
高齢者の頭痛|考えられる原因と家庭での対応・危険なサインと受診の目安
高齢者の頭痛は緊張型や薬剤性など心配の少ないものから、くも膜下出血・慢性硬膜下血腫・側頭動脈炎など命に関わるものまで幅広くあります。考えられる原因、家庭での対応、救急を呼ぶべき危険なサイン、受診の目安を、介護するご家族向けにやさしく解説します。
お近くの介護施設を探す
地域ごとの施設数や施設タイプを確認しながら、候補を絞り込めます。
この記事のポイント
高齢者の頭痛の多くは、肩や首のこりからくる緊張型頭痛、薬の飲みすぎ、高血圧、脱水など心配の少ないものです。一方で、「突然の激しい頭痛」「手足の麻痺やろれつが回らない」「高熱と嘔吐」「転倒のあと数週間〜数か月して出てきた頭痛」「50歳を過ぎて初めて起きたこめかみの頭痛」は、くも膜下出血・慢性硬膜下血腫・髄膜炎・側頭動脈炎などの危険な頭痛のサインです。突然の激しい頭痛や麻痺・意識障害があればためらわず119番、判断に迷うときは救急相談「#7119」に電話してください。
目次
年齢を重ねたご家族が「頭が痛い」と訴えると、「いつものことだろう」と思う一方で、「何か大きな病気では」と不安にもなります。高齢者の頭痛は、若い人と違って原因の幅が広く、ご本人がうまく症状を説明できないことも少なくありません。だからこそ、そばで支えるご家族が「これは様子を見てよい頭痛か」「すぐ受診すべき頭痛か」を見分ける目安を知っておくことが、とても大切です。
この記事では、高齢者の頭痛で考えられる原因を、心配の少ないものと命に関わるものに分けて整理し、家庭でできる対応、救急を呼ぶべき危険なサイン、受診の目安をやさしく解説します。なお、頭痛の原因を最終的に判断できるのは医師だけです。ここで紹介する内容は、受診や救急要請の判断を助けるための一般的な情報であり、自己診断のためのものではありません。気になる症状があるときは、かかりつけ医や専門の医療機関にご相談ください。
高齢者の頭痛は「一次性」と「二次性」に分けて考える
頭痛は大きく2つのグループに分けられます。この分け方を知っておくと、危険な頭痛を見落としにくくなります。
一次性頭痛(頭痛そのものが病気)
脳の検査をしても明らかな異常が見つからず、頭痛そのものが症状である頭痛です。緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛などがこれにあたります。命に関わることは基本的にありませんが、生活の質を大きく下げることがあります。慢性的な頭痛のうち、多くはこの一次性頭痛だとされています(健康長寿ネット)。
二次性頭痛(別の病気が原因で起こる頭痛)
くも膜下出血、慢性硬膜下血腫、髄膜炎、脳腫瘍、側頭動脈炎など、別の病気が原因で起こる頭痛です。命に関わるものや、後遺症を残すものが含まれるため「危険な頭痛」と呼ばれます。
ここで大切なのは、高齢になるほど、若い頃に比べて二次性頭痛(危険な頭痛)の割合が高くなるという点です。さらに高齢者は、転倒や薬の影響、血圧の問題など、頭痛を起こすきっかけを複数抱えていることが多くあります。「年だから頭痛くらい」と片づけず、いつもと違う頭痛には注意を向けることが、ご家族にできる大切な見守りです。
心配の少ない頭痛の原因(緊張型・薬・高血圧・脱水など)
まずは、高齢者によく見られる、命に関わる可能性が比較的低い頭痛の原因です。ただし「心配が少ない」とは「放っておいてよい」という意味ではありません。生活を整えたり、薬を見直したりすることで楽になることが多いものです。
緊張型頭痛(最も多いタイプ)
頭・首・肩の筋肉が緊張して血流が悪くなることで起こる頭痛で、慢性頭痛の中で最も多いタイプです(健康長寿ネット)。「頭全体が締めつけられる」「重い」「ヘルメットをかぶったような」と表現されます。長時間同じ姿勢でいる、運動不足、ストレス、合わない眼鏡などが背景にあります。高齢者では、長く座ったまま過ごす、車いすの姿勢が合っていない、といったことが引き金になることもあります。
片頭痛
脳の血管が広がることで起こるとされ、「ズキンズキンと脈打つ」痛みが特徴です。光や音、においに敏感になり、吐き気を伴うこともあります。若い頃から片頭痛があった方が、高齢になっても続くことがあります。一方で、年齢とともに片頭痛が軽くなる方もいます。
