介護職の離職率は本当に高い?12.4%の実態と10年間の改善推移

介護職の離職率は本当に高い?12.4%の実態と10年間の改善推移

介護職の離職率は12.4%で全産業平均14.2%を下回り、10年前の17.8%から大幅改善しています。施設形態別では小規模多機能11.0%が最低、有料老人ホーム15.1%が最高。離職理由1位の「人間関係」34.3%への対策、年齢別・法人格別の詳細データ、離職率が低い施設の見分け方チェックリストを公的データで解説。

ポイント

この記事のポイント

介護職の離職率は12.4%(令和6年度)で、全産業平均の14.2%を1.8ポイント下回っています。「介護は離職率が高い」は過去の話です。平成22年度の17.8%から10年で5.4ポイント改善し、令和4年度に全産業平均を逆転しました。施設形態別では小規模多機能(11.0%)、老健(11.7%)が特に低い一方、有料老人ホーム(15.1%)は高め。離職理由の1位は「人間関係」(34.3%)で「体力」(9.8%)は8位。施設を選べば長く働けます。

目次

「介護職は離職率が高い」——このイメージは根強いですが、最新データを見ると実態は大きく改善しています

令和6年度の介護労働実態調査によると、介護職の離職率は12.4%で、全産業平均(14.2%)を1.8ポイントも下回っています。10年前の17.8%から5.4ポイントの大幅改善で、2022年には全産業平均を逆転しました。処遇改善加算の拡充、ICT導入による業務効率化、教育体制の整備が主な改善要因です。

しかし「介護は離職率が高いからやめた方がいい」というネットの書き込みや、テレビの特集を見て、転職を躊躇している方も多いのではないでしょうか。実はそのイメージは10年以上前のデータに基づくもので、現在の実態とは大きくかけ離れています。

この記事では、離職率の10年間の推移、全産業・他業種との比較、施設形態別・年齢別・法人格別の詳細データ、離職理由ランキング、改善の5つの理由、離職率が低い施設の実例と見分け方、そして自分でできる離職防止策まで、最新データで徹底解説します。データに基づいた正しい情報で、転職先選びの判断材料にしてください。

介護職の離職率 — 10年間の推移

介護職の離職率の推移を示すイラスト

まずは介護職の離職率がどのように推移してきたかを、過去10年以上のデータで確認しましょう。

年度離職率全産業平均
平成22年度(2010)17.8%14.5%+3.3pt(介護が高い)
平成25年度(2013)16.6%15.6%+1.0pt
平成27年度(2015)16.5%15.0%+1.5pt
平成29年度(2017)16.2%14.9%+1.3pt
令和元年度(2019)15.4%15.6%−0.2pt(ほぼ同等)
令和2年度(2020)14.9%14.2%+0.7pt
令和3年度(2021)14.3%13.9%+0.4pt
令和4年度(2022)14.4%15.0%−0.6pt(逆転)
令和5年度(2023)13.1%15.4%−2.3pt
令和6年度(2024)12.4%14.2%−1.8pt

10年間で17.8%→12.4%と5.4ポイントの大幅改善。特に注目すべきは、令和4年度(2022年)に初めて全産業平均を下回り、以降は一貫して介護職の方が低い水準を維持していることです。令和元年度にほぼ同等に並び、令和4年度で逆転するという流れは、処遇改善施策の効果が着実に表れていることを示しています。

改善のターニングポイント

離職率改善には4つの大きな転換点がありました。

  • 2012年:処遇改善加算の創設。介護職員の給料が制度的に底上げされる仕組みが始まった
  • 2019年:特定処遇改善加算の新設。10年以上の経験者は月8万円相当の賃上げが可能に。この年に全産業平均とほぼ並ぶ
  • 2024年:処遇改善加算の一本化と新区分の創設。加算Ⅰの取得率が上昇し、多くの施設で給与が改善
  • 2025〜2026年:3階建て賃上げ(最大月1.9万円)と臨時改定(2.03%引き上げ)。ケアマネ・訪問看護にも処遇改善加算が拡大

施設形態別の離職率(令和6年度)

施設形態離職率評価
小規模多機能型居宅介護11.0%最も低い
介護老人保健施設(老健)11.7%低い
訪問介護11.8%低い
介護老人福祉施設(特養)12.3%平均的
通所介護(デイサービス)12.4%平均的
認知症対応型共同生活介護(GH)13.9%やや高い
特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム)15.1%最も高い

