)が加入することが多い制度。厚労省所管の制度で、掛金に対して国の助成(新規加入時に1年間、掛金の1/2を助成)もあります。

  • 対象:中小企業の従業員(パートも加入可能な場合あり)
  • 掛金:月額5,000円〜30,000円の範囲で事業者が設定
  • 支給額:掛金×勤続月数+運用利息
  • 特徴:掛金が固定のため退職金の予測がしやすい。転職先も中退共加入なら通算が可能

3. 施設独自の退職金制度

大手法人では独自の退職金制度を設けているところもあります。基本給×勤続年数×係数で計算するケースが一般的です。人事考課や役職が反映される場合もあり、リーダー・主任・管理者は退職金が上乗せされることがあります。

4. 退職金制度なし

小規模の民間企業やNPO法人では、退職金制度がないケースもあります。この場合、退職金の代わりに月給に「退職金相当額」が含まれていると説明される場合もありますが、実質的に退職時にまとまった金額はもらえません。転職時は「退職金制度あり」を求人票で必ず確認しましょう。

運営母体別の退職金傾向

運営母体退職金制度手厚さ退職金の目安(20年勤続)
社会福祉法人福祉医療機構の退職共済★★★★★約500〜600万円
医療法人中退共または独自制度★★★★☆約200〜400万円
株式会社(大手)独自制度または中退共★★★☆☆約100〜300万円
株式会社(中小)なし〜中退共★★☆☆☆0〜150万円
NPO法人なしが多い★☆☆☆☆0〜数十万円

退職金を重視するなら社会福祉法人が圧倒的に有利です。同じ20年勤続でも、社会福祉法人と中小の株式会社では500万円以上の差が出る可能性があります。

退職金の計算方法 — 自分の退職金を計算してみよう

「自分の退職金はいくらになるのか」を知るために、代表的な計算方法を理解しておきましょう。自分の退職金を事前に把握しておけば、転職やライフプランの判断に役立ちます。

計算方法1:基本給ベース(最も一般的)

厚労省の「モデル就業規則」で紹介されている計算方法です。施設独自の退職金制度で多く採用されています。

勤続年数退職金の計算式基本給20万円の場合基本給25万円の場合
5年未満基本給 × 120万円25万円
5〜10年基本給 × 360万円75万円
11〜15年基本給 × 5100万円125万円
16〜20年基本給 × 7140万円175万円
21〜25年基本給 × 10200万円250万円
26〜30年基本給 × 15300万円375万円
31〜35年基本給 × 17340万円425万円
36〜40年基本給 × 20400万円500万円

基本給が5万円違うだけで、20年後の退職金は35万円、30年後は75万円の差に。基本給が高い施設を選ぶことがいかに重要か分かります。

計算方法2:退職共済制度の早見表

福祉医療機構や中退共に加入している場合は、各制度の公式サイトのシミュレーションで正確な金額を計算できます。

  • 福祉医療機構:公式サイトの「退職手当金額シミュレーション」で、基本給と勤続年数を入力するだけで退職金が分かる
  • 中退共:公式サイトの「退職金シミュレーション」で、掛金と勤続年数を入力して試算可能

いずれも無料で利用できるため、定期的に自分の退職金を確認しておくことをおすすめします。

自己都合退職 vs 会社都合退職 vs 定年退職

退職理由によっても退職金は変わります。

退職理由退職金への影響具体例
自己都合退職満額の60〜80%程度に減額転職・家庭の事情など本人の意思で退職
会社都合退職満額支給施設の閉鎖・人員整理・事業縮小
定年退職満額支給。上乗せある場合も60歳または65歳の定年到達
懲戒解雇不支給または大幅減額重大な規律違反

介護業界では自己都合退職が多いため、満額の60〜80%が実際に受け取る金額になるケースがほとんどです。定年まで勤め上げれば満額+上乗せがもらえるため、退職金を最大化するなら定年退職が理想です。

