看取り期に家族がすべき準備|身体の変化・延命治療の意思確認・グリーフケアまで
ご家族・ご利用者向け

看取り期に家族がすべき準備|身体の変化・延命治療の意思確認・グリーフケアまで

看取り期に家族が直面する身体の変化のサイン、ACP(人生会議)での延命治療の意思確認、医療・介護チームとの連携、葬儀の事前準備、グリーフケアまでを在宅看取りの実務に沿って解説します。

お近くの介護施設を探す

地域ごとの施設数や施設タイプを確認しながら、候補を絞り込めます。

施設を探す
ポイント

この記事のポイント

看取り期に家族がすべき準備は大きく5つです。(1)ACP(人生会議)で延命治療や最期の場所についての本人の意思を確認、(2)在宅医・訪問看護師・ケアマネジャーとの24時間連絡体制の確立、(3)食事減退・呼吸変化・四肢冷感など身体の変化のサインの理解、(4)葬儀社の事前相談、(5)グリーフケア窓口の把握です。デリケートな判断が続くため、必ず主治医や訪問看護師など医療専門職と相談しながら進めてください。

目次

大切な家族の最期が近づくとき、多くのご家族は「自分に何ができるのか」「何を準備すべきなのか」と戸惑います。看取り期は、本人の身体に大きな変化が現れ、医療・介護の判断が立て続けに必要になる時期です。事前に準備があれば、ご本人が望む最期を支えることができ、家族の後悔も減らせます

この記事では、在宅での看取りを想定し、家族がすべき具体的な準備を解説します。看取り期の定義とACP(人生会議)、身体の変化のサインの読み取り方、医療・介護チームとの連絡体制、延命治療など意思確認すべき項目、葬儀の事前準備、看取り後のグリーフケアまでを一連の流れで整理しました。

厚生労働省「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」では、本人の意思を中心に医療・ケアチームと話し合いを重ねるプロセスが推奨されています。本記事もこのガイドラインの考え方をベースに、ご家族の立場から実際に何を準備すべきかを整理しています。

看取りは医学的な判断を含むデリケートなテーマです。本記事の内容はあくまで一般的な情報であり、具体的な対応は主治医・訪問看護師・ケアマネジャーなどの医療・介護専門職に必ず相談してください。本人の病状や家族の状況によって最適な対応は異なります。

看取り期とは|ACP(人生会議)の重要性

看取り期とは、医学的に回復が見込めず、人生の最終段階を迎える時期を指します。明確な日数の定義はありませんが、一般的には余命が数週間から数ヶ月程度と判断された段階から、亡くなるまでの期間を意味します。終末期・ターミナル期と重なる概念ですが、看取り期は「家族が見送る」という視点が強調されます。

ターミナルケア・緩和ケアとの違い

類似する言葉に「ターミナルケア」と「緩和ケア」がありますが、いずれも本人の苦痛を和らげるケアという点で共通しています。ただし、対象期間と目的に違いがあります。

  • 緩和ケア:診断時から行われる、痛み・苦しみ・不安の緩和を目的としたケア。看取り期に限定されない。
  • ターミナルケア:終末期の医療的ケア。延命より苦痛緩和を優先する考え方。
  • 看取りケア:最期の数日〜数週間を、本人の希望に沿って穏やかに過ごせるよう支える、家族と医療・介護チームによるケア。

ACP(人生会議)が看取り準備の出発点

厚生労働省は、人生の最終段階における医療・ケアについて、本人・家族・医療ケアチームが事前に繰り返し話し合うプロセスを「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」と呼び、愛称を「人生会議」として普及を進めています(2018年に愛称を一般公募で決定、11月30日は「人生会議の日」)。

ACPの特徴は、一度決めたら終わりではなく、本人の状態や価値観の変化に応じて繰り返し話し合う点にあります。本人が意思表示できなくなった時に備え、「自分が望むこと・望まないこと」を家族と医療・介護チームで共有しておくことで、家族の判断負担を大きく減らせます。

