高齢者の骨折後の生活と回復を支える|大腿骨骨折・圧迫骨折後のリハビリと寝たきり予防
ご家族・ご利用者向け

高齢者の骨折後の生活と回復を支える|大腿骨骨折・圧迫骨折後のリハビリと寝たきり予防

高齢の家族が大腿骨骨折・圧迫骨折をしたあとの回復とリハビリ、寝たきり(廃用症候群)の予防、介護保険や福祉用具の使い方、再骨折予防までを家族目線でやさしく解説します。

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この記事のポイント

高齢のご家族が大腿骨の骨折(脚の付け根)や背骨の圧迫骨折をしたあとは、痛みが引いたかどうかよりも「どれだけ早く体を動かし始められるか」が、その後に歩けるか・寝たきりになるかを大きく分けます。大腿骨近位部骨折は手術後の翌日からリハビリを始め、回復期リハビリ病棟へ転院して1〜2か月続けるのが標準的な流れです。圧迫骨折はコルセットで固定しながら、痛みが許す範囲で早めに起き上がるのが今の主流です。安静にしすぎると1週間で筋力が1割以上落ちるため、ご家族は「入院中の介護保険申請」「退院前の住環境づくり」「二度目の骨折を防ぐ骨粗しょう症の治療」の3つを早めに動くことが、回復を支える最大のポイントになります。

目次

「転んで脚の付け根を骨折して、もう歩けないかもしれない」「背中が痛くて起き上がれず、このまま寝たきりになってしまうのでは」。高齢のご家族が骨折をしたとき、ご本人だけでなく支えるご家族も大きな不安を抱えます。

高齢者の骨折は、若い人のように「治ってもとどおり」とはいきません。骨がつくまでの時間に体が動かなくなり、その間に筋力・体力・気力が一気に落ちてしまう「廃用症候群」が、骨折そのものよりも生活を脅かします。実際、国の調査では介護が必要になった原因のおよそ1割が「骨折・転倒」とされており、骨折は寝たきりの大きな入り口です。

一方で、骨折後の経過は「治療」だけでなく「家族がいつ何を準備するか」で大きく変わります。このページでは、高齢者に多い大腿骨の骨折(大腿骨近位部骨折)と背骨の圧迫骨折(脊椎椎体骨折)について、入院から在宅復帰までの回復の流れ、寝たきりを防ぐ関わり方、介護保険や福祉用具の使い方、そして二度目の骨折を防ぐ方法までを、ご家族の目線でやさしく整理します。医療や介護の専門用語はそのつど言いかえながら、ご家庭で実際に動くための道筋をお伝えします。

高齢者に多い2つの骨折|大腿骨近位部骨折と脊椎圧迫骨折の違い

高齢者の骨折で特に注意したいのが「大腿骨近位部骨折」と「脊椎圧迫骨折」の2つです。どちらも骨がもろくなる骨粗しょう症が背景にあり、ちょっとした転倒や尻もちで起こります。回復の道すじが大きく違うため、まずそれぞれの特徴を知っておきましょう。

大腿骨近位部骨折(脚の付け根の骨折)

太ももの骨の、股関節に近い部分(脚の付け根)の骨折です。骨折した場所によって「大腿骨頚部骨折」と「大腿骨転子部骨折」に分かれます。立ち上がれない・歩けない・脚の付け根が強く痛むのが特徴で、多くは家の中での転倒がきっかけです。国の資料によると、この大腿骨近位部骨折は年間およそ20万人が発症し、高齢化でさらに増えると見込まれています。

治療は手術が基本です。折れた骨を金属で固定する「骨接合術」か、関節を人工の部品に置きかえる「人工骨頭置換術・人工股関節置換術」が、骨折の型や状態に応じて選ばれます。日本整形外科学会などの診療ガイドライン(改訂第3版・2021年)では、合併症を減らし命を守るうえでできるだけ早期の手術が望ましいとされ、国の制度でも2022年度から早期手術を後押しする加算が新設されました。手術翌日からリハビリを始めるのが今の標準です。

脊椎圧迫骨折(背骨がつぶれる骨折)

