高齢者の肌の乾燥・かゆみ(老人性乾皮症)を防ぐ家庭のスキンケア
ご家族・ご利用者向け

高齢者の肌の乾燥・かゆみ(老人性乾皮症)を防ぐ家庭のスキンケア

高齢のご家族の肌の乾燥・かゆみ(老人性乾皮症・皮脂欠乏性湿疹)を防ぐ家庭のスキンケアを、日本皮膚科学会の手引きをもとにやさしく解説。保湿のタイミング、ぬるめの入浴、洗いすぎを防ぐコツ、皮膚科やかかりつけ医・訪問看護に相談する目安までまとめます。

ポイント

この記事のポイント

高齢者の肌の乾燥・かゆみは「老人性乾皮症(ろうじんせいかんぴしょう)」と呼ばれ、加齢で皮脂や水分を保つ力が衰えて起こります。高齢者の7割以上に見られるありふれた状態で、すねや背中、冬の時期に出やすいのが特徴です。家庭でできる予防の基本は、入浴後5分以内のこまめな保湿、ぬるめ(38〜40度)の入浴、ナイロンタオルでこすらず泡でやさしく洗うことの3つです。掻きこわして赤い湿疹(皮脂欠乏性湿疹)になったり、保湿しても治まらないかゆみは、皮膚科やかかりつけ医・訪問看護に相談しましょう。

目次

「冬になると親の足が粉をふいたように白くなる」「夜になると体をかきむしっていて、見ていてつらい」。高齢のご家族を介護していると、肌の乾燥やかゆみの相談はとても多く聞かれます。年齢を重ねた肌は、若いころのようにうるおいを保てなくなり、ちょっとした刺激でもかゆくなったり傷ついたりしやすくなります。かゆみは本人にとって大きなストレスで、夜眠れない、集中できない、掻きこわして傷ができるなど、生活の質を下げる原因にもなります。

うれしいことに、高齢者の肌の乾燥・かゆみの多くは、家庭の毎日のケアでかなり防いだり、やわらげたりできます。特別な道具や費用はほとんど必要なく、保湿の習慣と入浴・洗い方を少し見直すだけで、本人の快適さは大きく変わります。介護するご家族にとっても、毎日のケアの中で無理なく取り入れられる内容です。

この記事では、高齢者の肌の乾燥・かゆみ(老人性乾皮症)がなぜ起こるのか、家庭で毎日できるスキンケアのコツ、そして「これは家庭のケアでは難しい」と判断して皮膚科やかかりつけ医、訪問看護に相談する目安を、日本皮膚科学会の「皮脂欠乏症診療の手引き」などの公的な情報をもとに、やさしくまとめます。診断や薬の使い方は専門家の役割ですので、ここではご家庭でできる範囲のケアと、相談のタイミングを中心にお伝えします。気になる症状があるときは、この記事だけで判断せず、必ず医療職に相談してください。

老人性乾皮症とは|高齢者の肌の乾燥とかゆみ

老人性乾皮症(ろうじんせいかんぴしょう)とは、加齢にともなって皮脂や汗の分泌が減り、皮膚のいちばん外側にある角層(かくそう)が水分を保てなくなって、肌が乾燥した状態をいいます。医学的には「皮脂欠乏症(ひしけつぼうしょう)」とほぼ同じ意味で使われます。皮膚の表面が光沢を失ってカサカサになり、白い粉をふいたような細かいフケ状のはがれ(鱗屑:りんせつ)や、浅いひび割れ、かゆみが見られるのが特徴です(日本皮膚科学会「皮脂欠乏症診療の手引き2021」)。

なぜ年齢を重ねると乾燥するのか

健康な肌は、(1)皮膚の細胞のすき間を満たす「角質細胞間脂質(セラミドなど)」、(2)水分を抱え込む「天然保湿因子」、(3)表面をおおって水分の蒸発を防ぐ「皮脂」、という3つの仕組みでうるおいを守っています。ところが、これらは加齢とともに少しずつ減っていきます。そのため高齢の方の肌は、若い人に比べて水分を保ちにくく、乾燥が進みやすいのです。バリア機能が弱まると、水分が逃げるだけでなく、外からの刺激や細菌も入り込みやすくなり、かゆみや炎症につながります。