薬の飲みすぎによる頭痛(薬剤の使用過多による頭痛)
頭痛がつらいからと鎮痛薬を頻繁に飲み続けると、かえって頭痛が起こりやすくなることがあります。これを薬剤の使用過多による頭痛(いわゆる薬物乱用頭痛)といいます。複数の成分が入った市販の頭痛薬を月に10日以上、単一成分の薬を月に15日以上、3か月以上にわたって飲んでいると起こりやすくなるとされています(みんなの介護・薬剤師解説)。原因となっている薬を減らすことで改善が期待できますが、自己判断で急にやめず、医師や薬剤師に相談しましょう。
高血圧
血圧が高い状態が続くと、後頭部の重い頭痛として感じられることがあります。とくに朝方の頭痛や、血圧の急な乱高下には注意が必要です。家庭で血圧を測る習慣があると、変化に気づきやすくなります。
脱水
高齢者はのどの渇きを感じにくく、トイレを気にして水分を控えがちなため、知らないうちに脱水になりやすい傾向があります。脱水は頭痛やだるさ、ぼんやりした様子の原因になります。とくに夏場や発熱時、下痢のあとは注意が必要です。
副鼻腔炎・歯・目・耳の病気
副鼻腔炎(蓄膿症)、歯周病などの歯の病気、緑内障などの目の病気、耳の病気でも頭痛や頭の重さが起こることがあります。痛む場所や、目の充血・視界の異常などほかの症状とあわせて、それぞれの専門の医療機関で相談します。
命に関わる危険な頭痛の原因(くも膜下出血・慢性硬膜下血腫など)
ここからは、見逃すと命に関わったり、後遺症を残したりする「危険な頭痛」です。高齢者では特に気をつけたいものを取り上げます。当てはまる様子があれば、後述する「危険なサイン」と受診の目安を確認してください。
くも膜下出血(突然の激しい頭痛)
脳の血管にできたこぶ(動脈瘤)が破れて出血する病気です。「今までに経験したことのない」「突然起こる」「激しい」頭痛が特徴で、「後頭部をバットで殴られたような」「雷が落ちたような」と表現されます(日本頭痛学会)。嘔吐やけいれん、意識を失うこともあります。発症すると亡くなる方も多い、緊急性のきわめて高い病気です。突然の激しい頭痛は、ためらわず救急車を呼んでください。
慢性硬膜下血腫(高齢者で特に多い・転倒後に注意)
高齢者の頭痛で、ご家族にぜひ知っておいてほしいのがこの病気です。加齢で脳が少し縮むため、頭をぶつけたあと、脳と頭蓋骨の間にゆっくり血がたまっていきます。日本頭痛学会は「70歳以上の高齢者や大量に飲酒する人」で起こりやすく、頭をぶつけてから1〜3か月ほど経ってから、頭痛や嘔吐、半身の手足の動きの悪さ、ぼんやりする、歩きにくいといった症状が出てくると説明しています。本人が転倒したことを忘れていたり、軽くぶつけただけだったりすることも多いため、「最近なんとなく元気がない」「物忘れが増えた」「歩き方がふらつく」といった変化として現れることもあります。手術で良くなることが多い病気なので、早めの受診が大切です。
側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎・50歳以上で要注意)
こめかみ付近の血管に炎症が起こる病気で、50歳を過ぎてから初めて起こる持続的な頭痛が特徴です(日本頭痛学会)。発症のピークは60〜70代で、こめかみのズキズキした痛み、頭皮が触れると痛い、食事でかむときに顎が痛む(顎跛行)などがみられます。目に向かう血管に炎症が及ぶと、急に視力が落ちたり失明したりすることがあるため、早急な治療が必要です。日本では比較的まれなため見逃されやすく、「原因不明の頭痛」として長引くことがあります。50歳以上で初めてのこめかみの頭痛が続く場合は、この病気を念頭に受診しましょう。
髄膜炎・脳炎
後頭部から首にかけての強い痛みに、高熱や嘔吐、首を前に曲げにくい(首の硬さ)が加わる場合は、髄膜炎などの感染症が疑われます。とくに細菌性のものは治療が遅れると命に関わるため、高熱を伴う強い頭痛は早急に受診します。
脳腫瘍
朝起きたときに頭痛が強く、起き上がって数時間で少し軽くなる、という頭痛は脳腫瘍でみられることがあります(日本頭痛学会)。次第に強く頻繁になる頭痛に、手足の麻痺、物が二重に見える、視野が狭くなるなどの症状を伴うときは注意が必要です。
脳出血・脳梗塞