背骨を構成する四角い骨(椎体)が、上下の力でつぶれるように変形する骨折です。多くは胸とお腹の境目あたり(胸腰移行部)に起こります。尻もちだけでなく、重い物を持つ・前かがみになる・くしゃみといった日常動作でも起こることがあり、「いつのまにか骨折」と呼ばれることもあります。起き上がりや寝返りのときの強い背中・腰の痛み、身長が縮む、背中が丸くなる(円背)といった変化が代表的です。

治療は手術をしない「保存療法」が中心で、コルセットで背骨を支えながら2〜3か月かけて骨がつくのを待ちます。受傷直後の2〜4週間は骨折部が不安定なため安静が必要ですが、寝たきりを防ぐため痛みが許す範囲で早めに起き上がるのが現在の主流です。痛みが3か月以上続いたり骨がうまくつかない場合は、つぶれた骨にセメントを詰めて安定させる手術(経皮的椎体形成術・BKP)が検討されます。

骨折後の回復の流れ|急性期・回復期・維持期の3段階

骨折後の回復は、入院直後の「急性期」、本格的にリハビリを行う「回復期」、自宅や施設で続ける「維持期(生活期)」の3つの段階で進みます。それぞれの段階で目標もご家族の役割も変わります。

急性期(入院〜手術後しばらく)

大腿骨の骨折では、できるだけ早く手術を行い、翌日からベッドのまわりで体を起こす・立つといった訓練を始めます。早く動くことが肺炎や血栓、床ずれといった合併症を防ぐためです。圧迫骨折では、コルセットを作って痛みを抑えながら、寝たきりにならないよう早めに離床(ベッドから起き上がること)を目指します。この時期にご家族ができるのは、面会で声をかけて意欲を支えること、そして後述する介護保険の申請を「入院中に」始めておくことです。

回復期(リハビリ病院への転院など・1〜2か月)

大腿骨骨折では、手術した病院での入院は2週間ほどのことが多く、その後リハビリ専門の病院(回復期リハビリテーション病棟)に移って1〜2か月集中的に訓練を続ける方がほとんどです。歩く力を取り戻すための歩行訓練、関節が固まらないようにする可動域訓練、脚やお尻の筋力をつける訓練が中心になります。手術翌日からリハビリをしても、骨折前の生活レベルから1段階下がりやすい(自分で歩けていた人が杖に、杖の人が歩行器に、など)と言われており、この時期にどれだけ動けるかが将来を左右します。

維持期・生活期(退院後・自宅や施設で継続)

退院後は、通所リハビリ(デイケア)・訪問リハビリ・外来リハビリなどを使いながら、取り戻した力を維持し、再び転ばない体づくりを続けます。ゴールは「筋力をつけること」そのものではなく、トイレに行く・お風呂に入る・着替えるといった毎日の動作を自分でできるようにすることです。退院前に、自宅での動き方を想定して理学療法士に相談しておくと、必要な準備が明確になります。

家族がいつ何をするか|入院中から在宅復帰までの動き方

骨折後の回復で、ご家族が「いつ・何をするか」を時間の流れにそって整理しました。準備には時間がかかるものが多く、退院間際になって慌てないために、入院中から少しずつ動いておくのが安心です。

入院してすぐ(急性期)

  • 介護保険の要介護認定を申請する。お住まいの市区町村の介護保険窓口、または病院の医療ソーシャルワーカー(相談員)に相談します。認定が出るまで通常1か月ほどかかるため、退院後にサービスを使うなら入院中の申請が間に合わせのカギです。
  • 退院支援の担当者を確認する。多くの病院に医療ソーシャルワーカーがいて、介護保険の手続きや退院後の生活の段取りを手伝ってくれます。
  • 面会で声をかける。せん妄(入院による一時的な混乱)や意欲低下を防ぐうえで、家族の存在は大きな支えになります。

退院が見えてきたころ(回復期)

  • ケアマネジャー(介護支援専門員)を決める。認定が出たら居宅介護支援事業所のケアマネジャーがケアプランを作ります。地域包括支援センターで紹介を受けられます。
  • 住環境を整える。手すりの設置や段差の解消は介護保険の住宅改修(上限20万円・原則1割負担)が使えます。福祉用具のレンタル(歩行器・手すり・介護ベッドなど)も検討します。理学療法士が自宅を訪問して改修を提案してくれる場合もあります。
  • 退院前カンファレンスに参加する。本人・家族・医師・リハビリ職・ケアマネが集まり、自宅での過ごし方を共有する場です。トイレ・入浴・夜間など不安な場面を具体的に伝えましょう。

