認知症カフェとは

認知症カフェとは

認知症カフェは、認知症の本人と家族、地域住民、専門職が交流する地域の居場所。役割・運営主体・参加方法・全国の設置状況(厚労省2021年度実績)まで解説します。

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この記事のポイント

認知症カフェとは、認知症の本人やその家族、地域住民、医療・介護の専門職など誰でも気軽に立ち寄れる地域の交流の場です。2012年に厚生労働省「オレンジプラン」で全国展開が打ち出され、2021年度時点で47都道府県1,543市町村に7,904カ所が設置されています。お茶を飲みながら情報交換や相談ができ、認知症になっても地域で安心して暮らし続けるための居場所として広がっています。

目次

認知症カフェの定義と政策上の位置づけ

認知症カフェは、オランダで始まった「アルツハイマーカフェ」やイギリスの「メモリーカフェ」を起源とする取り組みで、日本では2012年策定の「オレンジプラン(認知症施策推進5か年計画)」で正式に推進が決まりました。2015年の「新オレンジプラン」では、「認知症の人の介護者の負担を軽減するため、認知症の人やその家族が、地域の人や専門家と相互に情報を共有し、お互いを理解し合う認知症カフェ等の設置を推進する」と明記されています。

2019年に閣議決定された「認知症施策推進大綱」と、2024年1月施行の共生社会の実現を推進するための認知症基本法でも、認知症カフェは「本人・家族・地域住民・専門職が集い、相互に支え合う場」として、地域共生社会づくりの基盤に位置づけられています。市町村が実施する地域支援事業の任意事業として運営費補助の対象となっており、多くは月1〜2回程度の定期開催で、一般的な喫茶店ではなく公民館・地域包括支援センター・介護事業所・寺社・空き店舗などを会場にしています。

「カフェ」という呼称ですが、目的はコーヒー提供ではなく 本人と家族が孤立しない地域づくり です。当事者本人が運営側に回る「DAYS BLG!」型、認知症サポーターが運営する地域住民主導型、医療機関併設型など多様な形態が共存しているのが特徴です。

全国の認知症カフェ設置状況(厚労省調査)

厚生労働省「認知症総合支援事業」の実績報告によれば、認知症カフェの全国設置数は次のように推移しています。

年度実施市町村数カフェ数
2015年度682市町村2,253カフェ
2018年度1,265市町村6,772カフェ
2019年度1,376市町村7,737カフェ
2021年度1,543市町村(全市町村の約88.6%)7,904カフェ

運営主体の内訳を見ると、地域包括支援センター・介護事業所が約4割、社会福祉法人・NPO法人・住民グループ・医療機関などがそれに続きます(厚労省「認知症カフェの実態に関する調査研究事業 報告書」より)。コロナ禍で一時的に休止したカフェもありましたが、2022年以降は屋外開催やオンラインカフェなど運営形態を変えながら再開する事例が増えています。

都道府県別では京都府・大阪府・東京都などの都市部に集中する一方、人口あたりの設置数では地方圏が上回る地域もあり、「市町村の任意事業」という位置づけゆえに地域差が大きいのが現状です。

認知症カフェの5つの役割

厚生労働省「認知症カフェ・認とも」の整理によると、認知症カフェは次の5つの機能を担っています。

  1. 本人の社会参加・自己実現の場:認知症と診断されても役割を持ち、地域とつながり続けられる居場所として機能します。
  2. 家族介護者のレスパイト・情報交換の場:同じ立場の家族と悩みを共有し、孤立感や介護うつを予防します。介護休暇取得時の選択肢にもなります。
  3. 地域住民の理解促進・認知症サポーター養成の場:認知症基本法が掲げる「共生社会」の実践現場として、住民が認知症の人と自然に出会える機会を作ります。
  4. 医療・介護専門職との早期接点:医師・看護師・ケアマネジャー・社会福祉士などが参加し、医療機関や地域包括支援センターにつなぐ前段階の相談窓口として機能します。
  5. 軽度認知障害(MCI)・若年性認知症へのアウトリーチ:診断前・初期の本人を医療や介護保険に早期につなぐ「ゲートウェイ」として、早期発見・早期対応に貢献します。

これら5機能のうちどこに重点を置くかは、運営主体や地域によって異なります。たとえば住民主導型は1・3が中心、医療機関併設型は4・5が中心、というように住み分けが進んでいます。