加齢以外に乾燥を強める原因

乾燥は年齢だけが原因ではありません。日本皮膚科学会の手引きでは、乾燥を強める要因として、(1)冬の外気や暖房による室内の低い湿度などの環境要因、(2)熱いお湯での長湯や、洗浄力の強い石けん・こすり洗いといった不適切なスキンケア、(3)糖尿病や腎臓・肝臓の病気、抗がん剤治療などの影響、が挙げられています。つまり、毎日の入浴や洗い方を少し見直すだけでも、乾燥を和らげられる余地が大きいということです。

どのくらいの人に起こるのか

皮膚の乾燥はとても身近なトラブルです。日本皮膚科学会の手引きでは、高齢者の7割以上で皮膚の乾燥が認められるという報告が紹介されています。高齢者施設では入居者の9割以上に乾燥やかゆみが見られるという指摘もあり、年齢を重ねれば誰にでも起こりうる、ごくありふれた状態だと考えてよいでしょう。「年のせいだから仕方ない」とあきらめず、適切なケアで快適さを大きく改善できます。

出やすい場所と季節

とくに乾燥が出やすいのは、皮脂腺が少ないすね(下腿の外側)です。日本皮膚科学会の手引きでも、生理的な乾燥の好発部位は両下肢の伸側(すねの外側)とされています。続いて背中や腕にも見られます。顔や脇など皮脂や汗の多い場所には出にくいのが特徴です。季節では、空気が乾く冬に悪化しやすく、暖房で室内の湿度が下がるとさらに進みます。「冬になると毎年すねがかゆくなる」という訴えは、老人性乾皮症の典型的なサインです。

放っておくとどうなる?乾燥から湿疹への進み方

乾燥した肌をそのままにすると、かゆみで掻いてしまい、掻くことで皮膚がさらに傷ついて炎症(赤み・湿疹)に進む、という悪循環に陥ることがあります。この「かゆい→掻く→傷つく→もっとかゆい」のくり返しが、高齢者の肌トラブルが長引く大きな原因です。家庭で様子を見るうえで、いまどの段階にあるかを知っておくと、相談のタイミングをつかみやすくなります。

段階の目安

  • 第1段階(乾燥のはじまり):肌がカサカサし、白い粉をふいたように見える。軽いかゆみがある。→ 家庭の保湿ケアで改善が期待できる段階です。
  • 第2段階(乾皮症):細かいフケ状のはがれや浅いひび割れが目立つ。掻いたあと(掻破痕)が見られる。すねや背中に広がる。高齢者では掻いた部分に紫色のあざ(紫斑)が出ることもあります。→ 保湿を徹底し、改善しなければ相談を検討します。
  • 第3段階(皮脂欠乏性湿疹):赤み(紅斑)やジュクジュク、強いかゆみが出る。かさぶたや色素沈着が残る。さらに進むと、コインのような形の湿疹(貨幣状湿疹)に広がることもあります。→ 日本皮膚科学会の手引きでも、この段階になるとステロイド外用薬などによる治療が必要とされています。家庭の保湿だけでは治まりにくいため、受診を考える段階です。

第3段階の「赤み・ジュクジュク・掻きこわし」は、家庭のスキンケアの限界を示すサインです。次の章からの予防ケアは第1〜2段階の進行を止めるのが目的で、第3段階に進んでいる場合は早めに皮膚科やかかりつけ医に相談してください。掻きこわした傷から細菌が入ると、とびひ(伝染性膿痂疹)などの感染を起こすこともあるため、早めの対応が安心です。

家庭でできる保湿のコツ|タイミング・量・塗り方

乾燥肌のケアでいちばん大切なのは「保湿」です。減ってしまった皮脂やうるおいを外から補い、肌を刺激から守ります。むずかしい技術はいりません。タイミングと量、塗り方の3つを押さえるだけで効果が大きく変わります。

1. タイミング:入浴後5分以内が勝負

入浴後の肌は水分を多く含んでいますが、そのまま放っておくと急速に乾いていきます。水分が逃げる前にフタをするイメージで、入浴後5分以内を目安に保湿剤を塗りましょう。複数の皮膚科や日本皮膚科学会の手引きでも、入浴後は角層から水分が逃げやすいため早めの保湿がすすめられています。朝と夜の1日2回塗ると、より乾燥しにくくなります。日中、すねや手が乾いてつっぱると感じたときに塗り足すのも効果的です。回数を増やしても保湿剤による大きな副作用は心配いりません。

