
高齢者の訪問理美容|自治体助成・料金相場・依頼方法と業者選びのポイント
寝たきりや外出困難の高齢者が利用できる訪問理美容を、根拠通知・料金相場・自治体助成・依頼の流れ・業者選びまで在宅介護のご家族向けに解説。
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この記事のポイント
訪問理美容とは、寝たきりや認知症などで美容室・理容室に行くのが難しい高齢者の自宅や施設に、理容師・美容師が出張してカット・シャンプー・カラー・顔そりなどを行うサービスです。介護保険の対象外のため料金は全額自己負担(カット2,000〜5,000円+出張費500〜2,000円が目安)ですが、要介護3以上を条件に多くの自治体が年4〜6回・1回2,000円程度の助成券を交付しています。依頼はケアマネジャーや市区町村の高齢福祉窓口に相談するのが確実です。
目次
「もう何ヶ月も髪を切れていない」「美容室に連れて行きたいけれど、車いすで段差を越えられない」——在宅介護や入院・施設入所のご家族から多く聞かれる声です。身だしなみが整わないと、本人の気分の落ち込みだけでなく、清潔保持や皮膚トラブル、家族との関係にも影響します。
そこで活用したいのが訪問理美容(出張理容・出張美容)です。理容師法・美容師法上は店舗で営業することが原則ですが、厚生労働省の通知(生食衛発0313第1号・平成29年3月13日)により、疾病・障害・要介護等で店舗に出向くことが困難な方に対しては、自宅や施設で施術してよいと明確に認められています。本記事では、根拠制度・料金・自治体助成・依頼の流れ・業者選びまで、在宅介護のご家族が知っておきたい実務情報を整理します。
訪問理美容とは|根拠通知と「店舗営業の例外」
訪問理美容(出張理容・出張美容)は、店舗ではなく利用者の自宅・施設・病院などへ理容師・美容師が出向いて施術するサービスの総称です。理容師法第6条の2・美容師法第7条はいずれも「理容師(美容師)は、理容所(美容所)以外の場所において、その業を行ってはならない」と定めており、訪問理美容はその例外規定として位置づけられます。
厚労省H29通知が示す「出張理容・美容を受けられる人」
厚生労働省は「在宅の高齢者に対する理容・美容サービスの積極的な活用について」(生食衛発0313第1号、平成29年3月13日)を発出し、以下の方に対して理美容所以外での施術が認められることを明確化しました。
- 疾病その他の理由により理容所・美容所に出向くことができない方(在宅・施設の要介護高齢者、終末期療養者など)
- 身体上または精神上の障害により、理容所・美容所に出向くことが困難な方
- 婚礼など儀式に直接参列する方(高齢者支援とは別文脈)
- 山間・へき地など、理容所・美容所のない地域に居住する方
つまり、「美容室に通えなくなった親」は、医師の診断書を取らなくても要件を満たし得るということです。あわせて、令和3年3月の課長通知改正で「育児・介護で来店が難しい人」「営業時間内に来店困難な勤務形態の人」など対象が拡大され、外出が一時的に難しい家族介護者本人も利用できるようになりました。
「訪問入浴の散髪」「訪問介護員の身体整容」との違い
混同しやすい類似サービスを整理します。
- 訪問入浴介護中のカット:入浴前後に同行スタッフが整える程度。介護保険サービスの入浴部分は給付対象ですが、本格的なカットや顔そりは別契約・別料金(自由診療扱い)です。
- 訪問介護員(ヘルパー)の身体整容:髪をとかす・前髪を整える程度は身体介護に含まれますが、ハサミやバリカンを使った散髪は理容師・美容師の独占業務のためヘルパーは行えません。同じ事業者が「ヘルパー資格を持つ理容師」を派遣する場合も、理美容部分は介護保険外として別費用が発生します。
- 訪問理美容:理容師・美容師がカットそのものを目的に訪問し、店舗と同等の施術を提供します。本記事の主役です。
対象になる人・ならない人|要件を満たすかチェック
「親が訪問理美容を使えるかどうか」を判断するための具体的な目安です。事業者ベースでの利用可否と自治体助成ベースでの利用可否は別の基準なので、分けて考える必要があります。
事業者の訪問理美容(自費)を利用できる人
厚労省通知の趣旨に沿い、以下のいずれかに当てはまれば自費利用が可能です。診断書は基本的に不要で、家族の申告で受け付ける業者がほとんどです。