頭痛とともに、片側の手足の麻痺、ろれつが回らない、顔のゆがみ、言葉が出にくいといった症状があるときは、脳出血や脳梗塞などの脳卒中が疑われます。これらは時間との勝負です。すぐに119番してください。
帯状疱疹による頭痛・顔の痛み
免疫が低下しやすい高齢者では、帯状疱疹が頭部や顔に出ることがあります。片側の頭や額、目のまわりにピリピリ・チクチクした痛みが先に出て、数日後に赤い発疹や水ぶくれが現れるのが典型的です。発疹が出る前は頭痛として相談されることもあります。目の周りに出た場合は視力に影響することもあるため、早めに皮膚科や眼科を受診します。
今すぐ救急?様子を見てよい?危険なサインの見分け方
「いつもの頭痛」と「危険な頭痛」を見分けるための目安です。あくまで判断の助けであり、当てはまらなくても不安が強いときは医療機関や救急相談に連絡してください。
すぐに119番(救急車)を呼ぶサイン
- 突然、これまでに経験したことのない激しい頭痛が起きた(くも膜下出血の疑い)
- 片側の手足の麻痺・しびれ、ろれつが回らない、顔がゆがむ、言葉が出ない(脳卒中の疑い)
- 意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応が鈍い、けいれんがある
- 高熱と嘔吐をともなう強い頭痛で、首が硬くて前に曲げられない(髄膜炎の疑い)
- 頭を強く打った直後の激しい頭痛・嘔吐
当日〜なるべく早く受診したほうがよいサイン
- 50歳を過ぎて初めて起きた、こめかみ中心の頭痛が続く(側頭動脈炎の疑い)
- 急に視力が落ちた、物が二重に見える、視野が欠ける
- 転倒や頭をぶつけた数週間〜数か月後に出てきた頭痛・嘔吐・歩きにくさ・ぼんやり(慢性硬膜下血腫の疑い)
- 毎朝強く、起きてしばらくで軽くなる頭痛が続く
- これまでと痛み方・場所・強さが明らかに違う頭痛
- 発疹をともなう片側の頭・顔の痛み(帯状疱疹の疑い)
予約して受診を検討するサイン
- 慢性的な肩こり・首こりとともに続く重い頭痛で、生活に支障がある
- 市販の鎮痛薬を頻繁に飲んでも良くならない、または飲む回数が増えている
- 血圧が高い状態が続いている
判断に迷うときは、救急相談「#7119」(救急安心センター事業)に電話しましょう。医師・看護師・相談員が、救急車を呼ぶべきか、すぐ受診すべきかを電話で助言してくれます(厚生労働省・総務省消防庁)。実施していない地域もあるため、お住まいの地域の相談窓口もあわせて確認しておくと安心です。
家庭でできる頭痛への対応
危険なサインがなく、いつもの軽い頭痛だと思われる場合に、家庭でできる工夫を紹介します。少しでも「いつもと違う」と感じたら、無理に家庭で対応しようとせず受診してください。
1. まずは安静にして様子を見る
静かで落ち着ける場所で休んでもらいます。緊張型頭痛では首や肩を温める、片頭痛では暗く静かな部屋で冷やすと楽になることがあります。痛みの強さ、いつから、どこが、どんな痛みかをメモしておくと、受診時に役立ちます。
2. 水分をとってもらう
脱水が背景にあることも多いため、少しずつ水分をとってもらいましょう。むせやすい方には、とろみをつけるなど飲み込みやすい形にします。
3. 市販の鎮痛薬は慎重に
高齢者では、ロキソプロフェンやイブプロフェンなどの鎮痛薬(NSAIDs)が胃を傷つけたり、心臓・腎臓・肝臓に負担をかけたりするリスクがあります。比較的胃にやさしいアセトアミノフェンが選ばれることもありますが、肝臓に負担がかかるため量を守ることが大切です(みんなの介護・薬剤師解説)。持病がある方や複数の薬を飲んでいる方は、市販薬を使う前にかかりつけ医や薬剤師に相談しましょう。前述のとおり、鎮痛薬の飲みすぎは新たな頭痛の原因にもなります。
4. 血圧を測っておく
家庭用血圧計があれば測り、記録しておきます。極端に高い・低い、いつもと大きく違うときは受診の判断材料になります。
5. 普段との違いを記録する
食欲、睡眠、歩き方、話し方、表情など、頭痛以外の変化もメモしておきましょう。とくに転倒の有無は、慢性硬膜下血腫を疑ううえで重要な情報です。「ここ1〜3か月で転んだことはなかったか」を思い出してみてください。
【家族向け独自整理】高齢者の頭痛で見落としやすい3つの落とし穴