小規模多機能と有料老人ホームで4.1ポイントの差があり、施設形態の選択だけで離職リスクが大きく変わることがわかります。転職先選びでは施設形態の離職率を必ず確認しましょう。

「介護は離職率が高い」は本当?全産業との比較

「介護業界は離職率が高い」というイメージがありますが、他業種と比較すると実態は大きく異なります

全産業との詳細比較

指標介護職全産業平均
離職率12.4%14.2%−1.8pt
採用率14.3%14.8%−0.5pt
増減率(採用-離職)+1.9%+0.6%+1.3pt

介護職の離職率12.4%は全産業平均14.2%を1.8ポイント下回っています。しかも増減率(採用率-離職率)は+1.9%で全産業平均+0.6%を大きく上回り、辞める人より入ってくる人の方が多い状況です。介護業界は「人が減っている」のではなく、「人が増えている」のが実態です。

主要業種との比較

業種離職率介護職との差
宿泊業・飲食サービス業26.6%+14.2pt
生活関連サービス業・娯楽業21.7%+9.3pt
教育・学習支援業16.7%+4.3pt
不動産業16.3%+3.9pt
小売業15.0%+2.6pt
医療・福祉(全体)14.6%+2.2pt
介護職(2職種計)12.4%
情報通信業(IT)11.9%−0.5pt
製造業10.9%−1.5pt
建設業10.2%−2.2pt

宿泊・飲食の半分以下、小売業や教育業よりも低い水準です。情報通信業(IT業界)とほぼ同水準で、製造業や建設業には及びませんが、サービス業の中では最も離職率が低い部類に入ります。「介護の離職率が高い」と感じている方は、他業種と比較してみると印象が変わるはずです。

なぜ「離職率が高い」イメージが残っているのか

2010年頃の介護職の離職率は17.8%で、当時は確かに全産業平均を3.3ポイント上回っていました。このイメージがメディアや口コミ、テレビのドキュメンタリー番組などで定着し、10年以上経った今でも「介護=離職率が高い」と思われています。

しかし2022年に全産業平均を逆転し、2024年にはさらに差を広げています。メディアの報道も徐々に変わりつつありますが、ネット上の古い記事やSNSの投稿が誤解を長引かせている面もあります。転職を検討する際は、2010年の17.8%ではなく、2024年の12.4%が最新の実態であることを認識しておきましょう。

「医療・福祉」と「介護職」の違いに注意

厚生労働省の雇用動向調査では「医療・福祉」というカテゴリで離職率14.6%と発表されています。しかしこの数字には病院の看護師、保育士、障害福祉サービスなども含まれており、介護職に限定した数字ではありません。介護労働安定センターの調査で介護職に限定すると12.4%とさらに低くなります。ネットの記事を読む際は、どの数字を引用しているか注意が必要です。

施設形態別・年齢別・法人格別の離職率

離職率は施設形態だけでなく、年齢・法人格・事業規模・勤続年数によっても大きく異なります。これらのデータを知ることで、自分が長く働ける環境を見極めやすくなります。

施設形態別の離職率と特徴

施設形態離職率特徴
小規模多機能型居宅介護11.0%最も低い。少人数チームで人間関係が安定。通い・泊まり・訪問の多彩な業務で飽きにくい
介護老人保健施設(老健)11.7%医療法人運営が多く待遇安定。多職種連携でチームワークが良い
訪問介護11.8%自分のペースで働ける柔軟性。1対1のケアでやりがいを感じやすい
介護老人福祉施設(特養)12.3%社会福祉法人の安定経営。給料が最も高く処遇改善加算も充実
通所介護(デイサービス)12.4%夜勤なしで生活リズム安定。未経験者が多く教育体制が整いやすい
認知症対応型共同生活介護(GH)13.9%少人数だが1人夜勤の負担。認知症の行動・心理症状(BPSD)対応のストレス
特定施設入居者生活介護(有料)15.1%最も高い。民間企業の経営変動、接遇要求の高さ、法人間の待遇格差が大きい