意思を確認すべき項目

ACPで話し合う代表的な項目は次のとおりです。

  • 最期を迎えたい場所(自宅・病院・施設・ホスピス)
  • 延命治療の希望(心肺蘇生・人工呼吸器・経管栄養・人工透析・輸液など)
  • 救急搬送の希望(容態急変時に救急車を呼ぶか)
  • 緩和ケア・鎮静の希望
  • 葬儀・お墓に関する希望
  • 大切にしている価値観や生き方

本人が話せるうちに、繰り返し対話を重ねることが何より重要です。一回で結論を出そうとせず、時間をかけて少しずつ確認していきましょう。

看取り期に現れる身体の変化のサイン

看取り期に近づくと、本人の身体に共通してみられる変化があります。これらの変化は病気ではなく自然な経過であり、医療で「治す」対象ではありません。事前に知っておくことで、慌てずに本人に寄り添うことができます。

ただし、症状の見立ては医師・訪問看護師の判断が必要です。変化に気づいたら必ず連絡してください。

1. 食事・水分摂取量の減退(数週間〜数日前)

看取り期に最も早く現れる変化が、食欲の低下です。「あれだけ好きだったものを食べなくなった」「水も少ししか飲まない」という状態になります。

これは身体が栄養や水分を必要としなくなる自然な経過です。無理に食べさせようとせず、本人の食べたいタイミング・食べたいものを少量ずつ提供しましょう。誤嚥(食べ物が気管に入る)を防ぐため、姿勢や食べさせ方は訪問看護師に相談すると安心です。

2. 傾眠・意識レベルの変化(数日前〜)

眠っている時間が長くなり、声をかけても反応が薄くなります。日中もうとうとし、目を開けてもぼんやりしていることが増えます。

意識がはっきりしない状態でも、聴覚は最後まで残ると言われています。「ありがとう」「大好きだよ」など、伝えたい言葉は躊躇なく声をかけてあげてください。

3. 呼吸の変化(数日〜数時間前)

呼吸のリズムが不規則になります。具体的には次のようなパターンが現れます。

  • 下顎呼吸:あごを上下に動かして息をするような呼吸。亡くなる数時間〜直前にみられる。
  • チェーンストークス呼吸:浅い呼吸と深い呼吸が交互に現れ、無呼吸の時間が混じる。
  • 死前喘鳴(しぜんぜんめい):のどに溜まった分泌物でゴロゴロという音がする。本人は苦しくないとされる。

家族にとっては「苦しそう」に見えても、本人は意識が低下しており苦痛を感じていないケースが多いとされます。不安なときは訪問看護師に連絡し、緩和ケアの方法を相談しましょう。

4. 循環の変化・四肢の冷感(数時間前〜)

血液循環が低下し、手足が冷たくなり、皮膚の色が紫色や青白く変化します(チアノーゼ)。脈拍も弱く、不規則になります。

本人は寒さを感じているとは限りませんが、家族として温かいタオルや毛布でそっと包んであげると、寄り添う実感が得られます。

5. 尿量の減少・失禁

腎機能が低下し、尿量が減ります。逆に失禁が起こることもあります。介護用パッドやおむつで対応し、訪問看護師の指導を受けながら清潔を保ちましょう。

変化のサインを記録しておく

気づいた変化(時刻・症状・本人の反応)をノートやスマホにメモしておくと、訪問看護師や医師に状況を正確に伝えられます。緊急時に役立つだけでなく、後で振り返ったときに「最期まで丁寧に向き合えた」という家族の納得感にもつながります。

医療・介護チームとの連絡体制をつくる

在宅で看取りを行う場合、家族だけで抱え込むのは現実的ではありません。医療・介護のプロが24時間体制で支えてくれる仕組みを整えることが不可欠です。看取り期に入る前に、以下のメンバーとの連絡体制を確認しておきましょう。

STEP1. 主治医(在宅医・訪問診療医)を確保する

看取りに必要な「死亡診断書」を発行できるのは医師だけです。在宅看取りを希望する場合、定期的に往診してくれる在宅療養支援診療所の医師を早めに見つけましょう。

  • かかりつけ医が往診に対応するか確認する
  • 対応していなければ、地域包括支援センターやケアマネジャーに紹介を依頼する
  • 24時間365日の連絡体制があるかを必ず確認する