- 要介護認定を受けている、または認定申請中で外出が困難
- 寝たきり・座位保持困難・歩行困難で美容室の椅子に座れない
- 認知症の中等度以上で、外出時に介助が必要
- 身体障害者手帳・療育手帳・精神保健福祉手帳をお持ちで外出困難
- 退院直後・終末期・在宅酸素療法など、医療上の理由で外出を控えている
- 家族の常時介護で介護者本人が美容室に行けない(R3通知改正で明文化)
自治体助成(利用券)の対象になる人
助成は「要件をすべて満たす場合のみ」と厳しめです。自治体差はありますが、多くの市区町村で共通する要件は次の通りです。
- 住民票が当該市区町村にあること
- 原則65歳以上(自治体によっては40歳以上の特定疾病該当者を含む)
- 介護保険の要介護3・4・5(自治体により要介護4・5に限定、もしくは要支援も対象)
- 在宅生活で、理美容店に出向くことが困難な状態
- 同様の助成を施設措置費等で受けていないこと
注意点:特別養護老人ホームや老人保健施設、医療機関に入所・入院中の方は、施設側がすでに理美容契約をしているケースが多く、自治体助成の対象外となるのが一般的です。「入所先で理美容師が来てくれるか」を施設に確認するのが先決です。
料金相場|カット・カラー・出張費の内訳
訪問理美容の料金は、店舗で受ける場合の「施術料金」+「出張費(交通費・準備費)」+必要に応じたオプションで構成されます。介護保険適用外のため事業者が自由に価格設定でき、地域や事業者規模によって幅があります。複数の業界調査・大手チェーン公表料金をもとに整理した目安は以下の通りです。
主要メニューの料金目安(全国平均)
- カット:3,000〜5,000円(大手チェーンや一部都市部では4,000〜8,000円)
- シャンプー単体:1,000〜2,500円
- カット+シャンプー:5,000〜8,000円
- 顔そり・ひげ剃り:500〜1,500円(理容師資格者のみ実施可、美容師は不可)
- 白髪染め(ワンカラー):5,000〜10,000円
- パーマ:6,000〜12,000円
- ヘアトリートメント:500〜2,000円
出張費・追加料金
- 出張費:500〜2,000円(近距離)/2,000〜4,000円(広域・遠方)
- 駐車場代:実費500〜1,000円(自宅周辺に駐車スペースがない場合)
- 寝たままカット追加:1,000〜2,000円(ベッド上施術の準備・体位介助分)
- 誘導・移乗介助費:500〜1,000円(必要な場合)
- 休日・早朝・夜間料金:通常料金の20〜50%増(事業者による)
1回あたりの自費総額モデル
要介護2の母親に「カット+顔そり+白髪染め+出張費(近距離)」を依頼した場合、合計で約9,000〜15,000円が目安です。一方、カットのみで済ませれば3,500〜7,000円に収まります。次の章で説明する自治体助成を併用すれば、カット部分が2,000円固定になるため、家計負担を大きく抑えられます。
料金トラブルを避けるコツ
- 初回予約時に「総額いくらになるか」を税込で見積もりしてもらう
- 追加料金の発生条件(駐車場、誘導、ベッド上施術、当日メニュー追加)を書面またはメールで残す
- キャンセル料の発生タイミング(前日・当日・直前)を確認する
- 支払い方法(現金のみか、クレジット・電子マネー可か)を確認する
自治体助成の地域差|主要都市の制度比較
多くの市区町村が独自に訪問理美容の助成事業を行っていますが、対象要件・回数・自己負担額は自治体ごとに大きく異なるのが実情です。代表的な都市の制度を比較し、申請前に確認すべきポイントを整理します。
主要都市の助成内容比較
| 自治体 | 対象 | 回数 | 自己負担額 |
|---|---|---|---|
| 横浜市 | 65歳以上・要介護4または5(特例で要支援1〜要介護3も可)/座位保持可能 | 年6回 | カット2,000円+駐車場代500円 |
| 川崎市 | 65歳以上・要介護3〜5・在宅 | 年6回 | 1回2,000円 |
| 名古屋市 | 65歳以上・要介護3〜5(要介護3は寝たきり度B〜C・認知症度IIa〜M) | 年6回 | 1回2,000円 |
| さいたま市 | 65歳以上・要介護3〜5 | 年4回 | 無料(公費負担) |