小規模多機能(11.0%)と有料老人ホーム(15.1%)で4.1ポイントの差。施設形態を選ぶだけで離職リスクが大きく変わることがデータで裏付けられています。

年齢別の離職率

年齢層離職率傾向と分析
29歳以下18.7%最も高い。キャリアの模索期で、「介護以外も試したい」と他業種へ転職する人が多い
30〜39歳13.8%結婚・出産・育児のライフイベントが影響。夜勤なし施設への異動や時短勤務の需要が高い
40〜49歳12.4%平均並みに安定。中途入職者が多く、「他業種を経験した上で介護を選んだ」ため定着率が高い
50〜59歳10.6%低い。管理職やベテランとして活躍し、「この仕事を続ける」と腹を括った人が多い
60歳以上低い傾向再雇用・嘱託で安定就労。体力に合った施設で無理なく継続

年齢が上がるほど離職率は下がる傾向にあります。「介護は若い人がすぐ辞める」というイメージがありますが、辞めるのは若年層に集中しており、40代・50代から介護職を始めた方はむしろ長く安定して働いています。中高年の転職先として介護業界は非常に相性が良いと言えます。

法人格別の離職率

法人格離職率分析
社団法人・財団法人11.6%公益性が高く、経営が安定。公的資金で運営されるため倒産リスクが低い
社会福祉法人12.4%特養や老健の主な運営母体。ボーナスや退職金制度など福利厚生が充実
民間企業(株式会社等)13.5%法人による差が最も大きい。大手は安定だが中小は経営変動リスクあり

社会福祉法人は民間企業より1.1ポイント低く、運営母体の安定性が職員の定着率にも直結しています。ただし民間企業でも大手法人は教育体制が充実しており、一概に避けるべきとは言えません。

事業規模別の離職率

事業所規模離職率理由
5〜9人14.5%人員に余裕がなく、1人が辞めると残った人の負担が急増して連鎖退職のリスク
10〜19人13.2%シフト調整の柔軟性がやや向上するが、教育に回す人員が足りないことも
20人以上12%台教育体制・シフト調整・福利厚生が充実。急な休みにも対応しやすい

規模が大きい施設ほど離職率は低い傾向。ただし大規模施設は人間関係が希薄になりやすい面もあるため、自分の性格に合ったサイズ感の施設を選ぶことが大切です。

介護職の離職理由ランキング

令和5年度の介護労働実態調査によると、介護職を辞めた理由は以下の通りです(複数回答可)。

順位離職理由割合
1位職場の人間関係に問題があった34.3%
2位法人・事業所の理念や運営に不満23.5%
3位他に良い仕事・職場があった19.4%
4位収入が少なかった18.6%
5位自分の将来の見込みが立たなかった14.4%
6位人員不足で仕事がきつかった13.0%
7位結婚・妊娠・出産・育児のため12.7%
8位体力的にきつかった9.8%

注目すべきポイント

体力面(9.8%)よりも人間関係(34.3%)や運営方針(23.5%)が圧倒的に上位です。「介護の仕事自体がきつくて辞めた」のではなく、「職場環境に問題があって辞めた」のが実態です。つまり「介護という仕事が合わなかった」のではなく「その施設が合わなかった」ケースが大半です。

これは裏を返せば、職場を変えれば解決する可能性が高いということ。介護業界を離れる必要はなく、自分に合った施設を見つければ長く働けます。実際に介護業界内での転職(介護→介護)は非常に活発で、転職後に「前の職場とは全然違って、毎日が楽しい」と語る方は数多くいます。

離職理由の変化 — 「収入」は改善傾向

注目すべきは「収入が少なかった」(18.6%)の順位低下です。5年前はこの理由が2位でしたが、現在は4位に後退しており、処遇改善加算の拡充が確実に効果を発揮しています。2025〜2026年の追加賃上げでさらに改善が進む見込みです。一方で「人間関係」は依然として1位であり、施設の組織風土やマネジメントの改善が今後の最大の課題です。

離職理由別の対策

  • 人間関係→見学時にスタッフの雰囲気を観察。離職率が低い施設を選ぶ。小規模多機能や老健は人間関係が安定する傾向
  • 運営方針への不満→面接で理念や方針を確認。自分の価値観と合うか判断する。社会福祉法人は理念が明確な施設が多い
  • 収入の少なさ→処遇改善加算Ⅰの施設を選ぶ。特養や老健は月給が高い
  • 将来の見込み→キャリアパス制度がある施設を選ぶ。資格取得支援の有無も確認
  • 人員不足→大規模施設や大手法人を選ぶ。人員配置基準を上回る施設は余裕がある
  • 体力面→デイサービスやサ高住(一般型)など身体介護が少ない施設を検討