認知症カフェ・認とも・通いの場の違い

地域に存在する認知症関連の集いは複数あり、混同されがちですが、次のように役割が異なります。

名称主な対象頻度運営主体位置づけ
認知症カフェ本人・家族・住民・専門職月1〜2回市町村事業/包括/NPO等交流・相談・社会参加
認とも(にんとも)認知症の本人個別訪問・少人数市町村・住民本人の外出・社会参加支援
通いの場主に高齢者全般週1回前後住民主体介護予防・フレイル予防
家族会家族介護者中心月1回程度家族会・NPO当事者家族同士の支援
地域包括支援センター高齢者全般常設市町村委託総合相談・公的窓口

認知症カフェは「本人+家族+住民+専門職」が同じ場に集まる点が他と最も異なります。介護保険制度上のサービスではないため利用料は一般に100〜300円程度と低額で、介護認定や事前申請も不要です。一方、ケアプランの一環として位置づけられるデイサービスや小規模多機能型居宅介護とは別物で、ケアマネジャーの計画に組み込まれることはありません。

認知症カフェの探し方・参加までの流れ

初めて認知症カフェを利用するときは、次の順序で情報を集めると確実です。

  1. 市区町村の高齢福祉課・地域包括支援センターに問い合わせる:自治体ごとに「認知症カフェマップ」「認知症ガイドブック」を発行していることが多く、開催日・場所・参加費・参加対象が一覧化されています。
  2. 都道府県の認知症施策ポータルを確認する:埼玉県「彩の国認知症カフェ」、東京都「認知症ナビ」など、都道府県単位で検索ページを公開している自治体もあります。
  3. かかりつけ医・もの忘れ外来に相談する:認知症疾患医療センターや地域の認知症サポート医が、信頼できる近隣カフェを紹介してくれるケースがあります。
  4. 初回は家族同伴・短時間から:本人が抵抗を示す場合は、まず家族だけ参加して雰囲気を見てから次回本人を誘うなど段階的に。
  5. 合わなければ別のカフェを試す:レクリエーション中心型・対話中心型・専門職相談型など雰囲気が大きく異なるため、複数試してみるのが基本です。

専門職側として参加する場合は、施設・事業所のケアマネジャーや認知症ケア専門士に相談すると、地域の運営者から協力依頼を受ける流れになることが多いです。

よくある質問

Q. 認知症の診断がなくても参加できますか?

はい。多くのカフェは「もの忘れが気になる人」「軽度認知障害(MCI)の人」「介護家族」「地域住民全般」を対象にしており、診断書や介護認定は不要です。一部、本人と家族のみを対象とする「クローズド型」もあるので事前に確認しましょう。

Q. 利用料はいくらかかりますか?

1回100〜300円程度(飲み物・茶菓代)が一般的です。市町村の補助を受けて無料運営しているカフェもあります。介護保険サービスではないため自己負担割合の対象にはなりません。

Q. デイサービスとの違いは?

デイサービス(通所介護)は介護保険の給付対象で、要介護認定とケアプランが必要です。認知症カフェは保険外の地域活動で、認定なしで誰でも参加できる開かれた場という点が大きく異なります。

Q. 若年性認知症の本人・家族でも参加できますか?

可能です。むしろ「若年性認知症本人ミーティング」や「若年性認知症カフェ」と銘打つ専用カフェも全国に増えており、就労や子育てと並行する世代特有の悩みを共有できる場として注目されています。

Q. 介護職や専門職はどう関われますか?

運営側のスタッフ・ボランティアとして参加するほか、専門職向けの相談コーナー担当・認知症サポーター講座の講師など多様な関わり方があります。事業所が地域貢献活動として運営に参画する例も増えています。

参考資料

まとめ

認知症カフェは、認知症の本人・家族・地域住民・専門職が垣根なく集まる地域の居場所です。2012年のオレンジプラン以降、全国の市町村に広がり、2021年度には7,904カフェが運営されています。介護保険サービスではなく診断や認定が不要で、誰でも気軽に立ち寄れる開かれた場という点が他の高齢者向け事業との大きな違いです。

家族介護者にとっては孤立を防ぐレスパイトの場となり、本人にとっては社会とのつながりを保つ自己実現の場となります。介護職にとっても、施設・事業所内では見えない地域住民や本人の素顔と出会える貴重な機会です。お住まいの市区町村の高齢福祉課・地域包括支援センターから一歩を踏み出してみてください。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

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