
CKD(慢性腎臓病)とは
CKD(慢性腎臓病)はGFRやたんぱく尿で6段階に分類され、日本の成人約8人に1人が該当する。高齢者では早期介入と生活管理が進行抑制の鍵で、介護現場では服薬・食事・脱水予防が要となる。
この記事のポイント
CKD(Chronic Kidney Disease:慢性腎臓病)とは、糸球体濾過量(GFR)が60mL/分/1.73㎡未満、もしくはたんぱく尿などの腎障害が3か月以上続く状態を指す疾患概念です。日本の成人の約8人に1人(推計1,330万人)が該当する国民病で、高齢者では特に頻度が高く、ステージ分類に応じた早期介入と血圧・血糖・食事・服薬の生活管理が進行抑制の鍵となります。
目次
CKDの定義と診断基準
CKD(慢性腎臓病)は、特定の単一疾患を指す病名ではなく、原因疾患を問わず腎機能の低下や腎障害が一定期間続く状態を包括的に捉える概念です。2002年に米国腎臓財団が提唱し、その後日本腎臓学会も「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン」で定義を採用しました。
診断は次の2項目のいずれか、または両方が3か月以上持続することで成立します。
- ① 腎障害の存在:たんぱく尿(特にアルブミン尿)、血尿、画像診断や病理での腎構造異常など
- ② GFR(糸球体濾過量)の低下:推算GFR(eGFR)が60mL/分/1.73㎡未満
従来の「腎不全」が末期段階を指すのに対し、CKDは軽度の異常から透析直前までを連続的に捉えるのが特徴で、早期から介入することで進行を遅らせ、心血管疾患(心筋梗塞・脳卒中)の発症を抑える狙いがあります。CKDは末期腎不全(透析導入)だけでなく、心血管死亡の独立したリスク因子であることが大規模疫学研究で示されています。
原因となる疾患は糖尿病性腎症、高血圧性腎硬化症、慢性糸球体腎炎、多発性嚢胞腎などが代表的で、近年は糖尿病性腎症と腎硬化症(高血圧・加齢関連)が透析導入原因の上位を占めます。
CKDのステージ分類(GFR×アルブミン尿)
日本腎臓学会の「CKD診療ガイドライン」では、GFRによるG1〜G5の6段階と、アルブミン尿(または尿たんぱく)によるA1〜A3の3段階を組み合わせて重症度を評価します。GFRとアルブミン尿のいずれが悪化しても末期腎不全・心血管イベント・死亡リスクが上昇するため、両軸での管理が必須です。
GFR区分(mL/分/1.73㎡)
- G1:90以上(正常または高値)— 腎障害があるが腎機能は保たれた状態
- G2:60〜89(正常または軽度低下)— ほとんど症状なし
- G3a:45〜59(軽度〜中等度低下)— 自覚症状はまだ少ない
- G3b:30〜44(中等度〜高度低下)— 貧血、夜間多尿、軽度の倦怠感
- G4:15〜29(高度低下)— むくみ、高血圧悪化、食欲低下
- G5:15未満(末期腎不全)— 透析・腎移植の準備が必要
アルブミン尿区分
- A1:正常〜軽度(尿アルブミン/Cr比 30未満mg/gCr)
- A2:微量アルブミン尿(30〜299mg/gCr)
- A3:顕性アルブミン尿(300以上mg/gCr)
例えば「G3aA2」のように記載し、緑(低リスク)→黄→オレンジ→赤(高リスク)のヒートマップで管理方針が変わります。G3a以上は腎臓専門医への紹介基準とされ、特にG4・G5では透析導入や腎移植の事前教育が始まります。
高齢者CKDで進行を遅らせる生活管理のポイント
高齢者CKDでは、若年者と異なり過度な食事制限がフレイル・サルコペニアを助長するリスクがあるため、画一的な低たんぱく食ではなく個別対応が重要です。日本腎臓学会の「高齢者CKD診療ガイドライン2023」も、栄養状態と生命予後を踏まえた柔軟な目標設定を推奨しています。
① 血圧管理
降圧目標は130/80mmHg未満が原則ですが、75歳以上では140/90mmHg未満が目安。ACE阻害薬・ARBが第一選択ですが、脱水時は急性腎障害(AKI)の引き金になるため夏季や下痢時は内服調整が必要です。
② 血糖管理
糖尿病性腎症が原疾患の場合、HbA1c 7.0%未満が目標。SGLT2阻害薬は非糖尿病性CKDでも腎保護効果がエビデンスとして示されており、近年処方が広がっています。
③ 食事
たんぱく質は0.6〜0.8g/kg/日が標準ですが、高齢者では低栄養を避けるため0.8〜1.0g/kg/日に緩めることも。塩分は6g/日未満、カリウム制限はG3b以降から検討。
④ 服薬注意
NSAIDs(ロキソニン等)、造影剤、特定抗菌薬は腎機能を悪化させるため、お薬手帳での一元管理と医師への申告が必須です。
⑤ 脱水予防
夏場や感染症罹患時は急性腎障害でCKDが一気に進行することがあり、こまめな水分補給が重要です。
CKDに関するよくある質問
Q1. CKDは治る病気ですか?
原因疾患(高血圧、糖尿病など)の管理によって進行を遅らせることは可能ですが、いったん低下した腎機能を完全に回復させることは困難です。早期発見・早期介入で末期腎不全(透析導入)を回避することが治療目標になります。
Q2. CKDの自覚症状は何ですか?
初期は無症状で、健康診断の尿たんぱく・血清クレアチニン・eGFRで偶然見つかることが多いです。G4以降になるとむくみ、夜間頻尿、倦怠感、貧血、食欲低下などが出現します。
Q3. 介護施設でCKD患者を受け入れる際の注意点は?
定期的な血圧・体重・尿量モニタリング、内服管理(特にACE阻害薬・ARB・利尿剤)、脱水予防、食事のたんぱく・塩分・カリウム調整、感染症予防が中心です。G3b以降では腎臓専門医との連携体制を確保します。
Q4. CKDと急性腎障害(AKI)の違いは?
CKDは3か月以上持続する慢性疾患、AKIは数時間〜数日で急激に腎機能が低下する状態です。脱水や薬剤、感染でAKIを起こすとCKDが一段階進むことがあり、特に高齢者は注意が必要です。
Q5. CKDで運動はしてよいですか?
かつては安静が推奨されていましたが、現在は適度な運動(ウォーキング・体操など)が推奨されます。高齢者では筋肉量維持がフレイル予防につながり、生命予後改善に寄与します。
まとめ
CKD(慢性腎臓病)は、GFRとアルブミン尿から成る重症度評価のもと、軽症から透析導入まで連続的に捉えられる国民病です。日本の成人の約8人に1人が該当し、特に高齢者で頻度が高くなります。介護現場では、画一的な食事制限ではなく低栄養を避ける個別対応、血圧・血糖管理、脱水予防、薬剤注意が看護・ケアの要点です。早期発見と継続的な生活管理が透析導入回避と心血管リスク低減に直結します。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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