主治医が決まらないまま看取り期に入ると、亡くなったときに警察への連絡が必要になり、検視が入ることもあります。家族の精神的負担が大きいため、事前確保が重要です。

STEP2. 訪問看護師との連絡体制

訪問看護師は看取り期に最も頼りになる存在です。身体の変化への対応、痛みや呼吸困難の緩和、家族の不安への寄り添いを担います。24時間対応の訪問看護ステーションを選ぶことが望ましいです。

具体的な連絡内容の例:

  • 急な発熱・出血・意識レベルの変化があったとき
  • 痛みや呼吸困難があるとき
  • 食事が摂れず本人が苦しそうなとき
  • 家族が不安で判断できないとき

STEP3. ケアマネジャーとの連携

看取り期は介護サービスの内容や頻度を柔軟に変更する必要があります。ケアマネジャーに看取りを希望している旨を伝え、ケアプランを「看取り対応」に切り替えてもらいましょう。訪問介護の増回、訪問入浴、福祉用具レンタル(介護ベッド・エアマットなど)の調整を行います。

STEP4. 家族内の役割分担

主介護者一人に負担が集中すると、看取り期に体力・精神力が持ちません。家族内で次のように役割を分担しましょう。

  • 主介護者:ケアの中心。本人のそばにいる時間が長い
  • 連絡係:親族・職場・友人への連絡を担当
  • 事務担当:医療費・葬儀の支払い、書類管理
  • 交代要員:主介護者の休息確保のため、夜間・短時間でも代わる

STEP5. 緊急連絡先リストを目に見える場所に

看取り期は判断力が落ちる場面が多くなります。主治医・訪問看護ステーション・ケアマネジャー・親族の電話番号を一枚の紙にまとめ、冷蔵庫など目立つ場所に貼っておくと、家族の誰でも対応できます。

救急車を呼ぶか・呼ばないか

看取り期に容態が急変したとき、救急車を呼ぶと「延命治療を希望する」という判断とみなされ、本人の意思に反する処置がなされる場合があります。ACPで本人と話し合った内容を踏まえ、急変時にどうするかを家族と医療チームで事前に決めておくことが大切です。判断に迷うときは、まず訪問看護師か在宅医に電話してください。

家族で意思確認すべきこと|延命治療・救急搬送・最期の場所

看取りの準備で最も重要なのが、本人の意思確認です。本人が判断力を保っているうちに、家族と医療・介護チームで話し合い、共有しておく項目を整理します。

1. 延命治療をどこまで望むか

延命治療には複数の選択肢があり、それぞれ別々に意思確認が必要です。一律に「全て拒否」「全て希望」ではなく、項目ごとに本人の希望を聞きましょう。

  • 心肺蘇生(CPR):心停止時に胸骨圧迫・電気ショックなどで蘇生を試みる処置
  • 人工呼吸器:自発呼吸が困難になったときに装着
  • 気管挿管・気管切開:気道確保のための医療処置
  • 経管栄養(胃ろう・経鼻栄養):食事が摂れなくなったときの栄養補給
  • 中心静脈栄養(IVH):太い血管から高カロリー輸液を行う方法
  • 輸液(点滴):水分・電解質の補給
  • 人工透析:腎機能が低下したときの血液浄化
  • 昇圧剤・抗生剤の使用:循環や感染症のコントロール

多くの調査では、延命のみを目的とした医療は望まない人が多数を占めますが、これは個人の価値観によって大きく異なります。「延命治療をしない」=「何もしない」ではないことを家族で確認しておきましょう。緩和ケアや基本的なケアは継続されます。

2. 容態急変時に救急車を呼ぶか

看取り期に救急車を呼ぶと、救急隊は救命処置を行う使命があるため、心肺蘇生や気管挿管が実施されます。これが本人の希望と異なる場合があるため、急変時の対応方針を事前に決める必要があります。