2. 量:肌が軽くテカる程度をたっぷりと

保湿剤は「少なすぎ」が失敗のもとです。すり込むのではなく、肌の表面が軽くテカって見える程度を目安に、たっぷりとのせます。ティッシュを肌にあてて軽く貼りつくくらいが十分な量の目安です。すねや腕など広い場所は、ケチらずに使いましょう。少量を薄くのばすだけでは、乾燥を防ぎきれません。

3. 塗り方:こすらず、毛の流れに沿って

手のひらで温めてから、毛の流れに沿ってやさしく押さえるように広げます。ゴシゴシすり込むと、かえって肌を傷つけてかゆみを強めてしまいます。介護でご家族が塗ってあげる場合、本人が手の届きにくい背中・すね・かかとは塗り残しやすいので、意識して塗ってあげてください。塗ったあと、白く粉をふいていた部分がしっとり落ち着いていれば、量と塗り方は十分です。

保湿剤はどれを選べばいい?

市販の保湿剤でも十分にケアできます。ワセリンのように油分でフタをするタイプ、ヘパリン類似物質やセラミド配合の水分を抱えるタイプなどがあります。夏はさらっとしたローション、冬はこっくりしたクリームやワセリン、というように季節で使い分けると快適です。使い心地がよく、カサカサ感がとれるものを続けるのがいちばんです。日本皮膚科学会の手引きでも、軽い乾燥には医療用にこだわらず、市販の保湿剤や医薬部外品を使いながら生活面を整えることが大切とされています。ただし、強いかゆみや湿疹がある場合は市販品だけで対応せず、薬剤師に相談するか皮膚科を受診しましょう。具体的な薬の選択や、ステロイド外用薬が必要かどうかは医師・薬剤師の判断にゆだねてください。

入浴・洗い方で乾燥を悪化させないポイント

毎日の入浴は気持ちよいものですが、やり方しだいで乾燥を進めてしまいます。次のポイントを意識するだけで、肌への負担をぐっと減らせます。

お湯はぬるめ(38〜40度)に

熱いお湯は皮脂を奪い、乾燥を強めます。38〜40度程度のぬるめのお湯にし、長湯は避けましょう。「熱いお風呂が好き」という方も、乾燥がひどい時期だけでも温度を下げると、かゆみがやわらぐことがあります。湯上がりに体がポカポカ温まりすぎると、その後にかゆみが強くなることもあるため、のぼせない程度のぬるめを心がけます。

ナイロンタオルでこすらない

ナイロンタオルやブラシ、たわしでゴシゴシ洗うのは厳禁です。日本皮膚科学会の手引きでも、ナイロンタオルやブラシでの清拭は角層からの水分の蒸発を増やし、乾燥を助長するため使わないよう指導するとされています。石けん・洗浄剤はよく泡立て、その泡を手のひらに取って、なでるようにやさしく洗います。乾燥の強いすねや腕には、毎日石けんを使わず、お湯だけで流す日があってもかまいません。とくに乾燥が強い部位への石けんの使用は最小限にとどめるのがよいとされています。

すすぎ残しに注意

石けんの主成分は界面活性剤で、すすぎ残すと刺激になり乾燥を悪化させます。とくに背中やひざの裏など、流し残しやすい場所はしっかりすすぎましょう。

部屋の湿度は40〜60%を目安に

冬の暖房は室内の湿度を大きく下げます。加湿器や濡れタオルで湿度40〜60%を保つと、肌からの水分の蒸発をおさえられます。室温は17〜28度程度が快適とされています。湿度を保つことは、肌だけでなく、かぜやインフルエンザなどの感染予防にも役立ちます。

衣類はやわらかい素材を

ウール(羊毛)やごわごわした素材は、わずかな刺激でもかゆみを起こします。日本皮膚科学会の手引きでも、羊毛素材やごわごわした衣類の刺激、髪の毛の先端が触れるなどの軽い刺激でもかゆみが出るため、刺激の少ない衣類を選ぶようすすめられています。肌に直接触れる下着は、綿などのやわらかい素材を選びましょう。洗濯時の柔軟剤や洗剤のすすぎ残しにも気をつけます。

日焼け・紫外線の浴びすぎにも注意

長時間の日光は、肌の水分を逃がしやすくする一因とされています。散歩や外出の際は、紫外線の強い時間帯を避け、帽子や日陰を利用するなどの工夫をすると、乾燥肌の悪化を防ぐ助けになります。

洗った後はやさしく押さえて拭く

入浴後にタオルでゴシゴシ拭くのも、肌をこすって刺激になります。やわらかいタオルで、押さえるように水気を取りましょう。拭いたあとすぐに保湿剤を塗れるよう、タオルと保湿剤を手元に用意しておくと、入浴後5分以内のケアがスムーズになります。これらの工夫はどれもお金のかからないものばかりで、毎日の習慣にするほど効果が積み重なります。