| 世田谷区 | 65歳以上・要介護4または5 | 年6回 | 1回2,000円程度 |
| 葛飾区 | 65歳以上・身体障害者手帳1〜2級または愛の手帳1〜2級・外出困難 | 年6回 | 1回500円 |
| 北区(東京) | 40歳以上・要介護4または5 | 年6回 | 1回2,000円 |
| 練馬区 | 65歳以上・要介護3〜5 | 年5回(利用権) | 業者により異なる |
| 佐倉市(千葉) | 65歳以上・要介護4または5・高齢者世帯 | 年4〜6回 | 助成券1枚1,000円相当 |
| 神戸市 | 65歳以上・要介護3〜5・在宅 | 年4回 | 1回2,000円 |
| 川越市 | 65歳以上・要支援1〜要介護5 | 年4回 | 1回2,000円 |
| 豊岡市(兵庫) | 寝たきり高齢者・重度身体障害者 | 申請月により異なる | 1回2,000円 |
※令和7〜8年度時点の公表情報をもとに作成。最新の条件・金額は必ずお住まいの市区町村にご確認ください。
制度の違いから読み取れる傾向
- 大都市は対象を「要介護3以上」に絞る傾向。地方都市・特別区では要支援者まで対象を広げるケースもある
- 東京23区は1回あたりの自己負担が小さい(500〜2,000円)一方、地方は2,000円固定が多い
- 年4〜6回が一般的。利用券は年度切り替えで失効する自治体が多く、繰越不可
- 登録事業者制を採用する自治体が多く、自治体が用意した協力店リストの中から選ぶ仕組みになっている
依頼の流れ|自治体助成あり/なしの2パターン
訪問理美容を依頼する手順は、自治体助成を使う場合と自費で直接事業者に依頼する場合で異なります。それぞれのフローを把握しておきましょう。
パターン1:自治体助成を使う場合(推奨)
- 市区町村の高齢福祉窓口に電話または来庁:「訪問理美容サービスを使いたい」と伝え、申請書類と協力店リストを取り寄せる。地域包括支援センター・ケアマネジャーに代行依頼も可能。
- 申請書を提出:要介護認定通知書のコピー、本人確認書類、介護保険証など必要書類を添えて窓口に提出(オンライン申請に対応する自治体も増加中)。
- 審査・利用券交付:1〜4週間程度で「利用決定通知書」と「利用券(年4〜6回分)」が郵送される。
- 協力店リストから事業者を選ぶ:寝たきり対応の可否、対応エリア、認知症対応経験などを確認し、希望日時を電話予約。
- 当日施術:本人確認後、利用券と自己負担分(多くは2,000円)を支払う。施術内容が利用券範囲を超える場合(カラー・パーマ等)は差額を自費で支払う。
パターン2:自費で直接事業者に依頼する場合
- 事業者を探す:インターネット検索、ケアマネジャー紹介、地域の理容組合・美容組合への問い合わせ。複数社で見積もりを取るのが安心。
- 電話・LINE・Webフォームで予約:本人の状態(要介護度・寝たきり・認知症の有無)、希望メニュー、住所、駐車場の有無を事前に伝える。
- 事前訪問または電話ヒアリング:大手や福祉特化型業者は、初回前に状況確認の電話相談を行うことが多い。
- 当日施術:施術後に現金または事前指定の決済方法で支払う。レシート・領収書を必ず受け取る(医療費控除には使えないが、自治体助成の併用時には申請に必要なケースあり)。
申請から初回利用までの逆算スケジュール
自治体助成は申請から利用券到着まで2週間〜1か月かかります。「冠婚葬祭で来週までに散髪したい」「退院直後で急ぎ」のように急ぎの場合はパターン2(自費)で先行依頼し、並行して助成申請を進めるのが現実的です。
業者選びのポイント|認定制度と確認すべき5項目
訪問理美容は事業者によって介護スキルが大きく異なるのが実情です。「店舗運営の合間に副業で訪問もしている美容師」と「介護施設での訪問専業チェーン」では、寝たきり・認知症対応の経験値が桁違いです。家族として確認すべき5つのポイントと、信頼性を測る業界認定制度を紹介します。
確認すべき5項目
- 理容師・美容師の国家資格を持っているか:訪問理美容を名乗っていても無資格営業(違法)の業者がまれに存在します。免許番号や登録店舗を確認できる業者を選ぶ。
- 介護・福祉に関する研修を受けているか:後述する「ケア理容師」「JVBWA認定訪問美容師」「介護職員初任者研修」等の修了者がいる事業者は安心材料。
- 寝たきり・認知症対応の実績年数:「ベッド上カット◯年・◯件以上」と具体的に答えられるかを電話で確認。