退職金の受け取り手続き

退職金を受け取るためには以下の手続きが必要です。

  1. 退職届の提出:退職日が確定する
  2. 退職金の請求書類の提出:施設から案内される書類に記入・提出
  3. 「退職所得の受給に関する申告書」の提出:これを出さないと退職金の20.42%が源泉徴収される
  4. 口座への振り込み:退職後1〜3ヶ月で支給

退職金を増やす・備える6つの方法

介護職の退職金は全産業と比べると少なめですが、働き方と制度活用で大幅に改善できます。

1. 社会福祉法人で働く

退職共済制度(福祉医療機構)が整っている確率が最も高い。基本給28万円で20年勤続なら約572万円。転職先を選ぶ際は運営母体が社会福祉法人かどうかを最初に確認しましょう。

2. 同じ施設で長く働く

退職金は勤続年数に比例して増加し、特に15年以上で支給率が大幅にアップします。転職を繰り返すと退職金はリセットされるため、長期勤続が圧倒的に有利。5年×4回の転職より、20年×1施設の方が退職金は数倍高くなります。

3. iDeCo(個人型確定拠出年金)で自分年金を作る

退職金が少ない分、iDeCoで自分で老後資金を準備する方法が効果的です。掛金は全額所得控除で節税効果も。月1万円の積立で年間約2.4万円の節税、月2万円なら約4.8万円の節税。しかも将来の年金として受け取れます。

積立額(月)20年間の積立合計運用利回り3%の場合
1万円240万円約328万円
2万円480万円約656万円

退職金が少なくても、iDeCoで月2万円を20年積み立てれば約656万円。退職金と合わせれば相当な老後資金になります。

4. NISAで資産形成

2024年から新NISAがスタート。運用益が非課税のため、退職金の少なさを補う長期投資に最適です。つみたて投資枠で月3万円を20年間積み立てれば、運用利回り5%で約1,200万円に。iDeCoとNISAを併用すれば、退職金に頼らない資産形成が可能です。

5. 入職前に退職金制度を確認する

求人票の「退職金制度あり」を確認。さらに面接で以下を質問するのも有効です。

  • 「退職共済制度に加入していますか?(福祉医療機構?中退共?)」
  • 「掛金はいくらですか?」(中退共の場合)
  • 「勤続何年から支給対象ですか?」

6. 基本給が高い施設を選ぶ

退職金は基本給をベースに計算されるため、基本給が高い施設=退職金も高い。月給が同じ30万円でも、基本給22万円の施設と基本給17万円の施設では、20年後の退職金に100万円以上の差が出る可能性があります。

他業種との退職金比較 — 介護職はどのくらい少ないのか

介護職の退職金が他業種と比べてどの程度なのか、客観的なデータで確認しましょう。

業種別の退職金相場(大卒・定年退職の場合)

業種退職金(大企業)退職金(中小企業)
全産業平均約1,900万円約700〜1,000万円
製造業約2,000万円約800万円
金融・保険業約2,200万円—
情報通信業約1,800万円約600万円
医療・福祉—(大企業が少ない)約300〜600万円
飲食・宿泊業—約200〜400万円

医療・福祉の退職金は中小企業の中では中程度。飲食・宿泊業よりは多いですが、製造業や金融業と比べると大幅に少ないのが現実です。

なぜ介護職の退職金は少ないのか

  • 介護報酬が収入の上限:介護施設の収入は介護報酬で決まるため、退職金の原資に限りがある
  • 中小規模の事業者が多い:大企業のような独自の企業年金を導入しにくい
  • 基本給が低い:退職金は基本給ベースで計算されるため、基本給が低いと退職金も低くなる
  • 転職が多い:平均勤続年数が全産業より短く、退職金が満額まで積み上がらない

ただし、2025〜2026年の処遇改善で月給自体は大幅に上昇中です。退職金は少なくても、月給ベースでは全産業平均に近づいています。「退職金の少なさ」は「月給の改善」と「iDeCo・NISAでの自助努力」で十分にカバーできます。