独自整理:かゆみの原因を「乾燥」と決めつけない見分け方

高齢の方のかゆみは、必ずしも乾燥だけが原因とは限りません。公的な皮膚疾患の解説をもとに、家庭で「乾燥のケアを続けてよいか」「別の病気を疑って受診すべきか」を切り分けるための整理表をまとめました。これはあくまで相談の目安で、診断は医師が行うものです。判断に迷ったら受診してください。

乾燥(老人性乾皮症)が疑われる特徴

  • すねや背中など決まった場所がカサカサして白い粉をふく
  • 冬や暖房の時期に悪化し、保湿するとやわらぐ
  • 家族にうつらない
  • 皮脂の多い顔や脇には出にくい

乾燥とは違うかもしれないサイン(受診を検討)

  • 家族や同居者にもかゆみが広がる:疥癬(ヒゼンダニによる感染症)の可能性。手首や指の間、わきに強いかゆみが出ます。施設や同居家族に広がるのが特徴で、保湿では治りません。とくに夜間に強くなるかゆみは要注意です。
  • 輪のような赤み・ふちが盛り上がる:体部白癬(たむし)など真菌(カビ)の可能性。保湿剤を塗っても広がることがあります。
  • 乾燥は軽いのに全身が強くかゆい:皮膚そう痒症。日本皮膚科学会の手引きでも、乾燥がない、または軽いのに強いかゆみがある場合は、背景に肝臓・腎臓の病気などが隠れていることがあるため、まず医療機関の受診がすすめられています。
  • 帯状に水ぶくれと痛み:帯状疱疹の可能性。早期の受診が大切です。

「乾燥だと思っていたら別の原因だった」を防ぐ

家庭でできるスキンケアはとても有効ですが、すべてのかゆみが乾燥によるものとは限りません。とくに、保湿を2週間ほど続けても改善しない、急に強くなった、同居の家族にも症状が出てきた、という場合は、乾燥以外の原因を疑って受診する目安になります。「保湿で様子を見る」と「受診する」の境目を、ご家族があらかじめ知っておくことが、悪化を防ぐいちばんの近道です。

なお、肌のトラブルは全身の健康状態や栄養・水分とも関わります。当サイトには、家庭での褥瘡(床ずれ)予防や口腔ケアなど、ご家族向けの介護ケア記事もそろえています。乾燥のケアと合わせて、こまめな水分補給とバランスのよい食事も心がけてください。

介護する人がラクになる保湿の工夫

毎日の保湿は、続けることがいちばん大切です。介護するご家族の負担を減らしながら習慣にするコツを紹介します。完璧を目指すより、できる範囲で長く続けることを優先しましょう。

  • 入浴後の動線に保湿剤を置く:脱衣所やベッドサイドなど、塗るタイミングの場所にあらかじめ置いておくと塗り忘れが減ります。大きめの容器で買っておくと、量を気にせずたっぷり使えます。
  • 本人が嫌がるときは無理強いしない:冷たい保湿剤は不快なので、手のひらで温めてから塗ると受け入れてもらいやすくなります。一度に全身でなく、まずカサカサのひどいすねだけ、と部分から始めても構いません。声をかけながら、本人の心地よさを大切にしましょう。
  • 背中・かかとは塗り残しやすい:本人の手が届かない場所こそ、ご家族が意識して塗ってあげましょう。柄つきの塗布用具を使う方法もあります。
  • 爪を短く整える:かゆみで掻きこわすと湿疹に進みます。爪を短く切り、夜は綿の手袋を使うと掻き傷を防げます。認知症などで無意識に掻いてしまう方には特に有効です。
  • 記録をつける:「いつ・どこが・どのくらい」乾燥やかゆみがあるかをメモしておくと、受診時に医師へ正確に伝えられます。写真を撮っておくと、症状の変化が伝わりやすくなります。
  • 水分・栄養もケアの一部:体の中の水分が足りないと肌も乾きやすくなります。のどの渇きを感じにくい高齢者は、こまめな水分補給を意識しましょう。たんぱく質やビタミンを含むバランスのよい食事も、肌の回復を支えます。