- 料金体系の透明性:基本料金・出張費・追加料金が公式サイトや見積書で明示されているか。「来てみないと分からない」は避ける。
- 感染症対策・衛生管理:使用器具の消毒方法、使い捨て備品の使用、ノロウイルス・インフルエンザ流行期の対応をマニュアル化しているか。
信頼できる業界認定・資格
- ケア理容師(全国理容生活衛生同業組合連合会):高齢者・障害者対応に特化した研修修了者に交付される全理連認定資格。店舗・名刺に専用マークが表示される。
- JVBWA認定訪問美容師(一般社団法人日本訪問福祉理美容協会):訪問美容に必要な高齢者理解・感染症対策・福祉知識・施術技術を体系的に学んだ認定資格。
- 介護職員初任者研修:旧ヘルパー2級相当の介護資格。理美容師がこの資格を併せ持つと、移乗介助や食事・排泄介助の基礎理解があり、ベッド上施術もスムーズ。
- 福祉理美容士(日本理美容福祉協会):訪問理美容の民間資格。協会ごとにカリキュラムは異なる。
事業者タイプ別の特徴
- 全国チェーン(KamiBito・リンデン等):対応エリアが広く料金体系が明瞭。スタッフ研修制度が整備されている。
- 地域の福祉特化型サロン:認知症・寝たきり対応の経験豊富。ケアマネ・地域包括との連携が強い。
- 個人の理美容師:丁寧で柔軟だが対応エリア・繁忙期の予約取りにくさが課題。長期の信頼関係を築きたい場合に向く。
- 地元理容組合・美容組合経由:自治体助成の協力店として登録されているケースが多い。地域に根差した安定運営。
寝たきり・認知症の方への施術|家族が準備すべきこと
体位制限のある寝たきりの方、コミュニケーションが難しい認知症の方は、店舗での施術と勝手が異なります。家族側の準備とちょっとした工夫で、施術時間が大きく短縮され本人の負担も減らせます。
当日までに準備しておくもの
- 大判のバスタオル2〜3枚:首回り保護、ベッド上の毛受け、シャンプー時の枕代わり
- 新聞紙またはビニールシート:床・ベッド周りの養生(事業者が持参する場合も多いが、自宅にあると安心)
- 使い古しのシーツ・タオルケット:ベッド上施術時に下に敷く(汚れても良いもの)
- ヘアスタイルの希望が分かる写真:「以前の長さ」「父の若い頃の髪型」など
- 本人の健康情報メモ:服薬中の薬、アレルギー、皮膚疾患、循環器疾患、人工呼吸器・酸素濃縮器の使用有無
寝たきりの方へのベッド上カット
座位が取れない方には、ヘッドを少し起こした半座位または完全臥位で施術します。事業者が以下のような工夫を行うのが一般的です。
- 枕の下にビニールシート+大判タオルを敷き、毛が首回りに入らないようガード
- 顔・首回りは横向き/側臥位で短時間施術し、体位変換で疲労を分散
- シャンプーは「水を使わないドライシャンプー」または移動式シャンプー機を使用
- 施術後はバリカン残り毛をコロコロ・粘着シートで除去
家族は施術中、本人の体調変化(顔色、呼吸、表情)を観察できる位置で見守るのが理想です。事業者によっては家族の立ち会いを必須としているところもあります。
認知症の方への配慮
- 本人がリラックスできる時間帯を選ぶ:午前中の体調が良いタイミング、入浴後など。日没後の「夕暮れ症候群」の時間帯は避ける
- 家族が傍にいる、馴染みの場所で行う:施設より自宅、ベッドより慣れた椅子
- 事前に「散髪屋さんが来るよ」と何度か伝える:直前の説明だけでは混乱しやすい
- 会話量は控えめに、事業者と家族で「合言葉」を決める:「お父さん、もうすぐ終わるよ」など短く具体的に
- カット時間を30〜45分以内に抑える:長時間の同一姿勢は拒否や混乱の原因に
施術後の入浴・洗髪
カット後はどうしても細かい毛が残ります。可能であれば施術後の入浴または蒸しタオルでの拭き取り、寝たきりの方には清拭タオル+ドライシャンプーで背中や首回りを丁寧に処理しましょう。皮膚刺激でかゆみや発疹が出ることがあるため、施術翌日まで観察を続けます。
よくある質問(FAQ)
Q. 訪問理美容に介護保険は使えますか?
A. 使えません。介護保険サービスの対象は介護・看護・福祉用具などに限定されており、理美容は対象外です。ただし、自治体独自の助成事業として「訪問理美容利用券」を交付している市区町村が多数あり、要介護3以上を中心に1回2,000円程度の負担で利用できます(自治体差あり)。