離職率が改善している5つの理由

介護職の離職率が10年で5.4ポイント改善した背景には、5つの構造的な変化があります。

1. 処遇改善加算の拡充で給料が大幅アップ

2012年の処遇改善加算創設以降、介護職員の月給は約5〜6万円アップしました。さらに2025年12月からの3階建て賃上げ(最大月1.9万円)、2026年6月の臨時改定(2.03%引き上げ)で加速。「収入が少ない」という離職理由の割合が年々低下しています。特養の平均月給は36.2万円に達し、一般企業の平均と遜色ないレベルになりました。処遇改善加算の取得率も年々上昇しており、加算Ⅰを取得する施設が増えています。

2. 教育体制の整備で新人の早期離職が減少

プリセプター制度(教育担当制)やOJTプログラムを導入する施設が増加。「入職したのに放置された」「誰に聞けばいいかわからない」という不満が大幅に減少しました。処遇改善加算Ⅰの取得要件に「職場環境の改善」が含まれるため、加算を取得するために教育体制を整備する施設が増えたことも大きな要因です。入職1年以内の離職率は特に大きく改善しています。

3. ICT導入による業務効率化

タブレット記録、見守りセンサー、インカム、排泄予測AIの導入で、記録業務や夜間巡回の負担が軽減されています。ある調査では、ICT導入施設の介護記録にかかる時間は従来の約6割に短縮されたという結果も。「忙しすぎる」「残業が多い」という不満の解消に直結しています。2026年の臨時改定では「生産性向上推進体制加算」が強化され、ICT導入がさらに加速する見通しです。

4. ハラスメント対策の強化

厚生労働省の「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」の普及や、利用者・家族からのカスタマーハラスメント対策の義務化検討により、職場環境が改善。「人間関係に問題があった」という離職理由は依然1位ですが、対策の進展で今後さらに低下が見込まれます。パワハラ防止法の適用もあり、施設内のハラスメント相談窓口の設置が進んでいます。

5. 多様な働き方の実現

夜勤なし・日勤のみ・週休3日制・パート・派遣・夜勤専従など、ライフスタイルに合わせた働き方の選択肢が広がりました。子育て中はデイサービスで日勤、子どもが大きくなったら特養で夜勤あり、体力が不安になったらサ高住へ、というライフステージに合わせた施設移動が一般的に。「辞めなくても済む」環境が整ってきています。

離職率が低い施設の実例と共通点

離職率が10%以下の施設には、共通する特徴があります。実際の取り組み事例から、何が定着率を高めているのかを分析します。

事例1:特養A(離職率8.2%)— 教育体制の充実

関東圏の社会福祉法人が運営する特養A(定員100名)は、業界平均12.3%を大きく下回る離職率8.2%を維持しています。

  • プリセプター制度:新人1名に対してベテラン1名が6ヶ月間マンツーマンで指導。業務だけでなくメンタル面のフォローも担当。「困ったことはない?」と毎日声かけするルール
  • 段階的な業務移行:最初の1ヶ月は見学・記録中心、2ヶ月目から食事介助、3ヶ月目から入浴介助と段階的にスキルを習得。いきなり現場に出す「丸投げ」をしないことで、新人の不安を大幅に軽減
  • 定期面談:入職1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月・1年の4回、施設長と1on1面談を実施。悩みや不安を早期にキャッチして対処。「辞めたい」と思う前に介入できる仕組み
  • 資格取得支援:実務者研修の費用を全額法人負担。介護福祉士試験前の特別休暇も3日間付与

事例2:デイサービスB(離職率6.5%)— 多様な働き方の実現

東海圏の株式会社が運営するデイサービスB(定員30名)は、驚異的な低離職率を実現しています。

  • 時短勤務制度:子育て中の職員は9:00〜15:00の時短勤務が可能。送迎業務は免除。「子どもの行事にも参加できる」と好評
  • 週休3日制:希望者は1日の労働時間を10時間に延ばして週4日勤務を選択可能。連休が取れるためリフレッシュしやすい
  • ICT活用:タブレット記録・インカムを導入し、記録業務を30%削減。残業はほぼゼロを達成
  • 有給取得率90%以上:シフト調整の専任スタッフを配置し、有給が取りやすい仕組みを構築。「有給を取りたいと言いにくい雰囲気」を排除