退職一時金 vs 退職年金 — 受け取り方の違い

退職金の受け取り方には「退職一時金」と「退職年金」の2種類があります。介護業界では退職一時金が主流ですが、違いを理解しておきましょう。

退職一時金と退職年金の比較

項目退職一時金退職年金
受け取り方退職時に一括で受け取る退職後に分割で受け取る(月額or年額)
税金の扱い退職所得として退職所得控除が適用雑所得として公的年金等控除が適用
介護業界での普及率圧倒的に多い少ない(一部の大手法人のみ)
メリットまとまった資金が手に入る。住宅ローン返済や投資に使える老後の定期収入として安心。運用のプロが管理
デメリット一度に使い切ってしまうリスクインフレに対応しにくい場合がある

介護業界の退職金の実態

厚労省の調査によると、医療・福祉分野の退職金制度は以下の割合です。

  • 退職一時金のみ:約65%(最多)
  • 退職一時金と退職年金の併用:約8%
  • 退職年金のみ:約2%
  • 退職金制度なし:約25%

介護業界では退職一時金が圧倒的に主流です。福祉医療機構の退職共済も中退共も、退職時に一括で支給される「退職一時金」の仕組みです。

退職金の使い道ランキング

退職金を受け取った場合の一般的な使い道です。

  1. 生活費への充当:転職までのブランク期間の生活費
  2. 貯蓄・投資:老後資金としてiDeCoやNISAに回す
  3. 借入金の返済:住宅ローンや車のローンの返済
  4. 資格取得の費用:ケアマネの受験勉強や実務者研修の費用
  5. 旅行・自分へのご褒美:長年の勤務への自分へのご褒美

退職金は「将来の自分への投資」として計画的に使うことが大切です。一時金で受け取ったら、すぐに全額使わず少なくとも半分は貯蓄・投資に回すことをおすすめします。

介護職のための老後資金シミュレーション

退職金だけでは老後資金が不足する可能性があるため、トータルでいくら必要かをシミュレーションしてみましょう。

老後に必要な資金の目安

総務省の家計調査によると、65歳以上の夫婦2人世帯の生活費は月約26万円。年金受給額を月約20万円とすると、毎月約6万円の不足が生じます。

項目金額
65歳以降の生活期間(仮に90歳まで)25年間
毎月の不足額約6万円
25年間の不足額合計約1,800万円

いわゆる「老後2,000万円問題」の根拠です。この不足分を退職金+自助努力で補う必要があります。

退職金+自助努力の組み合わせ例

パターン退職金iDeCo(20年)NISA(20年)合計
社福法人20年+iDeCo月2万約572万円約656万円—約1,228万円
社福法人20年+iDeCo月2万+NISA月1万約572万円約656万円約328万円約1,556万円
中小企業20年+iDeCo月2万+NISA月2万約150万円約656万円約656万円約1,462万円

社会福祉法人で20年勤務し、iDeCoに月2万円を積み立てるだけで約1,228万円。NISAも加えれば約1,556万円に。老後2,000万円に近づけることが可能です。

退職金が少なくても大丈夫

退職金制度がない施設で働いていても、iDeCoとNISAを併用すれば自力で1,300万円以上の資産を作れます。大切なのは「退職金がないから不安」で終わるのではなく、今から毎月少額でも積み立てを始めることです。月1万円からでもスタートしましょう。

年代別の推奨アクション

年代推奨アクション
20代iDeCo月5,000円+NISA月5,000円からスタート。時間が最大の味方
30代iDeCo月1〜2万円+NISA月1万円。介護福祉士を取得して基本給を上げる
40代iDeCo月2万円+NISA月2〜3万円。退職金制度がある施設への転職も検討
50代退職金のシミュレーション。不足分をNISAで補う。退職後の働き方も計画