Q. 医療費控除の対象になりますか?
A. 残念ながら対象外です。医療費控除は医師の治療・診療に直接関係する費用が対象のため、理美容代は適用されません。自治体助成や福祉手当の併用で実質負担を抑える方向で検討しましょう。
Q. 認知症が進んでいて散髪を嫌がります。対応してもらえますか?
A. 認知症対応経験のある事業者なら可能です。「ケア理容師」や「JVBWA認定訪問美容師」の資格保有者は、認知症の方への接し方を体系的に学んでいます。予約時に必ず「認知症で拒否が出ることがある」と伝え、事前面談や短時間カットから始める方法を相談してください。
Q. 施設入所中の親も訪問理美容を依頼できますか?
A. 施設の方針によります。多くの介護施設は提携理美容業者を持っており、入所者は施設経由で予約します。自分で外部業者を呼びたい場合は、まず施設長・ケアマネに相談を。施設外の業者を入れる場合、感染症対策や同意書が必要になることがあります。
Q. 病院に入院中はどうですか?
A. 病院の許可があれば可能な場合があります。長期療養型病床・緩和ケア病棟では、家族が手配した訪問理美容を受け入れている病院も多くあります。手術直後・感染症病棟では制限されるため、看護師長または地域医療連携室に確認しましょう。
Q. どのくらいの頻度で利用するのが良いですか?
A. 一般的には1〜2か月に1回が目安です。自治体助成(年4〜6回)の範囲とも合致します。寝たきりで頭皮の清潔保持が難しい場合は短めの髪型にして頻度を下げる、白髪染めは2〜3か月に1回、というように本人の状態と家計に合わせて調整します。
Q. 自治体助成の利用券が余ったら次年度に持ち越せますか?
A. 多くの自治体で繰越不可です。年度末(3月)で失効するため、計画的に使うか、年度末にまとめて利用する家族もいます。利用券の有効期限は交付通知書に明記されているので必ず確認してください。
Q. ボランティアや無料の訪問理美容はありますか?
A. 地域の理容組合・美容組合が高齢者デイサービスや特養で「福祉理美容ボランティア」を定期的に行っているケースがあります。社会福祉協議会や地域包括支援センターに問い合わせると情報が得られます。完全無料の自宅訪問は限定的ですが、特定の福祉施設・障害者支援団体では実施例があります。
参考文献・出典
- [1]在宅の高齢者に対する理容・美容サービスの積極的な活用について(生食衛発0313第1号)- 厚生労働省(平成29年3月13日)
出張理容・美容が認められる対象者の範囲、介護保険サービスとの区分、市町村独自事業や訪問介護員による身体整容の取扱いを明示した課長通知。
- [2]
- [3]
- [4]
- [5]
- [6]
- [7]
- [8]
- [9]
まとめ|「髪を整える」は介護の中の大切な暮らし支援
訪問理美容は、外出が難しくなった高齢者でも美容室・理容室と同じ空気を自宅で味わえるサービスです。介護保険の対象外ではありますが、厚生労働省は出張理容・美容を「QOL向上に資する重要な取組」と位置づけ、自治体助成・市町村特別給付・訪問介護員による身体整容など複数の制度で在宅高齢者を支えています。
本記事のポイントを振り返ります。
- 制度の根拠:理容師法・美容師法の例外規定と厚労省H29通知により、要介護高齢者・障害者は自宅で施術を受けられる
- 料金相場:カット3,000〜5,000円+出張費500〜2,000円が目安。自治体助成で1回2,000円程度に抑えられる
- 自治体助成:要介護3以上を中心に年4〜6回が一般的。市区町村の高齢福祉窓口・地域包括支援センターに早めに相談する
- 業者選び:ケア理容師・JVBWA認定など福祉特化型の研修修了者がいる事業者を優先。料金体系の透明性を必ず確認
- 事前準備:タオル・養生シート・健康情報メモ・希望スタイル写真を揃え、認知症の方は本人の体調が良い時間帯を選ぶ
髪が整うと表情が変わり、家族との会話も増えます。「最近、髪を切ってあげられていない」と気になっているなら、まずは担当ケアマネジャー、または市区町村の高齢福祉窓口・地域包括支援センターに「訪問理美容を使いたい」と一言相談してみてください。協力店リストや申請書類を案内してくれます。介護生活の中の小さな「ハレ」の時間を、無理なく定期的に作っていきましょう。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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