自宅に戻ってから(維持期・生活期)

  • 通所・訪問リハビリを生活に組み込む。動かない時間を減らすことが寝たきり予防の基本です。
  • 骨粗しょう症の治療を続ける。二度目の骨折を防ぐため、退院後も薬や定期受診を欠かさないようにします(後述)。
  • 家族だけで抱え込まない。介護負担が重いときは、デイサービスやショートステイ、訪問介護を組み合わせて、介護する側の生活も守ります。

大腿骨骨折と圧迫骨折の違い|治療・回復・注意点の比較

同じ「高齢者の骨折」でも、大腿骨近位部骨折と脊椎圧迫骨折では、治療の方法も回復のスピードもご家族の心配ごとも違います。退院後の生活を見通すために、主な違いを整理しておきましょう。

項目大腿骨近位部骨折(脚の付け根)脊椎圧迫骨折(背骨)
主な治療手術が基本(骨接合術・人工骨頭置換術など)保存療法が中心(コルセット+鎮痛薬)。難治例は手術(BKP)
動き始める時期手術翌日からリハビリ開始痛みが許す範囲で早期離床。受傷直後2〜4週は安静に注意
入院・固定の目安急性期2週間前後+回復期リハビリ1〜2か月コルセット装着2〜3か月、骨がつくまで数か月
主な後遺症・課題歩行能力の低下、生活レベルが1段階下がりやすい背中の丸まり(円背)、慢性的な腰背部痛、身長低下
とくに避けたい動作(人工関節の場合)脱臼を招く深いしゃがみ・脚の内側へのひねりなど。退院前に病院で確認を前かがみ、重い物(目安2kg以上)を持つ、体をひねる動作
共通する最大のリスク動かない時間が長引くことによる廃用症候群(筋力・体力・気力の低下)と、二度目の骨折

どちらの骨折でも、回復のカギは「安静と活動のバランス」です。骨を守るための安静は必要ですが、長すぎる安静は寝たきりへの近道になります。何をどこまで動かしてよいかは骨折の型や手術の方法によって異なるため、必ず主治医・理学療法士の指示にそって進めてください。

寝たきり(廃用症候群)を防ぐ家庭での5つの関わり

骨折後にいちばん怖いのは、骨折そのものよりも「動かない時間」が引き起こす廃用症候群です。廃用症候群とは、体を使わないことで筋力・関節・心肺機能・気力までが連鎖的に衰えていく状態をいいます。高齢者では安静臥床により1週間で筋力が10〜15%、1日あたりおよそ1.5%も低下するとされ、寝たきりに直結します。ご家庭でできる予防の関わりを整理します。

1. 起きている時間・座っている時間を増やす

許可された範囲で、日中はできるだけベッドから離れて椅子に座る、食事は起きて食べる、といった「離床」を心がけます。座るだけでも全身の機能維持につながります。

2. 関節を固めない・床ずれを作らない

長く同じ姿勢でいると関節が固まり(拘縮)、体重がかかる部分に床ずれ(褥瘡)ができます。こまめに体の向きを変える、足首を動かすなど、ベッド上でもできる小さな運動を続けます。具体的な方法は訪問看護師・理学療法士に教わると安心です。

3. しっかり食べる(低栄養を防ぐ)

リハビリで体を作り直すには、たんぱく質を中心とした栄養が欠かせません。食が細るとリハビリの効果も上がりにくくなります。むせや食欲低下が続くときは早めに相談しましょう。

4. 気持ちの落ち込みに気づく

痛みや「人に迷惑をかけている」という思いから、意欲が下がり閉じこもりがちになる方は少なくありません。声かけや小さな役割づくり、デイサービスでの交流など、心の張りを保つ工夫も立派なリハビリです。

5. もう一度転ばない環境をつくる

退院後の再転倒は再骨折に直結します。手すりの設置、段差の解消、滑りやすい場所やつまずきやすい敷物の見直し、足元を照らす夜間の照明など、住まいの安全対策を整えます。これらは介護保険の住宅改修や福祉用具で支援を受けられます。