救急車ではなく、まず在宅医・訪問看護師に連絡する流れにしておくと、本人の意思に沿った対応がしやすくなります。

3. 最期を迎えたい場所

本人が望む場所で最期を迎えられるよう、選択肢ごとの特徴を知っておきましょう。

  • 自宅:慣れた環境で家族と過ごせる。24時間の在宅医療体制・家族の介護力が必要
  • 病院:医療体制が整っている。一般病棟・緩和ケア病棟(ホスピス)など
  • 介護施設(特養・有料老人ホーム):看取り対応の施設では最期まで過ごせる
  • ホスピス・緩和ケア病棟:苦痛緩和に特化した医療を受けられる

4. 葬儀・お墓・遺品の希望

本人が話せるうちに、葬儀の形式(家族葬・一般葬・直葬)、参列してほしい人、お墓の希望、遺品の処分方針なども聞いておきましょう。タブー視されがちなテーマですが、聞いておくことで残された家族の判断負担が軽減されます。

5. 大切にしていること・伝えたいこと

医療判断だけでなく、本人が大切にしている価値観や生き方、家族に伝えたい思いも共有しておきましょう。エンディングノートに書き留めておくと、ご家族の心の支えにもなります。

意思確認時の注意点

  • 一度に全部聞こうとしない。会話の流れの中で少しずつ確認する
  • 「本人の希望」を最優先する。家族の希望を押し付けない
  • 本人の状態や気持ちは変わる前提で、繰り返し話し合う
  • 記録に残し、医療・介護チームと共有する
  • 本人が判断できない状態なら、家族で本人の価値観を踏まえて推定する

葬儀の事前準備・グリーフケアの窓口

看取り期の準備は、亡くなった瞬間で終わりではありません。葬儀の事前準備と、看取り後の家族の心のケア(グリーフケア)まで含めて考えておくことが大切です。

葬儀社の事前相談は失礼ではない

「亡くなる前に葬儀の話をするのは縁起が悪い」と感じる方もいますが、実際は事前相談しているご家族のほうが、亡くなった後の判断に追われずに済む傾向があります。多くの葬儀社が事前相談を無料で受け付けています。

事前に決めておきたい項目:

  • 葬儀社(候補を2〜3社に絞り、見積もりを比較)
  • 葬儀の形式(家族葬・一般葬・一日葬・直葬)
  • 規模・予算の目安
  • 菩提寺・宗派の確認
  • 遺影に使いたい写真の準備
  • 連絡すべき人のリスト作成

本人と一緒に話せるなら、本人の希望を確認しながら進めるのが理想です。

亡くなった直後にすべきこと

在宅で亡くなった場合の基本的な流れ:

  1. 主治医(在宅医)に連絡し、死亡確認を受ける
  2. 死亡診断書を受け取る
  3. 葬儀社に連絡する
  4. 近親者に連絡する
  5. 7日以内に死亡届・火葬許可申請を市区町村役場に提出

注意:医師の死亡確認前に遺体を動かしてはいけません。慌てて救急車を呼ぶと検視が必要になることがあるため、まず主治医に連絡してください。

グリーフケアとは|家族の心のケア

グリーフケアとは、大切な人を亡くした遺族が、深い悲しみや喪失感(グリーフ)から徐々に回復していくプロセスを支える支援のことです。看取り後のご家族にとって、自分自身をケアすることも重要な「準備」の一つです。

悲嘆の反応として一般的にみられるもの:

  • 強い悲しみ、涙が止まらない
  • 不眠・食欲不振・体調不良
  • 怒り・罪悪感(もっと何かできたのではないか)
  • 孤独感・無気力
  • 故人の存在を感じる、夢に見る

これらは異常な反応ではなく、自然な悲嘆の過程です。「立ち直らなければ」と焦らず、自分のペースで時間をかけて回復することが大切です。

グリーフケアの窓口

家族だけで抱えきれないと感じたときは、専門の窓口に相談してください。

  • 訪問看護ステーション:看取りを担当したスタッフがグリーフケアを行う事業所も増えています
  • 地域のホスピス・緩和ケア病棟:遺族会・分かち合いの会を開催している施設があります
  • 市区町村の精神保健福祉センター:心の健康相談を受けられます
  • かかりつけ医・心療内科:体調不良が続く場合は早めに受診
  • 遺族会・自助グループ:同じ経験をした人と語り合う場
  • 葬儀社のアフターサポート:相続・遺品整理・遺族の心のケアまで支援する社もあります

