パルスオキシメーターでSpO2が測れない・低く出るとき|介護職の原因の見極めと対処
介護職向け

パルスオキシメーターでSpO2が測れない・低く出るとき|介護職の原因の見極めと対処

介護現場でSpO2が表示されない・異常に低く出る・不安定なときの原因切り分けと対処を一次ソースで解説。末梢の冷え・マニキュア・付け爪・体動・圧迫・装着位置・末梢動脈疾患・一酸化炭素中毒の偽高値まで。機器のせいにして低酸素を見逃さない判断(呼吸様式・顔色・口唇色)と看護師への報告も。

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この記事のポイント

パルスオキシメーターでSpO2が測れない・低く出る最大の原因は、指先の冷えや低血圧による末梢循環不全です。まず手を温める、装着する指を変える、汚れ・マニキュア・付け爪を落とす、体動を止めて数十秒待つ、の順に切り分けます。それでも取れないときや値を疑うときは、数値を待たずに呼吸のしかた・顔色・口唇や爪の色(チアノーゼ)で全身を評価し、看護師へ報告します。喫煙直後や一酸化炭素中毒では実際より高く表示されるため、数値だけで安心しないことも重要です。

目次

「あれ、数字が出ない」。バイタル測定の時間に、パルスオキシメーターが空欄のまま点滅していたり、いつも96%の利用者が急に88%と表示されたりして、手が止まった経験はないでしょうか。介護職にとってSpO2の測定そのものは医行為ではありませんが、そこで出た数値をどう受け止め、どこまで自分で切り分け、いつ看護師へつなぐかは、日々の判断力が問われる場面です。

この記事は、SpO2が「測れない・低く出る・値がばらつく」という測定トラブルに絞って、原因の見極めと現場での対処をまとめたものです。パルスオキシメーターの原理や正常値の詳しい解説ではなく、目の前で数字が取れないときにどう動くかに集中します。よりどころは日本呼吸器学会のパルスオキシメータハンドブックと、厚生労働省がメーカーに記載を義務づけている誤差要因のリストです。「機器のせいだと思っていたら本当に低酸素だった」という取り違えを防ぐ視点まで、通してお伝えします。

前提:SpO2の正常値をざっくりおさらい

トラブルの見極めには、そもそも「どのくらいなら普通か」を押さえておく必要があります。詳しい仕組みはパルスオキシメーターの用語解説に譲り、ここでは判断に必要な最小限だけ確認します。

SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)は、血液中のヘモグロビンがどれだけ酸素と結びついているかを%で表した値です。日本呼吸器学会などによると、健康な人の平常値はおおむね96〜99%。安静時に90%を下回ると、全身の臓器に十分な酸素を送れていない呼吸不全の状態が疑われ、対応が必要とされます。

ただし高齢者では、慢性の肺疾患などの影響で平常値がもともと低めの方もいます。後期高齢者では94%や93%あたりが普段の値、というケースも珍しくありません。だからこそ「一般的な正常値」だけでなく、その利用者一人ひとりの平常値を日ごろから記録しておくことが、異常の早期発見につながります。判断の物差しは、教科書の数字ではなく、その人のいつもの値です。

そしてパルスオキシメーターの表示には、もともと数%(機種によりおおむね±1〜3%)の誤差が含まれます。1回の測定だけで一喜一憂せず、条件をそろえて繰り返し測ることが、正しく活用する基本になります。ここまでを前提に、次章から「測れない・狂う」ときの具体的な原因と対処に入ります。

そもそもなぜ「測れない・狂う」ことが起きるのか

パルスオキシメーターは、指先に赤い光(赤色光と赤外光)を当て、拍動する動脈血を光がどれだけ通り抜けるかで酸素飽和度を推計しています。採血せずに一瞬で測れる便利さの裏返しとして、「光の通り道が邪魔される」「拍動をつかめない」条件がそろうと、とたんに数値が出なくなったり、実際とずれたりします。

厚生労働省の「パルスオキシメータの適正広告・表示ガイドライン」(令和4年2月3日事務連絡)は、メーカーが取扱説明書や広告に必ず記載すべき誤差要因として、次の6つを挙げています。介護現場で出会うトラブルは、ほぼこの6つのどれかに当てはまります。

