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📑目次

  1. 01認知症の在宅ケアに関わる介護サービスの供給データ
  2. 02徘徊が起きる背景の理解
  3. 03家庭でできる備え5本柱
  4. 04GPS見守り端末の比較ポイント
  5. 05行方不明発生時の対応手順
  6. 06徘徊と家族の限界判断
  7. 07認知症徘徊対策のよくある質問
  8. 08徘徊高齢者の現状データと地域連携の実態
  9. 09参考文献・出典
  10. 10まとめ
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認知症の徘徊:家庭でできる備え
ご家族・ご利用者向け

認知症の徘徊:家庭でできる備え

認知症の徘徊(一人歩き)は家族の不安が大きい行動症状。GPS見守り端末・自治体のSOSネットワーク・近隣との顔覚え依頼など、家庭でできる予防的な備えを家族目線で解説。

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この記事のポイント

認知症の徘徊(一人歩き)対策は、①家庭内環境の工夫(玄関センサー・施錠の見直し)②GPS見守り端末の導入(カード型・端末型・靴一体型)③自治体のSOSネットワークへの登録 ④近隣住民への顔覚え依頼 ⑤警察への事前情報共有 の5本柱で進めるのが基本です。早期発見の鍵は「いなくなって30分以内の通報」で、近隣・警察・包括の連携体制を平時から作っておくことが、本人の安全と家族の安心につながります。家族だけで抱え込まず地域資源を活用しましょう。

📑目次▾
  1. 01徘徊が起きる背景の理解
  2. 02家庭でできる備え5本柱
  3. 03GPS見守り端末の比較ポイント
  4. 04行方不明発生時の対応手順
  5. 05徘徊と家族の限界判断
  6. 06認知症徘徊対策のよくある質問
  7. 07徘徊高齢者の現状データと地域連携の実態
  8. 08参考文献・出典
  9. 09認知症の在宅ケアに関わる介護サービスの供給データ
  10. 10まとめ

「夜中に家を出てしまい、警察に保護された」「買い物に出たまま帰ってこなかった」。認知症の進行に伴う徘徊(最近は「一人歩き」と呼び替える運動もあります)は、家族の不安が最も大きい行動症状の一つです。徘徊中の事故・行方不明・冬季の凍死など、命に関わる事案も毎年報告されており、警察庁の統計では認知症が原因と思われる行方不明者は年間1万9千件を超える状況が続いています。

一方、家族・近隣・自治体・警察が連携した見守り体制が整えば、徘徊そのものを完全に防げなくても、早期発見・無事保護の可能性は大きく高まります。GPS見守り端末の普及、自治体のSOSネットワーク、地域包括支援センターの相談機能など、利用できる仕組みは年々充実してきました。

本記事では、徘徊が起きる背景の理解から、家庭でできる5本柱の備え、GPS端末選びのポイント、警察・近隣との連携の作り方、そして「在宅介護の限界」をどう見極めるかまで、家族目線で実践的に整理します。一人で抱え込まず、地域全体の見守り資源を活用することが、長い在宅介護生活を持続可能にする鍵になります。

大切な視点は「徘徊は本人の意思や尊厳を持った行動である」という認識。家族が本人を「監視する対象」と見るのではなく、「安全に外出を続けられる環境を地域と一緒に整える対象」と捉え直すことで、家族の心理的負担も和らぎます。本記事を通じて、本人の自由と家族の安心の両立を目指す現実的な方法を一緒に考えていきましょう。

徘徊が起きる背景の理解

認知症の徘徊は「目的のない歩き回り」と思われがちですが、本人にとっては多くの場合に何らかの目的や意味があります。家族が背景を理解することで、対応の精度が上がります。

1. 見当識障害

時間・場所・人物が認識できなくなる症状。「ここは自分の家ではない」「会社に行かなければ」「子どもを迎えに行く」など、本人の中で過去の記憶と現在の生活が混ざり合い、行動を起こします。

2. 記憶障害

外出した目的を忘れて道に迷う、自宅の方向がわからなくなるパターン。買い物・散歩・通院など日常行動から派生して徘徊が始まるケースが多いです。

3. 不安・焦燥

「何かしなければ」という焦燥感や、「居場所がない」という不安から、じっとしていられず歩き回るパターン。BPSD(行動・心理症状)の一形態として知られています。

4. 身体感覚の変化

排泄欲求・痛み・空腹などを言語化できず、その不快感から動き回るケース。トイレを探していたが場所がわからず外に出てしまう、という例もよくあります。本人がトイレと感じても部屋を出てそのまま外に向かってしまうことも。