悲嘆の感情に支配されて日常生活に支障が出る、半年以上経っても症状が改善しない場合は、必ず心療内科や精神科の専門医に相談してください。「複雑性悲嘆」と呼ばれる状態で、専門的な治療が必要になる場合があります。

家族自身の身体ケアも忘れずに

看取り期は心身ともに消耗します。看取った後は気が抜けて、体調を崩しやすい時期です。意識的に休息をとり、栄養のある食事と睡眠を確保しましょう。一人で抱え込まず、信頼できる人に話を聞いてもらうことも大きな支えになります。

よくある質問(FAQ)

Q1. ACP(人生会議)はいつから始めればよいですか?

A. 終末期になってから始めるのではなく、元気なうちから少しずつ始めることが推奨されます。厚生労働省も「11月30日(いい看取り・看取られ)」を「人生会議の日」とし、健康な時から繰り返し話し合うことを呼びかけています。誕生日や年末年始など家族が集まる機会に話題にすると始めやすいでしょう。

Q2. 本人がACPの話題を嫌がる場合はどうすればよいですか?

A. 無理に進める必要はありません。「もしもの話は縁起が悪い」と感じる方も多いものです。エンディングノートを渡しておく、医療ドラマや報道をきっかけに自然に話題にする、ご自身(家族)の考えを先に伝えてみる、などの方法があります。本人の気持ちが整うのを待ち、繰り返し機会をつくることが大切です。

Q3. 自宅での看取りは家族の負担が大きいのでは?

A. 確かに在宅看取りは家族の関与が大きくなりますが、24時間対応の訪問診療・訪問看護・看取り対応の介護サービスを組み合わせれば、家族だけで抱え込まずに済みます。負担が大きいと感じたら、緩和ケア病棟や看取り対応の介護施設への切り替えも検討できます。一人で背負わず、ケアマネジャーに相談してください。

Q4. 食事ができなくなったら点滴・胃ろうをしたほうがよいですか?

A. これは個別判断が必要なテーマで、本人の意思とご家族の価値観によって答えが変わります。一般論として、看取り期に過剰な輸液や経管栄養を行うと、かえって浮腫や痰の増加など本人の苦痛を増やす場合があると指摘されています。必ず主治医と相談し、本人の意思と医学的判断を踏まえて決めてください

Q5. 看取り期に救急車を呼んでしまった場合、後悔しますか?

A. 突然の容態変化で動揺し救急車を呼ぶことは自然な反応です。救急車を呼んでも、現場で救急隊や搬送先の医師に「本人の意思」「ACPでの話し合い内容」を明確に伝えれば、ある程度の調整は可能です。ただし救急隊は救命が原則のため、本人の意思を尊重する仕組み(事前指示書、地域によってはDNARの取り決め)の準備があると確実です。判断に迷う場面では、まず訪問看護師に電話することを推奨します。

Q6. グリーフケアはどのタイミングで受けるべきですか?

A. 看取り直後だけでなく、四十九日や一周忌など節目のタイミング、症状が長引く場合は半年〜1年以上経過した時点でも専門の支援を受ける価値があります。葬儀社のアフターサービス、訪問看護ステーション、遺族会、心療内科など、状況に応じて窓口を使い分けてください。「立ち直れない」と感じたら早めに相談を。

Q7. 看取りに費用はどのくらいかかりますか?

