脳出血とは

脳出血とは

脳出血は脳実質内の血管が破れて出血する脳卒中の一型。被殻・視床・小脳・脳幹など部位別の症状、急性期治療、回復期以降の介護対応を看護師視点で解説。

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この記事のポイント

脳出血(のうしゅっけつ)とは、脳実質内の細い血管が破れて脳の中に出血する疾患です。脳卒中全体の約18%を占め、最大の原因は高血圧。被殻・視床・小脳・脳幹など出血部位によって症状が異なり、片麻痺・意識障害・嚥下障害などの後遺症を残しやすい疾患です。介護現場では血圧管理と再発予防が中心テーマになります。

目次

脳出血の定義と発症メカニズム

脳出血(intracerebral hemorrhage:ICH)は、脳の実質内(脳組織の中)にある細い動脈が破れて出血する疾患で、出血性脳卒中の代表的なタイプです。脳の中に血液が溜まると血腫が周囲の脳組織を圧迫し、神経機能に急性の障害を引き起こします。日本脳卒中学会の「脳卒中治療ガイドライン2021」では、脳卒中全体の約18%を占めるとされています。

最大の原因は高血圧です。慢性的な高血圧によって脳の細い動脈の壁が傷つき、動脈硬化が進行することで血管が破れやすくなります。次いで、脳アミロイドアンギオパチー(高齢者の皮質下出血の原因)、脳動静脈奇形、抗凝固薬服用、肝機能障害による凝固異常などが原因となります。

厚生労働省「2022年人口動態統計」では、脳出血を含む脳血管疾患による死亡数は年間約10.7万人で、死因の第4位。発症は60〜70代に多く、特に冬季の早朝・日中の活動時間帯(血圧が上昇する時間帯)に好発します。脳梗塞と比べると発症年齢が若く、急激に進行するのが特徴です。

出血部位別の症状と特徴

脳出血は出血が起こった部位によって症状と予後が大きく異なります。CT・MRIで出血部位を確認することが診断の基本です。

出血部位頻度主な症状予後の特徴
被殻出血約40%反対側の片麻痺・感覚障害・共同偏視最多。中等度の血腫は手術適応
視床出血約30%感覚障害・意識障害・眼球運動障害脳室穿破で予後不良
小脳出血約10%激しい頭痛・嘔吐・歩行困難・めまい3cm超は手術適応
脳幹(橋)出血約10%意識障害・四肢麻痺・呼吸障害致死率が最も高い
皮質下出血約10%部位により多彩な症状・けいれん高齢者に多い・原因精査必要

被殻と視床が最多で、合わせて約7割を占めます。脳幹出血は小規模でも生命予後に直結するため、急性期に最も警戒が必要な部位です。

急性期から在宅復帰までの流れ

脳出血の発症から在宅・施設復帰までは、ステージごとに目標が異なります。介護職・看護師は次の流れを理解しておくと、家族支援や受け入れ準備で役立ちます。

1. 超急性期(発症〜48時間)

救急搬送後、CT検査で診断確定。降圧療法(収縮期血圧140mmHg未満を目標)と頭蓋内圧管理を行い、血腫量が30mLを超える被殻出血や3cm超の小脳出血では血腫除去術が検討されます。意識障害がある場合は気管挿管・人工呼吸管理。

2. 急性期(〜2週間)

状態が安定したらICU/SCUから一般病棟へ。早期離床と並行して嚥下評価・リハビリ開始。誤嚥性肺炎・深部静脈血栓症・再出血の予防が中心です。

3. 回復期(2週間〜6か月)

回復期リハビリテーション病棟(最長180日)で、PT・OT・STによる集中的リハ。歩行訓練・ADL訓練・嚥下訓練・高次脳機能訓練を組み合わせます。介護保険申請はこのタイミングで実施。

4. 維持期(6か月〜)

自宅・特別養護老人ホーム・介護老人保健施設などへ移行。デイケア・訪問リハ・訪問看護を活用しながら、機能維持と再発予防を継続します。

介護現場で注意すべき再発サイン

脳出血の5年再発率は約25%と高く、再発予防は介護現場の重要テーマです。日常ケアで以下のサインを見逃さないことが、再発時の早期対応に直結します。

血圧コントロールの観察

降圧薬の服用継続が再発予防の最大の柱です。バイタルサインとして朝晩の血圧測定を習慣化し、収縮期血圧が140mmHg以上、または普段より20mmHg以上高い日が続く場合は医療職へ報告。冬季は特に注意が必要です。

FASTサインの再評価

「いつもと違う」表情の左右差、ろれつの違和感、片手での食事動作の変化は再発の前兆かもしれません。FASTサインを意識した観察を全職員で共有します。

抗血栓薬と降圧薬の服薬管理

心房細動などで抗凝固薬を併用する利用者は、出血リスクと再発予防のバランスが難しい状態です。服薬管理では飲み忘れだけでなく自己中断を防ぐことが重要です。歯科処置・転倒時の出血傾向にも注意します。

転倒予防

抗凝固薬服用中の利用者は軽い転倒でも頭蓋内出血を起こす可能性があります。居室の段差・敷物・夜間トイレ動線を再点検し、必要に応じてポータブルトイレや見守りセンサーを導入します。

よくある質問

Q1. 脳出血と脳梗塞の違いは何ですか?

機序が真逆です。脳出血は血管が破れて出血、脳梗塞は血管が詰まって血流が途絶える疾患です。治療法も逆で、脳梗塞では血栓溶解(出血しやすくする)、脳出血では止血と降圧(出血を止める)が必要です。CT検査で短時間に鑑別できます。

Q2. 脳出血の初期症状は?

典型的には、突然の激しい頭痛・嘔吐・片麻痺・ろれつの回らなさが急激に出現します。意識障害を伴うことも多く、「徐々に進行する」のではなく「数分〜数時間でピークに達する」のが特徴です。

Q3. 高齢者の脳出血で気をつけるべきタイプは?

高齢者では「脳アミロイドアンギオパチー」による皮質下出血が増えます。降圧薬で予防しにくく、抗血栓薬使用で出血リスクが上がるため、循環器・神経内科医と連携した薬剤調整が必要です。

Q4. 脳出血後にリハビリで回復しますか?

出血部位と血腫量によりますが、多くは6か月〜1年かけて段階的に改善します。発症後3か月以内のリハビリ強度が予後を左右するため、回復期リハビリテーション病棟での集中訓練が推奨されます。

Q5. 介護施設で脳出血を疑った場合の対応は?

意識障害・激しい頭痛・嘔吐・片麻痺が突然出現したらFASTサインと併せて即119番。降圧目的に自己判断で薬を投与しないこと。最終健常時刻と既往(高血圧・抗血栓薬服用)を救急隊に正確に伝えます。

まとめ

脳出血は高血圧を主因とする出血性脳卒中で、被殻・視床・小脳・脳幹など部位によって症状と予後が大きく異なります。急性期は降圧と血腫管理、回復期はリハビリ集中、維持期は再発予防の血圧管理と服薬継続が中心です。介護現場では血圧の毎日の記録、FASTサインの観察、転倒予防が看護師・介護職の協働ポイントになります。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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