高齢者の頭痛は、若い人と同じ感覚で見ていると見落としが起きやすいものです。複数の公的情報を、介護するご家族の視点で整理すると、特に注意したい落とし穴が3つ見えてきます。
落とし穴1:本人が「頭痛」と言わない/訴えが弱い
高齢者、とくに認知機能が低下している方は、痛みをうまく言葉にできないことがあります。慢性硬膜下血腫のように、頭痛よりも「元気がない」「物忘れが増えた」「歩き方がふらつく」といった変化として現れる病気もあります。日本頭痛学会も、慢性硬膜下血腫では頭痛に加えて手足の動きの悪さなどが出ると説明しています。つまり、ご家族が「頭が痛いと言わないから大丈夫」と判断するのは危険です。表情がさえない、食事が進まない、急に介助が必要になった、といった変化も頭痛のサインかもしれない、という視点を持つことが大切です。
落とし穴2:「時間差」で出てくる頭痛を結びつけられない
慢性硬膜下血腫は、頭をぶつけてから1〜3か月後に症状が出ることがあります。これだけ時間が空くと、ご家族も本人も「あの転倒が原因かも」と結びつけにくくなります。だからこそ、「数か月以内に転んだことはなかったか」を意識して振り返ることが、早期発見の鍵になります。日々の小さな転倒も、軽く考えずに記録しておくと、いざというとき医師に伝えられます。
落とし穴3:「とりあえず市販薬」で本当の原因が隠れる
頭痛のたびに市販の鎮痛薬でしのいでいると、痛みは一時的に和らいでも、背景にある高血圧や薬剤の使用過多による頭痛、さらには危険な頭痛が見えにくくなります。鎮痛薬を飲む回数が増えている、効きが悪くなってきた、というのは「薬で抑え込んでいるだけかもしれない」というサインです。回数や効き具合の変化に気づいたら、薬を足すのではなく、一度かかりつけ医に相談する。この切り替えが、ご家族にできる重要な判断です。
この3点に共通するのは、「頭痛そのもの」だけでなく「いつもと違う変化」に目を向けることの大切さです。毎日近くで見ているご家族だからこそ気づける小さな変化が、早期発見につながります。
受診の目安と何科にかかればよいか
「いつ・どこを受診すればよいか」は、ご家族が迷いやすいところです。目安を整理します。
受診をためらわないほうがよい目安
- 50歳以降に初めて起きた頭痛は、念のため一度受診して原因を調べることがすすめられています(健康長寿ネット・専門医解説)。
- これまでの頭痛と、痛み方・場所・強さ・頻度が明らかに変わった
- 頭痛が日に日に強くなる、頻繁になる
- 頭痛以外の症状(麻痺、視力低下、発熱、歩きにくさ、物忘れの進行など)をともなう
何科を受診すればよいか
- 突然の激しい頭痛・麻痺・意識障害など緊急のサイン:迷わず119番。脳神経外科や救急のある病院へ。
- くり返す頭痛・いつもと違う頭痛・神経の症状をともなう頭痛:脳神経内科または脳神経外科。頭部のCTやMRIで詳しく調べられます。
- まず相談したいとき・どこにかかるか迷うとき:かかりつけ医。普段の体調や飲んでいる薬を把握しているため、適切な科への橋渡しをしてくれます。
- こめかみの頭痛+顎の痛みや視力の変化(側頭動脈炎の疑い):脳神経内科やリウマチ・膠原病内科。視力の異常があれば眼科も。
- 発疹をともなう片側の頭・顔の痛み(帯状疱疹の疑い):皮膚科。目の周りなら眼科も。
受診時に伝えるとよいこと
- いつから、どこが、どんなふうに痛むか
- これまでの頭痛との違い
- 最近(とくに1〜3か月以内)の転倒や頭をぶつけたこと
- 飲んでいる薬・市販薬(おくすり手帳があると確実)
- 持病(高血圧、糖尿病など)
- 頭痛以外に気づいた変化
ご家族が備えておくと安心なこと
「いつもと違う」を共有できるようにしておく
離れて暮らす家族や、訪問してくれるヘルパー・ケアマネジャーと、「最近の様子」を共有できるようにしておきましょう。複数の目で見守ることで、変化に気づきやすくなります。
救急相談の番号を見える場所に
救急相談「#7119」や、子どもの場合の「#8000」、お住まいの地域の救急・夜間相談窓口の番号を、電話のそばや冷蔵庫など見える場所に貼っておくと、いざというときに慌てません。
おくすり手帳を最新に
複数の医療機関にかかっている高齢者では、薬の重複や飲み合わせが頭痛や体調不良の原因になることもあります。おくすり手帳を一冊にまとめ、受診のたびに見せる習慣をつけましょう。