独自分析|「二度目の骨折」を防ぐ視点が回復後の人生を守る

当サイトで国の資料や診療ガイドラインを読み解くと、ご家族が見落としがちな「二度目の骨折を防ぐ」という視点の重要性が浮かび上がります。これは多くの一般向け解説が「目の前の骨折をどう治すか」に集中しがちなのに対し、回復後の人生を守るうえで欠かせない論点です。

厚生労働省の資料によると、最初の骨折は反対側や別の部位の骨折の危険因子であり、初回骨折から再骨折までの期間は平均およそ4.28年と比較的短いことが示されています。つまり一度骨折した方は、何もしなければ数年のうちに次の骨折を起こしやすい状態にあるということです。さらに、骨粗しょう症を背景にした大腿骨骨折の患者さんは、ほかの部位の骨折や健康な同世代と比べて命の予後(その後の生存)が悪いことも指摘されています。

それにもかかわらず、国の調査では骨折後に骨粗しょう症の治療を「必ず行う」と答えた医療機関は、急性期の病院で約1割、回復期の病院でも約2割にとどまっていました。骨折を「治す」ことと、骨折の連鎖を「断つ」ことの間には、まだ大きなすき間があるのです。

このすき間を埋めるために広がっているのが、骨折リエゾンサービス(FLS)という多職種連携の仕組みです。医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士・作業療法士・医療ソーシャルワーカーなどがチームを組み、骨折後できるだけ早く(骨折後90日以内を目安に)骨密度などを評価して骨粗しょう症の薬物治療を始め、退院後3〜4か月・1年後にフォローします。日本骨粗しょう症学会などが定めたこの仕組みでは、医療から介護まで関わるすべての職種と患者・家族への情報共有が最終ステージに位置づけられており、ご家族の理解と協力が再骨折予防の一部として明確に組み込まれています。

ご家族にとっての実践は難しくありません。退院時に「骨粗しょう症の治療は始まっていますか」「次の骨折を防ぐために自宅で何に気をつければよいですか」と主治医に一言たずねること。そして処方された薬と定期受診を在宅でも続けること。この小さな確認が、数年先の「二度目の骨折」を防ぐ最も確実な一手になります。

自宅での暮らし方の工夫|転倒と再骨折を防ぐ毎日のコツ

退院後の自宅では、「もう一度転ばない・骨折部に負担をかけない」を合言葉に、毎日の動作を少し工夫するだけで安全性が大きく変わります。すぐ取り入れられる工夫を場面ごとにまとめました。

起き上がり・寝返り(とくに圧迫骨折)

仰向けからまっすぐ起き上がると背骨に負担がかかります。いったん横向きになり、手で支えながらゆっくり起き上がる方法が安全です。前かがみや体のひねりは避け、低い物を拾うときは膝を曲げて体を落とします。

歩行・移動(とくに大腿骨骨折)

退院直後は筋力も自信も落ちています。杖や歩行器は「恥ずかしいもの」ではなく転倒を防ぐ大切な道具です。足首をしっかり上げて歩く習慣をつけると、小さな段差でつまずきにくくなります。あせらず、休みながら進みましょう。

トイレ・入浴

立ち座りの多いトイレと、滑りやすい浴室は転倒が起きやすい場所です。手すりの設置、シャワーチェアや浴槽用手すりなどの福祉用具で安全を確保します。多くは介護保険で支援を受けられます。

コルセットとの付き合い方(圧迫骨折)

コルセットは医師が指示した期間(おおむね2〜3か月)正しく装着します。長時間の装着で皮膚トラブルが起きることがあるため、当たって痛い・赤くなるといった様子に気づいたら相談しましょう。自己判断で早くやめると骨がうまくつかないことがあります。

続けやすいリハビリにする

自宅での運動は、理学療法士に教わった内容を「無理のない範囲で毎日」が基本です。痛みが強い・腫れる・しびれるといった変化があれば中止して受診します。通所リハビリやデイサービスを使えば、専門職の見守りのもとで安全に続けられ、外出と交流の機会にもなります。

早めに受診したいサイン

回復の途中でも、次のような変化があるときは自己判断せず早めに主治医に相談してください。痛みが急に強くなった、脚や腰のしびれ・力の入りにくさが出てきた、手術した部分が赤く腫れて熱を持っている、発熱やだるさが続く、食事量が大きく減って体重が落ちてきた、といったサインです。とくに大腿骨の人工関節を入れた方では、脚が外れるような違和感(脱臼の前ぶれ)に注意し、避けるべき姿勢を退院前に必ず確認しておきましょう。気になる変化を「年のせい」「骨折のせい」と決めつけず、専門職に伝えることが、回復を順調に進める近道になります。