事例3:小規模多機能C(離職率7.8%)— チームビルディング

九州圏のNPOが運営する小規模多機能C(登録定員25名)は、スタッフ同士の関係づくりに注力しています。

  • 毎日15分のミーティング:申し送りだけでなく、「今日の良かったこと」を共有。ポジティブなコミュニケーションを日常化することで、人間関係のトラブルを予防
  • 外部研修の参加奨励:年2回以上の外部研修参加を全スタッフに推奨。費用は法人負担。他施設の職員と交流することで視野が広がり、モチベーション維持につながる
  • 利用者と一緒に活動:スタッフと利用者が一緒に畑仕事や調理を行い、「ケアする/される」の一方的な関係を超えた対等な交流を実現。やりがいを実感しやすい

離職率が低い施設の5つの共通点

  1. 教育体制が具体的:「OJT」で終わらず、プリセプター制度や段階的な研修プログラムがある
  2. 処遇改善加算Ⅰを取得:キャリアパス制度と職場環境の改善が制度として整備されている
  3. 多様な働き方を認めている:時短・週休3日・パートなど、ライフステージに合わせた選択肢がある
  4. ICTを積極導入:記録業務の負担を減らし、利用者と向き合う時間を確保している
  5. コミュニケーションの仕組みがある:定期面談、ミーティング、相談窓口など、悩みを一人で抱えさせない仕組みが存在する

離職率が低い施設の見分け方

転職先の離職率を事前にチェックするための具体的な方法を紹介します。離職率が低い施設を選ぶことで、長く安定して働ける可能性が大幅に高まります。

求人情報でチェックすること

  • 「離職率◯%」と明記:数字を公開している施設は透明性が高い。離職率が低いからこそ公開できるのであり、良いサインと判断できる
  • 常に求人が出ている施設は要注意:同じポジションの求人が半年以上出続けている場合、入れ替わりが激しい可能性がある。求人サイトで過去の掲載履歴を確認するのも有効
  • 「スタッフの平均勤続年数」の記載:5年以上なら定着率が高い証拠。10年以上のベテランがいる施設は、長く働ける環境が整っている
  • 有給取得率の記載:取得率が高い施設は人員に余裕があり、働きやすい環境の証。有給取得率70%以上なら良好と判断できる
  • 処遇改善加算の区分:加算Ⅰの施設はキャリアパスと職場環境が整備されている。2026年の新区分Ⅰロ・Ⅱロも要チェック
  • 研修制度の具体性:「資格取得支援あり」だけでなく、「実務者研修費用全額負担」「月1回の社内研修」など具体的な記載があるか

面接・見学でチェックすること

  • 「離職率はどのくらいですか?」と直接質問:具体的な数字を答えてくれるかどうかで透明性がわかる。答えを濁す施設は隠したいことがある可能性
  • スタッフの年齢層のバランス:20代から60代まで偏りがない施設は、どの世代にとっても働きやすい環境。若手ばかりの施設はベテランが残らない理由があるかも
  • スタッフの表情・挨拶:見学者に自然に挨拶できる余裕がある=人員が足りている証拠。忙しすぎて誰も挨拶しない施設は要注意
  • 施設の清潔さと臭い:掃除が行き届いている=業務に余裕がある。フロア全体に強い臭いがある場合はケアの質に問題がある可能性
  • 教育・研修制度の具体性:「OJTで覚えてもらいます」だけの施設より、「最初の3ヶ月はプリセプターがつく」「段階的に業務を覚える仕組みがある」と具体的に説明できる施設を選ぶ

公開情報で調べる方法

  • 介護サービス情報公表システム(厚労省):各施設の職員数、離職率、研修実施状況、夜勤体制などを公開。無料で閲覧でき、施設名で検索可能
  • WAM NET(福祉医療機構):社会福祉法人の財務諸表が公開されており、経営の安定性(赤字続きではないか等)を確認できる
  • 転職エージェント:施設の内部情報(離職率・人間関係・実際の残業時間・過去の退職者の理由)を持っていることが多い。複数のエージェントに相談して情報を比較するのが効果的

離職を防ぐために自分でできること

離職率の改善は施設側の取り組みだけでなく、自分自身でできる対策もあります。長く介護の仕事を続けるためのセルフケアとキャリア戦略を紹介します。

1. 施設選びで妥協しない

転職で最も重要なのは「入る前の情報収集」です。離職率、処遇改善加算の区分、教育体制、夜勤体制を事前に確認し、最低3施設は見学しましょう。焦って決めると「思っていたのと違う」の原因になります。転職エージェントを活用して、求人票に載っていない内部情報(人間関係、実際の残業時間、有給取得率)も収集してください。