5. 認知症の用語呼び替えの動き

2020年代以降、「徘徊」という言葉が本人の意思や尊厳を軽視するとの指摘から、「一人歩き」「ひとり歩き」と呼び替える自治体・団体が増えています。本記事では検索性を考慮し「徘徊」を使いますが、本人と接するときは「お父さん、どこ行きたかったの?」と尊重の姿勢で関わる視点が大切です。家族が本人の行動の背景を理解しようとする姿勢が、結果として本人の安心感を高め、徘徊頻度の低下にもつながります。

家庭でできる備え5本柱

1. 家庭内環境の工夫

  • 玄関のドアに人感センサー付きアラーム(数千円〜1万円)を設置
  • 夜間は玄関を施錠(ただし火災時の避難経路を確保)
  • 本人が「外に出たくなる」きっかけを減らす(テレビで旅行番組を見せ続けない等)

2. GPS見守り端末の導入

  • カード型:財布・お守りケースに入れて持たせる
  • 端末型:首から下げる・ポケットに入れる
  • 靴一体型:靴底に内蔵されており本人が気付かず携帯できる
  • 月額料金:500〜2,000円程度(端末本体は5,000〜15,000円)

3. 自治体のSOSネットワーク登録

多くの市区町村が「徘徊高齢者見守り・SOSネットワーク」を運用。事前に本人の写真・身体的特徴・連絡先を登録しておけば、行方不明時に警察・タクシー会社・コンビニ・郵便配達員等に一斉連絡される仕組み。登録は無料で、地域包括支援センターで申込可能。

4. 近隣住民への顔覚え依頼

マンション・町内会の場合、「父が認知症で時々一人で外出することがあります。見かけたら声をかけてください」と挨拶しておく。近隣の理解を得ることは最強の見守り体制になります。

5. 警察への事前情報共有

所轄の警察署・交番に「認知症の家族がいる」ことを事前に伝え、写真と連絡先を渡しておく。行方不明届を出した時の対応が格段に早くなります。

GPS見守り端末の比較ポイント

タイプ携帯のしやすさ本体価格月額料金注意点
カード型◎ 財布に入れられる5,000〜10,000円500〜1,500円本人が財布を持たないと意味なし
端末型(ペンダント)○ 首から下げる8,000〜15,000円800〜2,000円本人が外してしまうリスク
端末型(ポケット)○ 持たせれば便利5,000〜12,000円500〜1,500円充電を忘れるとアウト
靴一体型◎ 本人が気付かない10,000〜20,000円1,000〜2,000円他の靴を履かれると無効
キーホルダー型△ 鍵を持つ習慣が必要5,000〜10,000円500〜1,500円本人が鍵を持たない場合は不向き

選び方のコツは「本人の生活パターンに合わせる」こと。靴を1〜2足しか持っていない男性なら靴一体型、財布を常に持ち歩く女性ならカード型が現実的です。家族の中で「誰がGPS位置を確認するか」も決めておきましょう。

行方不明発生時の対応手順

ステップ1:気づいた瞬間〜30分

「いない」と気づいたら、すぐ自宅周辺を徒歩で探索。本人が向かう傾向のある場所(実家・職場・お墓・思い出の場所)を最優先で確認。家族で手分けして探します。

ステップ2:30分経過時

警察への110番通報。「認知症の◯◯歳の父(母)が30分前から行方不明」と伝え、行方不明者届を出します。写真・服装・身体的特徴を伝えると効率的。GPS端末を持たせていればその位置情報も共有。

ステップ3:地域への発信

事前にSOSネットワーク登録していれば、市区町村の防災無線・タクシー会社・郵便配達などに自動配信されます。未登録の場合は、近隣住民・町内会・本人がよく行く店(スーパー・コンビニ)に直接連絡。SNSでの発信は本人のプライバシー保護の観点から慎重に。

ステップ4:保護後の対応

本人が保護されたら、まず体調確認(脱水・低体温・けが)を行い、必要なら受診。今回の徘徊の原因を振り返り、ケアマネジャー・主治医と共有して再発防止策を講じます。本人を責めないことが何より大切です。