高齢者の骨折後によくある質問

Q. 高齢者が大腿骨を骨折すると、もう歩けなくなりますか?

必ずしもそうではありません。早期に手術を受け、回復期リハビリにしっかり取り組めば、再び歩けるようになる方は多くいます。ただし骨折前より生活レベルが1段階下がりやすい(自分で歩けた人が杖や歩行器に、など)傾向はあります。動かない期間を短くすることが、歩く力を取り戻す最大のポイントです。

Q. 圧迫骨折は安静にしていれば自然に治りますか?

多くは保存療法(コルセット+安静+薬)で骨がつきますが、「放置してよい」という意味ではありません。必ず整形外科で診断と治療計画を受けてください。安静にしすぎると寝たきりにつながるため、痛みが許す範囲で早めに動き始めるのが今の主流です。動いてよい範囲は必ず医師に確認しましょう。

Q. リハビリ病院(回復期リハビリ病棟)にはどれくらい入院しますか?

大腿骨骨折では、手術した病院での入院は2週間ほどのことが多く、その後リハビリ病院に転院しておおむね1〜2か月リハビリを続ける方が多いです。期間は骨折の状態や回復の進み具合によって個人差があります。

Q. 退院後の介護費用や手続きはどこに相談すればよいですか?

まずは入院先の医療ソーシャルワーカー(相談員)に相談してください。介護保険の要介護認定の申請は市区町村の介護保険窓口で行います。認定後はケアマネジャーがケアプランを作り、地域包括支援センターも身近な相談先になります。

Q. 家でできるリハビリだけで十分ですか?

自宅練習は大切ですが、それだけに頼らないことをおすすめします。通所リハビリ・訪問リハビリなど専門職が関わるリハビリと組み合わせることで、安全に、効果的に回復を進められます。無理な自己流の運動は再骨折の原因になることがあります。

Q. もう一度骨折しないためにできることは?

最大の対策は、背景にある骨粗しょう症の治療を続けることです。退院時に治療が始まっているか確認し、薬と定期受診を欠かさないようにします。あわせて、住環境の整備による転倒予防と、たんぱく質・カルシウム・ビタミンDを意識した食事が再骨折予防につながります。

参考文献・出典

まとめ|骨折後の回復を支えるために、相談先を頼って

高齢者の大腿骨骨折・圧迫骨折は、治療の成否だけでなく「骨折したあとにどう過ごすか」で回復が大きく変わります。大腿骨骨折は早期の手術と回復期リハビリで歩く力を取り戻すこと、圧迫骨折はコルセットで支えながら寝たきりにならないよう早めに動き始めることが共通のポイントです。そして、どちらの骨折でも最大の敵は「動かない時間が生む廃用症候群」と「二度目の骨折」。日中の離床・栄養・転ばない環境づくり、そして骨粗しょう症の治療継続が、回復後の暮らしを守ります。

ご家族だけで判断したり抱え込んだりする必要はありません。どこまで動いてよいか、どんなリハビリや介護サービスが合うかは、専門職と一緒に決めていくものです。迷ったときは、次の相談先を頼ってください。

  • 主治医・整形外科:動いてよい範囲、コルセットや薬の続け方、骨粗しょう症治療の有無について確認できます。
  • 理学療法士・作業療法士などのリハビリ職:自宅でのリハビリ方法、安全な起き上がり・歩き方、住環境の工夫を具体的に教われます。
  • 医療ソーシャルワーカー(入院中の相談員):介護保険の申請や退院後の生活の段取りを手伝ってくれます。
  • ケアマネジャー(介護支援専門員):退院後のケアプランづくりとサービス調整の窓口です。
  • 地域包括支援センター:お住まいの地域の高齢者の総合相談窓口です。ケアマネの紹介や介護全般の相談ができます。

気になることは早めに、遠慮なく相談しましょう。それが、ご本人の「自分らしい暮らし」と、支えるご家族の安心の両方を守ることにつながります。

監修者

介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム

医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)

看護師介護福祉士ケアマネジャー

訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。

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