2. 人間関係の悩みは早めに相談する

離職理由の1位は「人間関係」(34.3%)。悩みを一人で抱え込むと、どんどん追い詰められて「もう辞めるしかない」と思い込んでしまいます。まずは信頼できる先輩や上司に相談しましょう。施設内に相談窓口がない場合は、介護労働安定センターの無料相談(介護労働者の悩み相談室)や、都道府県の労働局、ユニオン(労働組合)に相談できます。相談したことで状況が改善するケースは少なくありません。

3. キャリアプランを持つ

「将来の見込みが立たない」(14.4%)も離職理由の上位です。漠然と働くのではなく、3年後・5年後の目標を設定しましょう。

  • 1〜3年目:介護福祉士の取得を目指す(実務経験3年+実務者研修)。取得すると月1〜3万円の資格手当
  • 3〜5年目:リーダーや主任への昇格。認知症介護実践者研修の受講でスキルアップ
  • 5〜10年目:ケアマネジャー受験。管理者や施設長を目指す。年収500万円以上も視野に

明確な目標があると、日々の仕事に意味を見出しやすくなり、離職を考える頻度が減ります。資格取得支援制度がある施設を選ぶと、費用面の不安もなくなります。

4. 身体のケアを怠らない

「体力的にきつかった」(9.8%)は離職理由8位ですが、見過ごせない問題です。腰痛予防のためのボディメカニクスの習得、毎日のストレッチ、十分な睡眠の確保が重要です。腰痛が慢性化する前に、身体介護の少ない施設(サ高住一般型やデイサービス)への異動・転職も検討しましょう。我慢し続けて取り返しのつかない怪我をするよりも、早めに環境を変える方が賢明です。

5. 「辞める」前に「異動」を検討する

「人間関係」「運営方針」が不満なら、同じ法人内の別施設への異動で解決する場合があります。大手法人なら複数の施設を運営しているため、異動の選択肢は多いです。介護業界自体を辞める必要はなく、環境を変えるだけで満足度が大幅に改善するケースは少なくありません。まずは上司に異動の希望を伝えてみましょう。

よくある質問

Q. 介護職の離職率は本当に下がっていますか?

A. はい。令和6年度の調査で12.4%と、10年前の17.8%から5.4ポイント改善しています。全産業平均14.2%を1.8ポイント下回っており、「介護=離職率が高い」はデータ上明確に覆されています。2022年に初めて全産業平均を逆転し、以降は一貫して介護職の方が低い水準です。

Q. 離職率が最も低い施設形態はどこですか?

A. 小規模多機能型居宅介護(11.0%)が最も低いです。少人数チームで通い・泊まり・訪問を担当するため、スタッフ同士の絆が深く、利用者との継続的な関係も築きやすい環境です。次いで老健(11.7%)、訪問介護(11.8%)が低い水準です。

Q. 離職率が高い施設は避けるべきですか?

A. 離職率だけで判断するのは早計です。有料老人ホーム(15.1%)は全体では高めですが、大手法人が運営する施設は教育体制が充実しており、定着率が高いところも多いです。離職率に加えて「教育体制」「人間関係」「処遇改善加算の区分」「スタッフの平均勤続年数」も総合的に確認しましょう。

Q. 介護職の離職率は今後も下がりますか?

A. 下がる可能性が高いです。2025年12月からの3階建て賃上げ、2026年6月の臨時改定(2.03%引き上げ)、ICT導入の加速、ハラスメント対策の強化など、離職を防ぐための施策が複数進行中です。特にケアマネジャーや訪問看護師への処遇改善加算の拡大は、介護業界全体の定着率向上に寄与すると見込まれます。

Q. 短期間で辞めてしまった場合、次の転職に影響しますか?

A. 介護業界は人手不足のため、転職回数だけで不採用になることは少ないです。ただし「なぜ辞めたのか」「次は長く働く意思があるか」を面接で聞かれます。「前の職場は人間関係に課題があったが、御施設は離職率が低く教育体制が整っていると聞いて応募した」のように、前回の反省を踏まえた具体的な志望動機を伝えましょう。