長期化した場合

24時間以上発見されない場合、家族の精神的負担も大きくなります。地域包括支援センターと連携し、メディア発信(新聞・テレビ)の可能性も検討します。最近は警察と連動した地域防災メールの活用例も増えています。

徘徊と家族の限界判断

徘徊が頻発するようになると、家族の心身負担は急速に増大します。「在宅介護を続けるか・施設入所を検討するか」の判断軸を持っておくことは、家族と本人の双方を守る視点で大切です。

限界判断の5指標

  1. 夜間の徘徊頻度:週3回以上で家族の睡眠時間が4時間を切る状態が続くなら要再考
  2. 転倒・けが・行方不明事案:月1回以上の発生
  3. 家族の就労制限:本人を一人にできず仕事を辞めざるを得ない状況
  4. 主介護者の健康悪化:腰痛・うつ・体重減少などの身体症状
  5. 本人の安全感:本人自身が「家にいるのが怖い」と訴える

限界に近づいた時の選択肢

  • ショートステイの計画的利用(月3〜7日でも家族の休息になる)
  • 認知症対応型グループホームへの入居検討
  • 特別養護老人ホームの申込開始(待機期間を考慮し早めに)
  • 小規模多機能型居宅介護(通い・訪問・宿泊を柔軟に組合せ)

「家で看取りたい」気持ちと「家族が倒れたら本人も支えられない」現実のバランスを、ケアマネジャー・地域包括と一緒に整理する時期です。施設入所は家族の敗北ではなく、本人の安全と尊厳を守る積極的な選択肢です。

認知症徘徊対策のよくある質問

Q. GPSを本人が嫌がる場合は?

A. 靴一体型・キーホルダー型など「本人が意識しない」形態を選ぶのが現実的です。「お守り」と説明したり、家族の誰かが普段持っている小物の中に入れる工夫も。本人の尊厳を守りつつ安全を確保する折衷案を、家族で考えましょう。

Q. 介護保険で使える徘徊対策はありますか?

A. 直接的にGPS端末をレンタルできる介護保険サービスはありませんが、自治体独自の助成(GPS端末利用料の補助、月500〜1,500円)を持つ市区町村が増えています。地域包括に「徘徊対策の助成制度」を確認しましょう。福祉用具では「人感センサー付き離床マット」が貸与対象になる場合があります。

Q. 警察への事前登録は法的にどんな効果がありますか?

A. 法的義務ではなく任意の情報共有ですが、行方不明時の対応スピードが格段に変わります。所轄警察署の生活安全課が窓口で、写真・身体的特徴・連絡先・行動傾向を記録してもらえます。プライバシーは厳重に管理されるので安心です。

Q. 認知症徘徊で事故が起きたら家族の責任は?

A. 2016年の最高裁判決(JR東海事件)で、家族の監督責任は限定的との判断が出ており、家族が常時見守りすべきとの法的義務はありません。ただし、保険商品(個人賠償責任保険、自治体の徘徊高齢者賠償責任保険)に事前加入しておくと、万一の経済的リスクを大幅に軽減できます。多くの自治体が無料または低額で加入できる賠償責任保険を用意しています。

徘徊高齢者の現状データと地域連携の実態

警察庁の「行方不明者の状況」(2023年)によれば、認知症が原因と思われる行方不明者の届出数は19,039人で過去最多を更新。10年前(2013年)の10,322人から1.8倍に増加しています。

発見までの時間と生存率

  • 24時間以内発見:約84% 生存率99%以上
  • 1〜7日後発見:約14% 生存率90%程度
  • 1週間以上:約2% 生存率は急速に低下

「24時間以内に発見できれば、ほぼ全員が無事」という事実は、早期通報の重要性を物語っています。家族が「もう少し様子を見よう」と躊躇する時間が、本人の安全を大きく左右します。

SOSネットワーク導入自治体の効果

名古屋市・福岡市など先進自治体のSOSネットワーク導入後、行方不明者の平均発見時間は約3時間短縮されたとの報告があります。家族からの届出を受けて自治体・警察・タクシー・コンビニ・郵便配達等が同時に動く仕組みの効果が証明されています。

家族の経済的負担

個人賠償責任保険(年額1,500〜3,500円)に加入していれば、徘徊中の事故(線路立入による電車遅延・他者への損害など)の賠償リスクをほぼカバーできます。自治体によっては高齢者見守り賠償責任保険を無料で提供しているところもあるので、お住まいの市区町村に確認しましょう。