A. 在宅看取りの場合、医療費(訪問診療・訪問看護)と介護保険サービス費の自己負担分が中心となります。医療費は高額療養費制度の対象となり、所得に応じて自己負担上限額が設定されています。葬儀費用は形式によって幅があり、家族葬で50〜100万円、一般葬で150〜200万円程度が目安とされます。費用が心配な場合はケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してください。

参考文献・出典

まとめ|本人の意思に沿った最期を支えるために

看取り期に家族がすべき準備を整理します。

  • ACP(人生会議)で本人の意思を繰り返し確認しておく
  • 身体の変化のサイン(食事減退・傾眠・呼吸変化・四肢冷感)を理解する
  • 主治医・訪問看護師・ケアマネジャーと24時間の連絡体制を整える
  • 延命治療・救急搬送・最期の場所の希望を項目ごとに確認する
  • 家族内で役割分担し、主介護者の負担を軽減する
  • 葬儀社の事前相談を活用し、後の判断負担を減らす
  • 看取り後のグリーフケア窓口を把握しておく

看取りは、本人にとっても家族にとっても、人生の中で最も大切な時間の一つです。「何を準備していたか」よりも、「本人の希望を理解し、その希望に沿って寄り添えたかどうか」が、家族の納得感を大きく左右します。一人で抱え込まず、医療・介護のプロを頼り、ご家族で話し合いながら、本人らしい最期を支えてください。

不安なこと・判断に迷うことがあれば、まずはケアマネジャー、地域包括支援センター、訪問看護師、在宅医に相談しましょう。あなたとご家族の歩みを支えてくれる人は必ずいます。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。

続けて読む

家族のためのデイサービスの選び方|見学チェックポイント・契約前に確認する10項目

2026/5/11

家族のためのデイサービスの選び方|見学チェックポイント・契約前に確認する10項目

家族がデイサービスを選ぶ際のチェックポイントを解説。通常規模・地域密着型・認知症対応型の違い、見学予約から契約までの流れ、契約前に必ず確認したい10項目、リハ特化型とレク型の比較まで、WAM NET・厚労省の公的情報を基に整理します。

訪問看護を家族が依頼する流れ|医療保険と介護保険の使い分け・主治医指示書・24時間対応

2026/5/11

訪問看護を家族が依頼する流れ|医療保険と介護保険の使い分け・主治医指示書・24時間対応

訪問看護を家族が依頼する流れを、主治医指示書の取り方・医療保険と介護保険の使い分け・24時間対応体制・費用相場まで一次ソースで解説。要介護度別の自己負担額や緊急時対応も掲載。

在宅介護のはじめ方|要介護認定の申請から介護サービス利用開始までの全手順

2026/5/10

在宅介護のはじめ方|要介護認定の申請から介護サービス利用開始までの全手順

在宅介護を始めるご家族・ご本人向けの完全ガイド。地域包括支援センターへの相談、要介護認定の申請、ケアマネ選び、ケアプラン作成、訪問介護・デイサービス・ショートステイ等の使い分け、自己負担と費用目安、介護休業・限界点の見極めまで、専門家への相談動線を交えて丁寧に解説します。

介護疲れ・共倒れを防ぐ|レスパイトケアの活用法と家族のセルフケア

2026/5/10

介護疲れ・共倒れを防ぐ|レスパイトケアの活用法と家族のセルフケア

主介護者の3割が介護うつを経験し、うつ状態だと死亡・要介護リスクが6.9倍に。共倒れの初期サイン、ショートステイ・小規模多機能・看多機などレスパイトケア5種類の使い分け、週次スケジュール例、ZBI負担尺度によるセルフチェック、家族のセルフケア習慣まで、医療・介護専門職への相談導線とともに網羅解説します。

小規模多機能型居宅介護(小多機)の利用方法|通い・訪問・宿泊を1事業所で組合せる仕組み・費用

2026/5/11

小規模多機能型居宅介護(小多機)の利用方法|通い・訪問・宿泊を1事業所で組合せる仕組み・費用

小規模多機能型居宅介護(小多機)の利用方法・費用・登録条件をご家族向けに解説。通い・訪問・宿泊を1事業所で柔軟に組み合わせる地域密着型サービス。月額包括報酬や併用不可サービス、看護小規模多機能との違いも厚労省データで整理。

このテーマを深掘り

関連トピック

介護の現場・介護職の視点

同じテーマを介護の現場で働く方の視点から書いた記事。専門家の見方も知っておきたい時に。