骨粗しょう症とは

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症は骨密度低下で骨折しやすくなる病気で、高齢者の寝たきり原因の上位を占めます。診断基準(YAM値)・原発性/続発性・薬物療法・食事と運動・介護現場での予防対策を看護師・介護職向けに整理します。

ポイント

この記事のポイント

骨粗しょう症(こつそしょうしょう/骨粗鬆症)とは、骨の量や質が低下して骨が脆くなり、骨折しやすくなる病気です。日本国内の患者数は約1,300万人と推定され、特に閉経後の女性に多く発症します。介護保険法では「骨折を伴う骨粗しょう症」が第2号被保険者の特定疾病に指定されており、40〜64歳でも要介護認定の対象になります。

目次

骨粗しょう症とは

骨は古い骨が壊され(骨吸収)、新しい骨に置き換わる(骨形成)リモデリングを繰り返しています。加齢・閉経・生活習慣・疾患などにより骨吸収が骨形成を上回ると、骨密度と骨質が低下し、骨折しやすい状態になります。これが骨粗しょう症です。

原発性と続発性

  • 原発性骨粗しょう症:閉経後骨粗しょう症、老人性骨粗しょう症など。加齢・閉経・生活習慣が原因で全体の約9割
  • 続発性骨粗しょう症:ステロイド薬服用、糖尿病、関節リウマチ、慢性腎臓病、内分泌疾患(甲状腺機能亢進症等)が原因
  • 特発性骨粗しょう症:妊娠後骨粗しょう症など、原因が特定できないもの

診断基準(YAM値)

診断にはYAM値(Young Adult Mean:若年成人平均値)を用います。腰椎または大腿骨近位部の骨密度を二重エネルギーX線吸収法(DXA)で測定し、若年成人の平均値と比較します。

  • YAM 80%以上:正常
  • YAM 70〜80%:骨量減少(骨減少症)
  • YAM 70%未満:骨粗しょう症
  • 脆弱性骨折歴あり+YAM 80%未満:骨粗しょう症と診断

患者数と骨折リスク

日本骨粗鬆症学会の推計では、国内の骨粗しょう症患者数は約1,300万人(女性980万人、男性300万人)とされていますが、実際に治療を受けているのはその2割程度に留まり、未治療層が大きな課題となっています。

  • 男女比:女性が男性の約3倍。閉経後5〜10年で骨密度が急減
  • 好発年齢:女性は50代以降、男性は70代以降
  • 骨折の好発部位:脊椎(圧迫骨折)、大腿骨近位部、橈骨遠位端、上腕骨近位部
  • 大腿骨近位部骨折の発生件数:年間約9万件(日本整形外科学会)
  • 要介護原因:「骨折・転倒」は要介護原因の第3位(2022年国民生活基礎調査、13.9%)

脊椎圧迫骨折は気づかれずに進行する「いつのまにか骨折」が多く、身長低下(4cm以上)や腰背部痛のサインで疑われます。介護現場では、入居者・利用者の身長変化や姿勢(円背:えんぱい)、軽微な転倒後の腰痛を見逃さない観察が重要です。

骨粗しょう症の薬物療法

分類主な薬剤作用投与方法
骨吸収抑制薬ビスホスホネート(アレンドロン酸 等)破骨細胞を抑制週1回・月1回内服/月1回点滴
骨吸収抑制薬デノスマブ(プラリア®)RANKL阻害6か月に1回皮下注射
骨吸収抑制薬SERM(ラロキシフェン 等)女性ホルモン様作用毎日内服
骨形成促進薬テリパラチド(フォルテオ®等)骨芽細胞を活性化毎日/週2回皮下注射(最大2年)
骨形成促進薬ロモソズマブ(イベニティ®)骨形成促進+骨吸収抑制月1回皮下注射(最大1年)
骨補強活性型ビタミンD3、ビタミンK2カルシウム吸収・骨基質形成毎日内服

看護職・介護職は服薬管理を支援します。ビスホスホネートは「起床直後にコップ1杯の水で服用、服薬後30分は横にならない」という特殊な服薬指導が必要で、誤嚥や食道炎を起こさないようにルーチン化します。デノスマブやロモソズマブは投与中断で骨折リスクが急増するため、訪問看護や外来との連携で投与忘れを防ぎます。