  • マニキュア・付け爪・ジェルネイルをつけている、指が汚れている、爪が変色している場合
  • プローブ(指を挟む部分)が正しく装着されていない場合
  • 測定中に体動がある場合
  • 手が冷たいなど末梢の血流が悪い、血圧が低い場合
  • 一酸化炭素中毒や喫煙直後の場合
  • 周囲の光(照明灯・蛍光灯・強い直射日光など)の影響を受ける環境にある場合

裏を返せば、この6項目を一つずつ点検していけば、目の前のトラブルの原因はかなり絞り込めます。以下では現場で遭遇する頻度が高い順に、見極めと対処を具体的に見ていきます。

原因1:指先の冷え・低血圧(末梢循環不全)が最多

介護現場でSpO2が測れない・低く出る原因として、日本呼吸器学会のハンドブックが「日常臨床でしばしば経験される」と真っ先に挙げるのが、末梢循環不全です。寒い時期や冷え性の高齢者では、手指の末梢血管が収縮して血流が落ち、動脈の拍動が弱くなります。すると光の通り道に十分な脈波(拍動の情報)が届かず、正しく測れません。

見極めのサイン

末梢循環不全のときは、脈拍数が実際よりも非常に低く表示されたり、脈波(レベルメーターや波形)の振れが弱々しくなったりします。数値が空欄のまま点滅する、あるいは触ってみて指先が冷たい、というのが典型です。入浴前や起床直後、冬場の朝は特に起こりやすい時間帯です。

現場での対処(順番が大事)

  1. 他の指を試す。手袋をしていた、こたつに入れていたなどで、他の指はそれほど冷えていないことがあります。ハンドブックも「まず他の指を探して測定する」ことを勧めています。
  2. 指を温める。他の指でも取れないときは、手をさすったり握ったり、蒸しタオルや自分の手で数分間温めると測れるようになることが多いです。入浴後は体温が上がり血流も良くなるため、測定しやすいタイミングです。
  3. 装着したまま少し待つ。座って安静にすると数十秒でSpO2が上がってくることもあります。ばらつくときは20〜30秒ほど待って安定した値を読みます。

強皮症など全身の血管障害がある方は、夏でも手指が冷たく、指先ではどうしても測れないことがあります。この場合は指以外の部位(耳たぶ・額)で測る専用プローブを使うことがありますが、機器の選択や装着は看護師・医療職の判断が必要です。介護職としては「この方は指では取りにくい」という情報を申し送り、無理に何度も締め直さないことが大切です。

原因2:指の汚れ・マニキュア・付け爪・爪の変色

光を使って測る機器なので、光の通り道をふさぐものはすべて誤差の原因になります。厚労省ガイドラインも、メーカーが必ず記載すべき第一の注意として「マニキュア、付け爪、ジェルネイル等をつけている場合は外して測る」ことを挙げています。

特に影響が大きいもの

  • マニキュア・ジェルネイル:日本呼吸器学会の資料によると、緑・青・茶・黒などのマニキュアは光量を減らす率が高く、SpO2を実際より低く表示させる可能性があります。落とせるなら除光液で落とし、無理なら装着していない別の指で測ります。
  • 付け爪・スカルプチュア:厚みで光が通りにくくなります。付けていない指を選びます。
  • 指や爪の汚れ:食事の汚れ、絆創膏、軟膏、油分などが付いていると脈波が弱まります。装着前にウェットティッシュ等で拭き取ります。
  • 爪の変色・肥厚:加齢や白癬(爪水虫)で分厚く濁った爪、色素沈着のある爪は光を通しにくくなります。きれいで薄めの爪の指を選びましょう。

ポイントは、プローブの発光部(光が出る側)と受光部(光を受ける側)の両方を、爪と指の腹が正しく覆う向きで装着することです。発光部と受光部そのものの汚れも脈波を弱めるため、使用後はアルコール綿で拭いておくと次の測定が安定します。

原因3:体動・ふるえ・落ち着かない(認知症の方に多い)

パルスオキシメーターは「本来、体動の影響を強く受ける装置」だと日本呼吸器学会のハンドブックははっきり書いています。指を動かすと、静脈血や周りの組織の光の吸収が変わり、拍動の情報にノイズが混ざって正しい値が出ません。特に心拍数の倍数に近いリズミカルな動き(貧乏ゆすり、手を握ったり開いたり)は誤差を生みやすい動きです。