退職金に関する注意点 — 税金・転職リセット・確認方法

退職金を受け取る際に知っておくべき注意点をまとめました。知らないと損をする項目もあるため、必ず確認してください。

退職金にかかる税金と退職所得控除

退職金には税金がかかりますが、退職所得控除という大きな優遇措置があります。長期勤続者ほど控除額が大きくなる仕組みです。

勤続年数退職所得控除額の計算式控除額
5年40万円 × 5年200万円
10年40万円 × 10年400万円
15年40万円 × 15年600万円
20年40万円 × 20年800万円
25年800万円 + 70万円 ×(25-20年)1,150万円
30年800万円 + 70万円 ×(30-20年)1,500万円

例えば勤続10年の退職金が150万円なら、控除額400万円以下のため税金ゼロ。勤続20年で退職金572万円でも、控除額800万円以下のため税金ゼロ。介護職の退職金は多くの場合控除額以下のため、ほとんどの人が非課税です。

「退職所得の受給に関する申告書」を必ず提出

退職時にこの申告書を提出しないと、退職金の20.42%が源泉徴収されてしまいます。例えば退職金150万円なら約30万円が天引きされます。申告書を提出すれば控除が適用されて税金ゼロになるため、絶対に提出しましょう。提出しなかった場合も確定申告で還付は可能ですが、手間がかかります。

転職すると退職金はリセットされる

退職金は原則として退職時にリセットされ、次の施設ではゼロからスタートです。

退職金制度転職時の通算
福祉医療機構の退職共済通算不可。同じ社会福祉法人間でもリセット
中退共通算可能(転職先も中退共加入の場合。手続き必要)
施設独自の制度通算不可

「5年×4施設(計20年)」と「20年×1施設」を比較すると、退職金は後者が数倍〜10倍以上になります。退職金を重視するなら転職は慎重に。ただし月給や待遇が大幅に改善する転職なら、退職金のリセットを差し引いてもプラスになるケースもあります。

退職金の確認方法

自分の退職金制度を確認する方法は3つあります。

  1. 就業規則をチェック:退職金制度がある場合、就業規則の退職金規程に支給条件・計算方法が記載されている。閲覧は労働者の権利
  2. 給与明細を確認:退職共済の掛金情報が記載されている場合がある
  3. 人事・総務に直接問い合わせ:「退職共済制度に加入していますか?」「自分は退職金の対象ですか?」「現時点の退職金概算額はいくらですか?」と聞く。聞くのは全く失礼ではない

退職金はいつもらえる?

退職後1〜3ヶ月程度で支給されるのが一般的です。

  • 退職共済制度の場合:施設が共済団体に退職報告→共済団体が計算→直接本人の口座に振込。手続きから約1〜2ヶ月
  • 施設独自制度の場合:最終給与と同時に支給されるケースも。規定により異なる

3ヶ月以上経っても届かない場合は元の職場に問い合わせましょう。退職共済の場合は共済団体に直接問い合わせることも可能です。

転職時の退職金チェックポイント

退職金を重視する方が転職活動で確認すべきポイントをまとめました。入職後に「退職金制度がなかった」と後悔しないために、事前の確認が重要です。

求人票でチェックすべき項目

チェック項目良い施設要注意
「退職金制度あり」の記載明記されている記載がない(制度がない可能性が高い)
運営母体社会福祉法人・医療法人株式会社(中小)・NPO法人
退職共済の種類「福祉医療機構の退職共済」と明記制度の種類が不明・記載なし
勤続年数の条件「勤続1年以上で支給」と明記「3年以上」「5年以上」(条件が厳しい)
基本給の記載基本給が明確に分かる「月給25〜35万円」のみで基本給が不明