かかりつけ医を持つ
普段から相談できるかかりつけ医がいると、頭痛が起きたときに「様子を見てよいか、受診すべきか」の判断がしやすくなります。まだいない場合は、近所の内科などを一度受診しておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
Q. 高齢の親が「頭が痛い」と言いますが、すぐ病院に行くべきですか?
A. 突然の激しい頭痛、手足の麻痺やろれつが回らない、高熱と嘔吐、意識がもうろうとする、けいれんがあるといったサインがあれば、ためらわず119番してください。これらがなく、いつもの軽い頭痛のようであれば、安静にして様子を見つつ、続くようなら受診します。判断に迷うときは救急相談「#7119」に電話するとよいでしょう。
Q. 転んでから少し経って頭痛が出てきました。様子を見てよいですか?
A. 高齢者では、頭をぶつけてから1〜3か月後に、脳と頭蓋骨の間に血がたまる「慢性硬膜下血腫」が起こることがあります。頭痛のほか、歩きにくさ、物忘れ、ぼんやりするなどの変化があれば、早めに脳神経外科などを受診してください。手術で良くなることが多い病気です。
Q. 市販の頭痛薬を飲ませても大丈夫ですか?
A. 高齢者では、鎮痛薬が胃や心臓・腎臓・肝臓に負担をかけることがあります。また飲みすぎは新たな頭痛の原因にもなります。持病がある方や複数の薬を飲んでいる方は、使う前にかかりつけ医や薬剤師に相談しましょう。回数が増えている、効きが悪いと感じたら、薬を足すのではなく受診を検討してください。
Q. 50歳を過ぎてから初めて頭痛が出ました。気にしすぎでしょうか?
A. 50歳以降に初めて起きた頭痛は、念のため一度受診して原因を調べることがすすめられています。とくにこめかみの痛みが続く場合は、側頭動脈炎という早めの治療が必要な病気のこともあるため、放置せず相談しましょう。
Q. 何科を受診すればよいか分かりません。
A. どこにかかるか迷うときは、まずかかりつけ医に相談するのが安心です。くり返す頭痛やいつもと違う頭痛、神経の症状をともなう場合は脳神経内科または脳神経外科が適しています。緊急のサインがあれば、科を考える前に119番してください。
参考文献・出典
- [1]
- [2]
- [3]
- [4]
- [5]
- [6]
まとめ:迷ったら相談を。困ったときの連絡先
高齢者の頭痛は、緊張型頭痛や薬の影響、高血圧、脱水など心配の少ないものが多い一方で、くも膜下出血・慢性硬膜下血腫・髄膜炎・側頭動脈炎・脳卒中といった命に関わる頭痛が隠れていることもあります。とくに「突然の激しい頭痛」「手足の麻痺やろれつが回らない」「高熱と嘔吐」「転倒後しばらくして出てきた頭痛」「50歳を過ぎて初めてのこめかみの頭痛」は危険なサインです。
そばで支えるご家族にできる一番大切なことは、頭痛そのものだけでなく「いつもと違う変化」に気づき、迷ったときにためらわず相談することです。最後に、困ったときの相談先をまとめます。
- 命に関わるサインがあるとき(突然の激しい頭痛・麻痺・意識障害・けいれん・高熱と嘔吐):ただちに119番(救急車)
- 救急車を呼ぶか、すぐ受診すべきか迷うとき:救急相談「#7119」(救急安心センター事業/実施地域)。医師・看護師・相談員が電話で助言してくれます
- くり返す頭痛・いつもと違う頭痛・神経の症状をともなうとき:脳神経内科または脳神経外科
- どこにかかるか迷うとき・まず相談したいとき:かかりつけ医
- お住まいの地域の夜間・休日の相談窓口:市区町村の案内も確認しておくと安心です
気になる症状や不安があるときは、自己判断で抱え込まず、医療機関や相談窓口に連絡してください。早めの相談が、ご本人とご家族の安心につながります。
監修者
介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム
医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)
訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。
続けて読む