介護現場で起こりやすい場面

  • 認知症の方が測定中にじっとしていられず、手を引っ込めたり動かしたりする
  • パーキンソン病などの振戦(ふるえ)で指先が細かく揺れている
  • 寒くて体や手が震えている
  • 不穏で落ち着かない、点滴や車いすを触ってしまう

現場での対処

  1. 手を支える。測る側の手を職員がそっと下から支え、机や膝の上に置いて動きを抑えます。無理に押さえつけるとかえって嫌がるため、声をかけながら短時間で。
  2. タイミングをずらす。落ち着いているとき、たとえば座って一息ついた直後や、好きなテレビを見ている間などに測ると成功しやすくなります。
  3. 震えが止まらないときは温める。寒さによる震えなら、保温してから測ると体動と冷えの両方が改善します。
  4. 脈波の安定を確認してから読む。波形やレベルメーターがリズミカルに振れているのを確かめ、数字が落ち着いてから記録します。ばらつく数字の最初の一発を鵜呑みにしないことが大切です。

どうしても体動が止められず測れない場合、それ自体が「今日は落ち着かない」「いつもと違う」という観察情報です。無理に数値をこじつけるより、様子とあわせて看護師に伝えるほうが役立ちます。

原因4:装着不良・締めすぎ・当たる光(外部光)

「入れ方」と「環境」も見落としがちな原因です。

装着位置・向きの不良

指を奥まで入れず浅かったり、爪と発光部の位置がずれていたりすると、脈波信号が得られずSpO2が低下・欠測します。取扱説明書に従い、指を正しい位置まで入れて軽く伸ばし、発光部が爪側に来る向きで装着します。表示の向きを変えられる機種は、数字の見間違い(96を上下逆で読むなど)にも注意します。

締めすぎ・長時間の同一部位

クリップ式プローブを長く同じ指に当て続けると、その部位の血流が減って逆に測れなくなります。連続測定する機種では、日本呼吸器学会は「装着した指をときどき替える」「2時間ごとに皮膚を観察し、同じ部位に8時間を超えて装着しない」ことを示しています。テープで固定するタイプを強く締めすぎると、血管が圧迫されて脈波が拾えないうえ、まれに低温熱傷のリスクもあります。介護現場でも、酸素療法中の方などで長時間装着する場合は装着部位の皮膚の色・冷感・跡を観察しましょう。

外部光・電磁波

照明灯・蛍光灯・赤外線ヒーター・強い直射日光が受光部に回り込むと誤差になります。窓際の直射日光を避け、必要なら手やタオルで覆って光を遮ると安定します。テレビや電化製品、携帯電話などの電磁波が近いと乱れることもあるため、うまく取れないときは場所を変えるのも一手です。

原因5:末梢動脈疾患・機器(電池・センサー)不良

末梢動脈疾患(PAD)で慢性的に取れない

糖尿病や動脈硬化のある高齢者では、下肢を中心に末梢の動脈が細くなり血流が慢性的に落ちる末梢動脈疾患(PAD)を持つ方がいます。この場合、寒くなくても手指・足趾の拍動が弱く、パルスオキシメーターで安定した値が取りにくいことがあります。冷えと違って温めても改善しにくいのが特徴です。足で測っている場合は、冷感・しびれ・皮膚の色や傷の有無もあわせて観察し、いつも取りにくい方は申し送りで共有しておきます。

機器そのものの不良を疑う

利用者側ではなく機器が原因のこともあります。次を点検します。

  • 電池:電池が消耗すると発光が弱まり、測定不能や不安定の原因になります。電池残量表示を確認し、早めに交換します。予備の電池を定位置に置いておくと現場で慌てません。
  • センサー(発光部・受光部)の汚れ・傷:透明窓が皮脂や消毒液で曇っていると光が減衰します。アルコール綿で優しく拭きます。落下でひびが入った機器は測定値が信用できません。
  • 別の機器・別の人で確認:同じ利用者を別の機器で測る、あるいは自分(測定者)の指で測ってみて、正常値が出るかを確かめます。自分では正常に出るのに利用者だけ取れないなら利用者側、誰で測っても取れないなら機器側の問題と切り分けられます。

機種によって測定値には数%の個体差があります。日本呼吸器学会の一般向け資料も「機種ごとに表示が異なる」ため、可能なら同じ利用者は同じ機器・同じ条件で測り、平常値を把握しておくことを勧めています。