面接で聞くべき質問

  1. 「退職金制度はどの共済に加入していますか?」——福祉医療機構か中退共かで将来の退職金が数百万円変わる
  2. 「中退共の場合、掛金月額はいくらですか?」——掛金が5,000円と30,000円では20年で675万円の差
  3. 「パート・非常勤でも退職金の対象ですか?」——パートの場合は特に確認が重要
  4. 「勤続何年から退職金が支給されますか?」——1年からか3年からかで計画が変わる
  5. 「基本給はいくらですか?(手当込みではなく)」——退職金は基本給ベースで計算されるため必ず確認

退職金について面接で質問することは全く失礼ではありません。むしろ「長期的に働く意欲がある」と好印象に受け取られることが多いです。

退職金 vs 月給のトレードオフ

「退職金が手厚い施設」と「月給が高い施設」のどちらを選ぶかは悩みどころです。以下を参考に判断しましょう。

あなたの状況おすすめの選択理由
長く働く予定がある退職金が手厚い社会福祉法人20年勤続で500万円以上の退職金が期待できる
数年で転職する可能性が高い月給・処遇改善手当が高い施設短期間では退職金の恩恵が小さい。月給で稼ぐ方が有利
どちらも重視したい社会福祉法人の大規模施設退職共済+処遇改善加算Ⅰで両方を実現
退職金制度がない施設にいるiDeCo・NISAで自助努力月2万円の積立で20年後に約656万円

理想は「社会福祉法人で処遇改善加算Ⅰを取得している大規模施設」。退職共済+高い月給+充実した手当の三拍子が揃います。

よくある質問

Q. パートでも退職金はもらえますか?

A. 施設の制度によります。福祉医療機構の退職共済は「常勤職員」が対象のことが多く、パートは対象外になるケースがあります。ただし中退共に加入している施設ではパートも加入可能な場合があるため、入職時に必ず確認しましょう。「パートでも退職金制度の対象になりますか?」と聞くことは全く失礼ではありません。施設独自の制度では「週30時間以上勤務」を条件にパートも対象としている場合があります。

Q. 転職すると退職金はどうなりますか?

A. 退職金は退職時にリセットされ、次の施設でゼロからスタートが原則です。ただし、中退共に加入している施設間の転職であれば通算できる場合があります(転職先に入職後2年以内に手続きが必要)。福祉医療機構の退職共済は原則通算不可のため、長く働くほど退職金は有利です。転職を検討する際は「退職金のリセット」と「月給アップ」のどちらが大きいかを冷静に計算しましょう。

Q. 退職金はいつもらえますか?

A. 退職後1〜3ヶ月程度で支給されるのが一般的です。退職共済制度の場合は、施設が共済団体に手続き後、直接本人の口座に振り込まれます。施設独自の制度では最終給与と同時に支給されるケースもあります。退職後3ヶ月以上経っても届かない場合は、元の職場または共済団体に問い合わせましょう。

Q. 退職金に税金はかかりますか?

A. 退職金には「退職所得控除」が適用されます。勤続20年以下なら40万円×勤続年数が控除額。例えば勤続10年なら400万円まで非課税です。介護職の退職金は多くの場合控除額以下のため、税金がかからないケースがほとんどです。退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を必ず提出しましょう。提出しないと20.42%が源泉徴収されます。

Q. 退職金制度がない施設で働いています。どうすればいい?

A. 施設に退職金制度がない場合、自分で老後資金を準備する必要があります。iDeCo(月最大23,000円、全額所得控除)やNISA(つみたて投資枠で月最大10万円)を活用しましょう。月2万円を20年積み立てるだけで約480〜656万円の資産を作れます。また、退職金制度がある施設への転職も選択肢です。

Q. 社会福祉法人なら必ず退職金制度がありますか?

A. 社会福祉法人の多くは福祉医療機構の退職共済に加入していますが、すべてではありません。入職前に「どの退職共済に加入していますか?」と確認することが大切です。求人票に「退職金制度あり」の記載があるかも必ずチェックしましょう。

Q. 退職金の代わりにiDeCoとNISA、どちらが良いですか?

A. 併用がベストです。iDeCoは掛金が全額所得控除になるため節税効果が高いですが、60歳まで引き出せません。NISAは運用益が非課税でいつでも引き出せるため柔軟性が高いです。「老後資金」としてのiDeCo+「いざという時の備え」としてのNISAという使い分けが理想的です。