よくある質問

Q. 毎日お風呂で体を石けんで洗ったほうがよいですか?

A. 乾燥が強い時期は、毎日全身を石けんで洗う必要はありません。皮脂や汚れの少ない高齢者の場合、すねや腕はお湯で流すだけの日があってもよいとされています。洗うときは泡でやさしく、すすぎ残しがないようにしましょう。汗をかきやすい脇や股などは石けんで、乾燥しやすいすねはお湯だけ、と部位で分けるのもおすすめです。

Q. 保湿剤はいつ塗るのがいちばん効果的ですか?

A. 入浴後5分以内が目安です。肌が湿っているうちに塗ると、水分を逃がさずに保てます。朝晩2回塗ると、より乾燥しにくくなります。日中に乾燥が気になればその都度塗り足してかまいません。

Q. かゆみで眠れないようです。家庭でできることはありますか?

A. 部屋を加湿し、ぬるめの入浴と保湿を続け、爪を短く整えて掻き傷を防ぐことが家庭でできる対策です。寝具を清潔に保ち、肌に触れる素材をやわらかいものにするのも効果があります。それでも眠れないほどのかゆみが続く場合は、かゆみ止めの内服などが必要なこともあるため、皮膚科やかかりつけ医に相談してください。市販のかゆみ止めを自己判断で続けるより、一度受診したほうが安心です。

Q. 市販の保湿剤と皮膚科で出される薬は何が違いますか?

A. 軽い乾燥であれば市販の保湿剤や医薬部外品でも十分ケアできます。一方、赤みやジュクジュクした湿疹がある場合は、ステロイド外用薬など医師の処方が必要になることがあります。どちらが適しているか迷うときは、薬剤師に相談するか皮膚科を受診しましょう。保湿剤とステロイドを併用するときは、先に広く保湿剤を塗り、赤い部分にだけステロイドを塗る、という順番が基本です。

Q. かゆみ止めをかきむしらないよう、冷やしてもよいですか?

A. かゆみが強いときに、冷たいタオルなどで短時間冷やすと一時的にやわらぐことがあります。ただし冷やしすぎは血行を悪くするため、長時間や保冷剤の直接あては避けましょう。あくまで一時的な対処で、根本のケアは保湿です。

Q. 訪問看護でも肌のケアを相談できますか?

A. はい。訪問看護や訪問診療を利用している場合は、看護師に肌の状態を伝えると、保湿のしかたや受診の必要性についてアドバイスをもらえます。ケアマネジャーに相談して、皮膚科への受診同行や訪問サービスを調整してもらうこともできます。

参考文献・出典

まとめ:困ったときの相談先

高齢者の肌の乾燥・かゆみ(老人性乾皮症)は、年齢を重ねれば誰にでも起こりうる、ごくありふれた状態です。家庭でできる予防の基本は、入浴後5分以内のこまめな保湿、ぬるめ(38〜40度)の入浴、ナイロンタオルでこすらず泡でやさしく洗うこと、そして部屋の加湿の4つです。毎日少しずつでも続けることが、かゆみや掻きこわしを防ぐいちばんの近道です。「年のせいだから」とあきらめず、できることから始めてみてください。

ただし、家庭のスキンケアには限界があります。次のようなときは、自己判断を続けず専門家に相談してください。

  • 皮膚科・かかりつけ医:赤みやジュクジュクした湿疹が出ている/保湿を2週間ほど続けても改善しない/夜眠れないほどのかゆみがある/家族にもかゆみが広がっている。こうした場合は皮膚科の受診がすすめられます。持病で通院中の方は、まずかかりつけ医に相談しても構いません。受診の際は、いつから・どこに・どんな症状が出ているかをメモや写真で伝えると、診察がスムーズです。
  • 薬局・薬店の薬剤師:市販の保湿剤やかゆみ止めの選び方に迷うとき。市販のステロイド外用薬を5〜6日使っても改善しない場合は、使用を続けず皮膚科を受診しましょう。
  • 訪問看護・ケアマネジャー:在宅で介護している場合、訪問看護師に肌の状態を伝えるとケアのアドバイスがもらえます。受診の付き添いや訪問サービスの調整は、担当のケアマネジャーに相談できます。

肌のトラブルは小さなことのように見えて、かゆみによる睡眠不足や掻き傷からの感染など、本人の生活の質に大きく影響します。「これくらい大丈夫」と我慢させず、気になるときは早めに相談先を頼ってください。早めの相談が、本人にとっても介護するご家族にとっても、安心につながります。

監修者

介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム

医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)

看護師介護福祉士ケアマネジャー

訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。

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