2026/5/28
高齢者の孤独・社会的孤立を防ぐ|家族・地域・行政の連携でできる10の対策
一人暮らし高齢者・離れて暮らす親の孤独を防ぐ方法を体系的に解説。孤独が認知症・うつ・寿命に与える影響、地域包括支援センターや通いの場の活用、シルバー人材センター、家族の関わり方、デジタル活用、見守りサービスまで。公的データに基づき家族・地域・行政が連携してできる対策を整理。

2026/5/22
親の介護にかかる交通費・帰省費の整理|医療費控除対象と家計負担を抑えるコツ
親の介護にかかる交通費と帰省費の整理術を解説。医療費控除の対象範囲(国税庁見解)、JAL介護帰省割引、高速道路の障害者割引、自治体助成まで、遠距離介護家族が家計負担を抑える具体策をまとめます。

2026/5/20
高齢者の骨粗鬆症と骨折予防|骨密度検査・治療薬・栄養と運動の三位一体
高齢者の骨粗鬆症は推定1590万人。大腿骨頸部骨折は寝たきりの主因です。骨密度検査(DEXA)・YAM値の見方、2025年改訂ガイドラインに基づく治療薬選択、カルシウム700-800mgの食事、荷重運動、転倒予防の住環境整備までを家族向けに解説します。
このテーマを深掘り
関連トピック

高齢者の孤独・社会的孤立を防ぐ|家族・地域・行政の連携でできる10の対策

親の介護にかかる交通費・帰省費の整理|医療費控除対象と家計負担を抑えるコツ

高齢者の骨粗鬆症と骨折予防|骨密度検査・治療薬・栄養と運動の三位一体

家庭での入浴介助の安全手順|ヒートショック予防と福祉用具・訪問入浴の使い分け

親が認知症と診断されたら|最初の30日でやるべき10ステップ

介護保険外サービスの選び方(拡張版)|自費・自治体助成・混合介護の使い分けと費用相場

デイサービスとデイケアの違いと使い分け|要介護度別の選び方・費用・送迎範囲を完全比較

ショートステイの利用方法|申込から退所までの流れ・連続30日ルール・緊急時の使い方
介護の現場・介護職の視点
同じテーマを介護の現場で働く方の視点から書いた記事。専門家の見方も知っておきたい時に。