Q. 退職金の額を事前に知ることはできますか?

A. 可能です。就業規則の退職金規程を確認すれば計算方法が分かります。福祉医療機構や中退共の公式サイトには退職金シミュレーションがあり、基本給と勤続年数を入力するだけで概算額が分かります。人事に直接聞いても問題ありません。

Q. 退職金は自己都合退職だとどのくらい減りますか?

A. 自己都合退職の場合、退職金は満額の60〜80%程度に減額されるケースが多いです。例えば満額100万円なら60〜80万円。ただし退職共済制度(福祉医療機構・中退共)の場合は自己都合・会社都合による減額がないか、あっても小幅です。施設独自の制度の場合に減額幅が大きくなる傾向があります。

Q. 定年は何歳ですか?定年まで働いたら退職金はどうなりますか?

A. 介護業界の定年は60歳が一般的ですが、65歳に延長している施設も増えています。定年退職は満額支給+上乗せがある場合が多く、自己都合退職より退職金が多くなります。また、60歳で定年後も嘱託やパートとして継続雇用(再雇用制度)される施設がほとんどです。70代でも現場で活躍している介護職員は珍しくありません。

参考文献・出典

  • [1]
    独立行政法人福祉医療機構 退職手当共済事業- 福祉医療機構

    社会福祉法人向け退職共済制度の概要・掛金・支給額

  • [2]
    中小企業退職金共済制度- 厚生労働省

    中退共の仕組み・掛金・退職金の計算方法

  • [3]
    令和5年就労条件総合調査- 厚生労働省

    全産業の退職金相場データ

退職金制度が整った施設で働きたい方は、まず働き方診断で社会福祉法人の求人を探しましょう。

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まとめ

この記事のポイントまとめ

テーマポイント
退職金の相場中小企業モデル:5年で約20〜26万円、20年で約132〜151万円。社福法人は3〜4倍高い
制度の種類福祉医療機構の退職共済(社福法人)、中退共(民間)、施設独自制度、制度なしの4種類
社福法人が有利基本給28万円×20年で約572万円。同条件の中退共(月1万円掛金)の約2倍
計算方法基本給ベース or 共済の早見表。自己都合退職は満額の60〜80%に減額
税金退職所得控除あり。勤続20年以下は40万円×年数。介護職の退職金は多くが非課税
他業種との比較全産業平均の約1/3〜1/5。ただし月給は処遇改善で上昇中
増やす方法社福法人で長く働く+iDeCo・NISAで自己投資。基本給が高い施設を選ぶ
老後資金退職金572万円+iDeCo656万円=約1,228万円で老後2,000万円問題に対応
転職時の注意退職金はリセットされる(中退共のみ通算可能)。求人票で退職金制度を必ず確認

介護職の退職金は全産業と比べると少なめですが、社会福祉法人の退職共済制度に加入している施設で長く働けば、勤続20年で500万円以上の退職金を受け取ることも十分に可能です。さらにiDeCoとNISAを組み合わせれば、退職金に頼らない資産形成も実現できます。

退職金を増やすコツは①社会福祉法人で働く ②同じ施設で長く勤める ③基本給が高い施設を選ぶ ④iDeCo・NISAで自分年金を補完するの4つ。転職先を選ぶ際は「退職金制度あり」を必ず確認し、長期的な資産形成も視野に入れてキャリアを設計しましょう。

退職金制度の有無は、同じ20年の勤務でも数百万円の差を生みます。「知らなかった」で損をしないよう、今すぐ自分の退職金制度を確認してみてください。

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公開日: 2026年3月21日最終更新: 2026年3月21日

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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