原因6:一酸化炭素中毒・喫煙直後は「高く出る」落とし穴

ここまでは「低く出る・測れない」話でしたが、逆に実際より高く表示されて危険を見逃すケースもあります。厚労省ガイドラインが誤差要因に挙げる「一酸化炭素中毒や喫煙直後」がこれにあたります。

パルスオキシメーターは、酸素と結びついたヘモグロビンの割合を光の色で推計しています。ところが一酸化炭素と結びついた一酸化炭素ヘモグロビン(CO-Hb)は、光の吸収のしかたが酸素化ヘモグロビンとよく似ているため、機器がCO-Hbを「酸素を運んでいるヘモグロビン」と取り違えてしまいます。その結果、日本呼吸器学会のハンドブックが述べるとおり「一酸化炭素中毒患者でもSpO2は見かけ上高くなってしまう」のです。実際には酸素が全身に届いていないのに、画面は96%などと表示され、安心してしまう危険があります。

介護現場で気をつける場面

  • 冬場の暖房(不完全燃焼のストーブ・練炭・車内アイドリングなど)による一酸化炭素中毒が疑われる状況
  • 火災・煙を吸った直後
  • 喫煙直後の測定(一時的にCO-Hbが増える)

頭痛・吐き気・ぼんやりする・顔色が悪いのにSpO2は高い、という「症状と数値のちぐはぐ」があるときは、数値を信じ切らず看護師へ報告します。一酸化炭素中毒が疑われる環境ではまず換気と避難、救急対応が優先です。SpO2が高いことは安全の保証にはならない、と覚えておきましょう。

測れないときの切り分けフロー(この順番で動く)

迷ったときは、負担が軽く効果が高い順に試すのが原則です。以下のステップを上から順に行い、途中で取れたらそこで終了、最後まで取れなければ全身観察に切り替えます。

  1. 装着を見直す:指を奥まで、正しい向きで。汚れ・マニキュア・付け爪があれば拭く・別の指にする。
  2. 他の指に変える:冷えていない指、爪がきれいな指を選ぶ。
  3. 体動を抑える:手を支え、安静にして脈波が安定するのを待つ(20〜30秒)。
  4. 手を温める:さする・握る・蒸しタオル。入浴後なら測りやすい。
  5. 環境を整える:直射日光・強い照明を避け、必要なら覆う。場所を変える。
  6. 機器を点検する:電池交換、センサーを拭く、別機器や自分の指で確認。
  7. それでも取れない/値を疑う:数値を待たず、次章の全身観察に切り替えて看護師へ報告。
症状・状況表示のクセまず試すこと
指先が冷たい・冬の朝脈拍が非常に低い/欠測他の指→温める
マニキュア・付け爪・汚れ実際より低く出る拭く/別の指
じっとできない・ふるえ数値がばらつく手を支える・待つ
強い光・窓際不安定・誤差光を遮る・場所替え
喫煙直後・CO中毒疑い実際より高く出る数値を信じず全身観察

いちばん大事:機器のせいにして低酸素を見逃さない

この記事で最も伝えたいのは、「測れない=異常なし」ではない、ということです。末梢循環不全は、単なる冷えのこともあれば、ショックや心不全悪化で全身の血流が落ちているサインのこともあります。数値が取れないその状態自体が、体からの警告であることを忘れてはいけません。

SpO2が取れなくても、これで全身を評価できる

パルスオキシメーターはあくまで補助の道具です。数字が出ないときこそ、介護職の観察力が主役になります。次の3点は、機器がなくても確認できます。

  • 呼吸のしかた(呼吸様式):呼吸が速い・浅い、肩を上下させる肩呼吸、小鼻が開く鼻翼呼吸、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音、話すのが苦しそう、といった努力呼吸がないか。呼吸回数がいつもより明らかに多い(成人でおおむね1分間に24回以上)ときは要注意です。
  • 顔色・全身の様子:顔色が青白い・土気色、冷や汗、ぐったりして反応が鈍い、いつもと違うそわそわ・不穏がないか。
  • 口唇・爪の色(チアノーゼ):唇や爪、口の中の粘膜が青紫色になっていないか。青紫が濃いほど重症のサインです。寒さによる末梢性チアノーゼは温めれば戻りますが、全身の酸素不足による中枢性チアノーゼは温めても戻りません。