参考文献・出典

  • [1]
    認知症施策推進大綱- 厚生労働省

    認知症本人と家族の支援施策

  • [2]
    認知症高齢者の徘徊・行方不明対策- 厚生労働省

    地域包括ケアと徘徊対策

  • [3]
    認知症の人にやさしい地域づくり- 認知症介護研究・研修センター

    地域連携の好事例

  • [4]
    行方不明者の捜索体制- 警察庁

    行方不明者統計と捜索体制

  • [5]
    認知症高齢者見守り・SOSネットワーク- 国立長寿医療研究センター

    地域見守り体制の構築

関連する公的データ(本文の補足)

認知症の在宅ケアに関わる介護サービスの供給データ

認知症の在宅ケアでは、症状が進んだときの受け皿になるグループホームの供給と、日中の生活リズムを支えるデイサービス・訪問介護の供給をあわせて見ておくと、先の見通しを立てやすくなります。本サイトが集計した厚生労働省由来のデータでは、グループホームの事業所は全国に14,297件、75歳以上人口1万人あたりでは6.9件です。

サービス種別全国事業所数75歳以上1万人あたり最も供給が厚い県最も薄い県
グループホーム14,297件6.9件長崎県(14.2件)東京都(3.8件)
デイサービス24,742件11.9件沖縄県(33.3件)北海道(7.6件)
訪問介護35,172件16.9件大阪府(34.8件)新潟県(8.8件)

グループホームの供給密度は、最も厚い長崎県(75歳以上1万人あたり14.2件)と最も薄い東京都(同3.8件)で約3.8倍の開きがあります。グループホームの供給には大きな地域差があり、薄い地域では入居待ちが長くなりがちです。在宅でのケアが回っているうちから地域の供給を把握し、限界が来る前に申し込みや見学を始めるのが現実的です。

徘徊への備えは、GPSや見守りネットワークと、日中の活動量を増やして夜間の外出動機を減らすデイサービス利用の二段構えが基本です。ケアマネや地域包括支援センターには「認知症対応型デイサービスの有無」と「グループホームの待機状況」を確認しておくと、急な悪化時にも慌てずに済みます。

出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム掲載データに基づく本サイト集計(事業所数)、総務省統計局 人口推計(2024年10月1日現在)。事業所数は公開データの登録状況により変動します。

まとめ

認知症の徘徊対策は「絶対防止」より「早期発見・無事保護」を目指す方が現実的です。家庭の工夫・GPS見守り端末・SOSネットワーク・近隣連携・警察事前共有の5本柱を組み合わせれば、本人の自由をある程度尊重しながら安全を守れる体制を作れます。

家族だけで抱え込まず、地域包括支援センター・ケアマネジャー・近隣住民・警察を巻き込んだ「面の見守り」を意識してください。徘徊頻度が増えて家族の生活が破綻しそうな段階では、グループホーム・特養への入居を「次のケアの選択肢」として前向きに検討する時期です。本人の生活の質と家族の持続可能性、その両方を守るための判断を、専門職と一緒に支えてもらいましょう。

徘徊は本人にとって苦しい体験でもあります。「何かしなければ」「家に帰らなければ」と動き回る本人の心は、不安と焦燥に満ちています。家族が本人の世界観に寄り添い、外出から戻った本人を笑顔で迎える日々の積み重ねが、結果として徘徊頻度の低下にもつながることが多いです。完璧を目指さず、できる範囲で見守る。その姿勢こそが、本人にも家族にも長く続く介護の支えになります。

医療・健康情報に関する免責事項

本記事は、介護現場で働く方および介護職への転職を検討される方に向けた一般的な情報提供を目的としており、 個別の症状に対する医学的な診断・治療を行うものではありません。

ご本人・ご家族の症状やケア方法について判断が必要な場合は、必ず医師・看護師・薬剤師・言語聴覚士・理学療法士・作業療法士等の有資格者にご相談ください。 介護保険サービスの利用判断についてはケアマネジャー、行政手続きについては各市区町村の窓口にお問い合わせください。

掲載情報は公開時点の各種公的資料・業界資料に基づき作成していますが、最新の制度・診療ガイドライン等と異なる場合があります。

公開日: 2026年5月12日最終更新: 2026年6月12日

監修者

介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム

医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)

看護師介護福祉士ケアマネジャー

訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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