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食事・運動・転倒予防

食事療法

骨をつくる栄養素をバランスよく摂ります。介護現場の食事提供でも意識します。

  • カルシウム:1日推奨量700〜800mg(牛乳・小魚・小松菜・豆腐)
  • ビタミンD:1日推奨量10〜20μg(鮭・サンマ・きのこ+日光浴)
  • ビタミンK:納豆・緑黄色野菜(ワーファリン服用者は要注意)
  • タンパク質:1日体重1kg当たり1.0〜1.2g。低栄養は骨量低下を加速
  • 避けるべき習慣:過度な飲酒、喫煙、過剰なリン(加工食品)・塩分・カフェイン

運動療法

骨に荷重をかける運動が効果的です。寝たきり予防の観点でも重要です。

  • ウォーキング(1日30分・週3回以上)
  • 片脚立ち(左右1分ずつ・1日3回)— ロコモ予防にも有効
  • スクワット(10回・1日3セット)
  • 軽度の筋力訓練・ストレッチ(デイサービスでの集団体操含む)

転倒予防の環境整備

骨密度低下があっても、転ばなければ骨折は防げます。

  • 居室・廊下・トイレに手すり設置
  • 夜間照明・センサーライト
  • 滑りにくい靴下・室内履き
  • ベッド高さの調整(足底全面が床につく高さ)
  • 段差解消、コードや敷物の整理

介護保険の特定疾病としての扱い

「骨折を伴う骨粗しょう症」は介護保険法で定める16種類の特定疾病のひとつで、第2号被保険者(40〜64歳)でも要介護認定を申請できます。具体的なフローは以下のとおりです。

  1. 受傷・診断:脊椎圧迫骨折、大腿骨近位部骨折等を契機に診断される
  2. 主治医意見書:かかりつけ医が「骨折を伴う骨粗しょう症」と記載
  3. 市区町村窓口で申請:要介護認定を申請(保険証提示)
  4. 認定調査・審査会:認定調査員の聞き取り・主治医意見書をもとに判定
  5. サービス開始:ケアマネジャーがケアプラン作成、訪問介護・通所リハ・福祉用具レンタル開始

看護職・ケアマネは、骨折で入院した患者の退院支援時に、特定疾病該当を見落とさないよう確認します。拘縮廃用症候群を防ぐ視点でも早期のサービス導入が重要です。

よくある質問

Q1. 骨密度検査はどこで受けられますか?

整形外科・内科・産婦人科で受けられます。市区町村の骨粗しょう症検診では、40〜70歳の女性を対象に5歳刻みで無料または低額で実施しています。介護施設では入所時にスクリーニングする運用も増えています。

Q2. 男性も骨粗しょう症になりますか?

なります。男性の患者数は約300万人(推計)で、加齢・ステロイド服用・糖尿病・男性ホルモン低下が原因となります。70代以降は男性も骨折リスクが上がるため、検診の対象に含めるべきです。

Q3. 骨粗しょう症の治療はいつまで続けますか?

原則として長期継続が必要です。ビスホスホネートは3〜5年で休薬を検討する場合がありますが、デノスマブやテリパラチドは中断すると骨折リスクが急増するため、医師の判断なく自己中断しないよう支援します。

Q4. 介護現場で「いつのまにか骨折」を見抜くサインは?

身長低下(若い頃より4cm以上低下)、急に出現した腰背部痛、円背の進行、立ち上がり時の腰の痛み、寝返りで痛がる、などです。これらが見られたら整形外科受診を勧めます。

Q5. ビスホスホネート服用時の歯科治療で気をつけることは?

顎骨壊死のリスクがあるため、抜歯やインプラント等の侵襲的歯科処置の前に主治医・歯科医に服薬を申告します。施設では服薬リストを歯科訪問診療チームと共有します。

まとめ

骨粗しょう症は、骨密度と骨質の低下により骨折しやすくなる病気で、推定患者数は1,300万人。要介護原因の上位を占めるため、早期診断(YAM値・DXA)と継続的な薬物療法、食事・運動・転倒予防の三本柱が欠かせません。介護保険の特定疾病に「骨折を伴う骨粗しょう症」が含まれており、40〜64歳でもサービス利用が可能です。看護職・介護職は服薬管理と環境整備で寝たきり予防を支えます。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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