数値の一人歩きにも注意

逆に、SpO2が普段どおりでも呼吸が苦しそう・顔色が悪いなら、それは見逃してはいけない異常です。一酸化炭素中毒のように数値が高く出る例もあります。「数字が正常だから大丈夫」と決めつけず、必ず本人の様子と合わせて判断してください。SpO2は全身状態の一部を映す鏡にすぎません。

看護師への報告のしかた(数値+状況をセットで)

SpO2が測れない・低い・様子がおかしいと感じたら、自分だけで判断せず看護師へ報告します。このとき数値だけを伝えても、看護師は状況を判断できません。日本呼吸器学会の資料も「測定値だけでは何が起こっているのか医師でも判断できない。測定時の状況・体調・自覚症状・脈拍数もあわせて伝える」ことを勧めています。

あわせて伝えると役立つ情報

  • いつもの平常値との差:「普段96%の方が今日は測るたびに89〜91%」のように、その人の平常値と比べてどうか。日ごろから平常値を記録しておくと差に気づけます。
  • 測定の状況:安静時か動作直後か、手は冷たかったか、何回測って値がどうばらついたか。取れなかった場合は「冷えて脈波が拾えず測定できなかった」と正直に。
  • 全身の観察:呼吸のしかた、顔色、口唇・爪の色、意識・反応、脈拍、自覚症状(息苦しさ・胸の痛みなど)。
  • 使った機器:機種が変わると値も変わるため、いつもと違う機器で測ったなら伝えます。

報告はSBAR(状況・背景・評価・提案)の型に沿うと簡潔に伝わります。たとえば「◯号室の△△さん、SpO2が89%で普段より低いです(S)。朝から食事量が少なく呼吸も速めです(B)。低酸素が心配です(A)。すぐ見ていただけますか(R)」のように。緊急を要するサイン(意識がおかしい、呼吸が非常に苦しい、唇が青紫、SpO2が90%を大きく下回るなど)があれば、施設の急変対応マニュアルに沿って速やかに動きます。

よくある質問(SpO2が測れない・低いとき)

Q. SpO2が測れないとき、何回くらい測り直していいですか?

装着や指を変えながら数回試すのは問題ありません。ただし同じ指で締め直しを繰り返すと血流が悪化して余計に取れなくなります。2〜3回試して安定しないときは、無理を続けず全身観察に切り替えて看護師へ報告するのが安全です。

Q. 冷えて取れないとき、こすって温めるだけでいいですか?

手をさする・握る・蒸しタオルなどで数分温めると測れるようになることが多いです。入浴後は特に測りやすくなります。ただし温めても改善せず全身状態が悪そうなら、単なる冷えではなく血流低下のサインの可能性があるため報告します。

Q. いつも94%くらいの利用者がいますが、低すぎませんか?

平常値は人それぞれで、高齢者や後期高齢者では94〜95%程度が普段の値という方も少なくありません。大切なのは「その人の平常値からどれだけ下がったか」です。日本呼吸器学会は、普段の値から3〜4%低下が続く場合を受診・連絡の目安としています。平常値を記録しておきましょう。

Q. 足の指で測ってもいいですか?

手指で取りにくいときに足趾で測ることはありますが、末梢動脈疾患があると足はさらに取りにくいことがあります。機器や測定部位の選択は医療職の判断に従い、介護職は「手では取れないので足で測った」など条件を記録・申し送りします。

Q. SpO2が高ければ安心してよいですか?

いいえ。喫煙直後や一酸化炭素中毒では実際より高く表示されます。数値が高くても、頭痛・吐き気・顔色不良・呼吸苦などの症状があれば異常を疑い報告してください。

参考文献・出典

まとめ

SpO2が測れない・低く出る原因の多くは、指先の冷え・低血圧による末梢循環不全、マニキュアや付け爪・汚れ、体動、装着不良や外部光、機器の電池・センサー不良のいずれかです。対処は「装着を見直す→他の指→安静で待つ→温める→環境を整える→機器を点検する」の順に、負担の軽いものから切り分けるのが基本です。

そして最も大切なのは、機器のせいにして低酸素を見逃さないことです。数値が取れないときも、呼吸のしかた・顔色・口唇や爪の色(チアノーゼ)で全身を評価でき、これは介護職が機器なしでできる観察です。喫煙直後や一酸化炭素中毒では実際より高く表示されるため、数値が高くても症状があれば疑ってください。困ったら数値と状況をセットにして看護師へ報告する。この一連の判断ができることが、利用者の小さな変化を医療につなぐ介護職の力になります。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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