Q. 離職率の数字はどこで確認できますか?

A. 業界全体の離職率は介護労働安定センターの「介護労働実態調査」で毎年公表されます。個別の施設については「介護サービス情報公表システム」で確認できます。また、見学や面接時に直接質問するのも有効です。具体的な数字を教えてくれる施設は、それだけ透明性が高く信頼できます。

Q. 新卒で介護に入るのと、中途で入るのではどちらが定着しやすいですか?

A. データ上は中途入職の方が定着しやすい傾向があります。29歳以下の離職率が18.7%と高い一方、40代以降は12%台以下に低下します。中途入職者は「他業種を経験した上で介護を選んだ」ため、覚悟と明確な動機を持って入職する方が多く、ミスマッチが起きにくいのです。特に40代50代の中途入職者は定着率が高く、介護業界では中途採用が歓迎されています。

Q. 派遣やパートでも離職率は同じですか?

A. 雇用形態別の正確な離職率は公表されていませんが、一般的にパート・派遣の方が離職率は高い傾向です。正社員に比べて処遇改善加算の恩恵が少なく、ボーナスがないことが多いためです。ただし、パートから正社員に登用される制度がある施設を選べば、段階的にキャリアを築くことも可能です。

参考文献・出典

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まとめ

介護職の離職率について、この記事で解説した最新データのポイントを整理します。

データが示す3つの事実

  1. 離職率12.4%は全産業平均以下:全産業平均14.2%を1.8ポイント下回る。宿泊・飲食業(26.6%)の半分以下で、IT業界(11.9%)とほぼ同水準。2022年に逆転して以降、介護職の方が一貫して低い
  2. 10年で5.4ポイント改善:2010年の17.8%から着実に低下。処遇改善加算・教育体制・ICT導入・ハラスメント対策・多様な働き方の5つの要因が改善を牽引
  3. 施設形態で最大4.1ポイントの差:小規模多機能(11.0%)と有料老人ホーム(15.1%)で大きな差。施設選びが離職率に直結する

離職理由が示す重要な示唆

離職理由の1位は「人間関係」(34.3%)で、「体力」(9.8%)は8位。つまり介護の仕事自体ではなく、職場環境が離職の主因です。良い施設を選べば、介護は長く続けられる仕事です。「収入が少ない」も処遇改善加算の拡充で改善傾向にあり、5年前の2位から4位に後退しています。

転職先選びの5つのチェックポイント

  • ☑ 離職率を公開している(または面接で教えてくれる)施設を選ぶ
  • ☑ 処遇改善加算Ⅰを取得している施設を選ぶ
  • ☑ スタッフの平均勤続年数が5年以上の施設を選ぶ
  • ☑ 教育・研修制度が具体的に説明できる施設を選ぶ
  • ☑ 最低3施設は見学して比較してから決める

「介護=離職率が高い」はもう過去の話です。2025〜2026年の賃上げでさらに待遇改善が進む介護業界で、離職率の低い施設を選んで長く安定したキャリアを築きましょう。この記事の「離職率が低い施設の見分け方」と「5つのチェックポイント」を参考に、あなたに合った職場を見つけてください。まずは気になる施設の見学予約から始めてみませんか。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

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介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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財政審、27年度介護報酬改定で「報酬適正化」要求|訪問介護12.4%・通所介護8.7%の利益率を問題視

2026/5/5

財政審、27年度介護報酬改定で「報酬適正化」要求|訪問介護12.4%・通所介護8.7%の利益率を問題視

財政制度等審議会・財政制度分科会(2026年4月28日)が示した「サービス類型ごとの報酬適正化」「処遇改善加算へのテクノロジー要件追加」「利用者負担2割対象拡大」の論点を、介護現場・転職希望者の視点で読み解く。

看護師等養成所の遠隔授業推進事業、令和8年度公募|地方の人材確保と介護現場への波及

2026/5/1

看護師等養成所の遠隔授業推進事業、令和8年度公募|地方の人材確保と介護現場への波及

厚労省が令和8年度予算で1.21億円を計上した「人口減少社会の看護師等養成所における遠隔授業推進支援事業」の概要と、地方の養成所閉校・定員割れが介護施設の看護師確保に及ぼす影響を解説。

居宅介護支援に処遇改善2.1%、6月施行直前ガイド|ケアマネの給料はいくら上がる?

2026/5/1

居宅介護支援に処遇改善2.1%、6月施行直前ガイド|ケアマネの給料はいくら上がる?

2026年6月から居宅介護支援・介護予防支援に処遇改善加算(2.1%)が新設。ケアマネ事業所が初めて対象に。算定要件はケアプー加入か加算IV準拠の二択、届出は4月15日締切、月額換算では一人あたり約7,000〜10,000円の賃上げ見込み。算定方法・配分ルール・特定事業所加算との関係まで施行直前の実務ガイド。

第2回・2040年看護職員養成検討会|実習・供給推計・資質の3論点と介護現場への波及

2026/5/1

第2回・2040年看護職員養成検討会|実習・供給推計・資質の3論点と介護現場への波及

厚労省は2026年5月8日、第2回「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」を開催。看護学生実習・供給推計・看護職員の資質という3論点を議論する。第1回の論点と介護現場への影響を解説。

介護人材確保のリアル|2040年57万人不足と求職者の交渉力(2026年最新)

2026/5/1

介護人材確保のリアル|2040年57万人不足と求職者の交渉力(2026年最新)

2026年度に約25万人、2040年度に約57万人の介護職員が不足する見通しです。有効求人倍率4倍超の売り手市場の構造的要因、国の5本柱対策、特定技能介護の拡大、倒産176件の経営インパクト、そして求職者にとっての交渉力と戦略を一次データで解説します。

LIFE第2回説明会の動画・資料が公開(vol.1498)|介護現場が押さえる入力フローと加算の関係

2026/5/1

LIFE第2回説明会の動画・資料が公開(vol.1498)|介護現場が押さえる入力フローと加算の関係

厚労省が4月28日にvol.1498を発出し、3月開催のLIFE第2回説明会の動画・資料を公開。令和6年度改定後の新フィードバック画面の見方、ブラウザ閲覧化、都道府県・要介護度での絞り込み、活用事例の概要を整理し、科学的介護推進体制加算など関連加算と現場の入力フローへの影響まで読み解きます。

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2026年6月 介護報酬臨時改定まとめ|介護職の給料はいくら上がる?

2026/3/20

2026年6月 介護報酬臨時改定まとめ|介護職の給料はいくら上がる?

2026年6月施行の介護報酬臨時改定を介護職員向けに解説。改定率2.03%で月最大1.9万円の賃上げ、ケアマネ・訪問看護への処遇改善拡大、新加算区分の詳細。資格別・施設別の給料シミュレーションも。

夜間対応型訪問介護の廃止が閣議決定|定期巡回・随時対応サービスへ統合・現場への影響【2026年4月】

2026/4/8

夜間対応型訪問介護の廃止が閣議決定|定期巡回・随時対応サービスへ統合・現場への影響【2026年4月】

政府は2026年4月3日、夜間対応型訪問介護の廃止と定期巡回・随時対応サービスへの統合を盛り込んだ介護保険法改正案を閣議決定。背景・現場への影響・経過措置・転職市場への波及を最新情報で詳しく解説します。

介護報酬「加算」の仕組みを現場職員が理解する|2026年改定対応

2026/4/20

介護報酬「加算」の仕組みを現場職員が理解する|2026年改定対応

介護報酬の加算制度を現場職員の視点で体系的に解説。処遇改善・サービス提供体制・特定事業所・認知症専門ケア加算の違い、算定要件、加算が給料にどう反映されるか、2026年6月臨時改定の変更点まで、公的データをもとにわかりやすくまとめました。

介護保険とは?仕組みを図解でわかりやすく|被保険者・保険料・利用の流れ【2026年最新】

2026/4/12

介護保険とは?仕組みを図解でわかりやすく|被保険者・保険料・利用の流れ【2026年最新】

介護保険ってどういう仕組み?を図解でスッキリ解決。第1号・第2号被保険者の違い、保険料月額6,225円の内訳、サービス利用の6ステップ、自己負担1〜3割の判定、2026年6月の臨時報酬改定まで。新人介護職・40歳・転職検討中の方が3分で全体像を掴める入門ガイド。

介護レセプト請求の実務|国保連への請求フローと返戻対応

2026/4/18

介護レセプト請求の実務|国保連への請求フローと返戻対応

介護事業所のレセプト(介護給付費)請求実務を解説。国保連への請求フロー、毎月10日の締切、返戻・保留への対応、サービスコードの基礎、2026年6月の臨時改定対応、よくあるミスと防止策まで現場目線でまとめました。

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