
介護職の離職率は本当に高い?12.4%の実態と10年間の改善推移
介護職の離職率12.4%は全産業平均14.2%を下回る水準。過去10年の推移、施設形態別・年齢別・法人格別の離職率比較、離職率が低い施設の特徴と見分け方を解説。
この記事のポイント
介護職の離職率は12.4%(令和6年度)で、全産業平均の14.2%を下回っています。「介護は離職率が高い」は過去の話。平成22年度の17.8%から着実に改善が進み、特に小規模多機能(11.0%)、老健(11.7%)は低い水準です。一方、有料老人ホーム(15.1%)は高め。離職率は施設選びの重要な指標です。
「介護職は離職率が高い」——このイメージは根強いですが、データを見ると実態は大きく改善しています。令和6年度の介護労働実態調査によると、介護職の離職率は12.4%で、全産業平均(14.2%)を下回っています。この記事では、離職率の10年間の推移、施設形態別の比較、離職率が低い施設の見分け方を、最新データで解説します。
介護職の離職率 — 10年間の推移

| 年度 | 離職率 | 全産業との比較 |
|---|---|---|
| 平成22年度(2010) | 17.8% | 全産業より高い |
| 令和2年度(2020) | 14.9% | ほぼ同等 |
| 令和3年度(2021) | 14.3% | ほぼ同等 |
| 令和4年度(2022) | 14.4% | ほぼ同等 |
| 令和5年度(2023) | 13.1% | 全産業を下回る |
| 令和6年度(2024) | 12.4% | 全産業14.2%を大幅に下回る |
10年間で17.8%→12.4%と5.4ポイント改善。処遇改善加算の拡充、ICT導入による業務効率化、教育体制の整備が改善の主因です。
施設形態別の離職率(令和6年度)
| 施設形態 | 離職率 | 評価 |
|---|---|---|
| 小規模多機能型居宅介護 | 11.0% | 最も低い |
| 介護老人保健施設(老健) | 11.7% | 低い |
| 訪問介護 | 11.8% | 低い |
| 介護老人福祉施設(特養) | 12.3% | 平均的 |
| 通所介護(デイサービス) | 12.4% | 平均的 |
| 認知症対応型共同生活介護(GH) | 13.9% | やや高い |
| 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム) | 15.1% | 最も高い |
離職率が低い施設の見分け方
- 離職率を面接で聞く:「御施設の離職率はどのくらいですか?」と直接質問。具体的な数字を答えてくれる施設は透明性が高い
- 求人の頻度を確認:常に求人が出ている施設は離職率が高い可能性
- 処遇改善加算の区分:加算Ⅰの施設はキャリアパスや職場環境が整っている証拠
- スタッフの平均勤続年数:長いほど定着率が高い
「介護は離職率が高い」は本当?全産業との比較
「介護業界は離職率が高い」というイメージがありますが、データを見ると実態は大きく異なります。
全産業との比較
| 指標 | 介護職 | 全産業平均 |
|---|---|---|
| 離職率 | 12.4% | 14.2% |
| 採用率 | 14.3% | 14.8% |
| 増減率(採用-離職) | +1.9% | +0.6% |
介護職の離職率12.4%は全産業平均14.2%を1.8ポイント下回っています。しかも増減率(採用率-離職率)は+1.9%で全産業平均+0.6%を大きく上回り、人材が増えている状況です。
他の業種との比較
| 業種 | 離職率 |
|---|---|
| 宿泊業・飲食サービス業 | 26.6% |
| 生活関連サービス業 | 21.7% |
| 小売業 | 15.0% |
| 医療・福祉 | 14.6% |
| 介護職(2職種計) | 12.4% |
| 製造業 | 10.9% |
| 建設業 | 10.2% |
宿泊・飲食の半分以下、小売業よりも低い水準です。「介護=高離職率」はもはや過去の話と言えます。
なぜ「離職率が高い」イメージが残っているのか
2010年頃の介護職の離職率は17.8%で、当時は確かに全産業平均を上回っていました。このイメージがメディアや口コミで定着し、10年以上経った今でも「介護=離職率が高い」と思われています。しかし2023年に全産業平均を下回り、2024年にはさらに改善。処遇改善加算の拡充、教育体制の整備、ICT導入による業務効率化が改善の主因です。
施設形態別・年齢別・法人格別の離職率
施設形態別の離職率
| 施設形態 | 離職率 | 特徴 |
|---|---|---|
| 小規模多機能型居宅介護 | 11.0% | 最も低い。少人数チームで人間関係が安定 |
| 介護老人保健施設(老健) | 11.7% | 医療法人運営が多く待遇安定 |
| 訪問介護 | 11.8% | 自分のペースで働ける柔軟性 |
| 介護老人福祉施設(特養) | 12.3% | 社会福祉法人の安定経営 |
| 通所介護(デイサービス) | 12.4% | 夜勤なしで生活リズム安定 |
| 認知症対応型共同生活介護(GH) | 13.9% | 少人数だが1人夜勤の負担 |
| 特定施設入居者生活介護(有料) | 15.1% | 最も高い。民間企業の経営変動 |
小規模多機能(11.0%)と有料老人ホーム(15.1%)で4.1ポイントの差。施設形態を選ぶだけで離職リスクが大きく変わります。
年齢別の離職率
| 年齢 | 離職率 | 傾向 |
|---|---|---|
| 29歳以下 | 18.7% | 最も高い。キャリアの模索期 |
| 30〜39歳 | 13.8% | ライフイベント(結婚・出産)の影響 |
| 40〜49歳 | 12.4% | 平均並みに安定 |
| 50〜59歳 | 10.6% | 低い。定着して働く人が多い |
| 60歳以上 | 低い傾向 | 再雇用で安定就労 |
年齢が上がるほど離職率は下がる傾向に。40代50代から介護職を始めた方は、むしろ長く安定して働いています。
法人格別の離職率
| 法人格 | 離職率 |
|---|---|
| 社団法人・財団法人 | 11.6% |
| 社会福祉法人 | 12.4% |
| 民間企業(株式会社等) | 13.5% |
社会福祉法人は民間企業より1.1ポイント低く、経営の安定性が定着率にも影響しています。
事業規模別の離職率
| 事業所規模 | 離職率 |
|---|---|
| 5〜9人 | 14.5%(最も高い) |
| 10〜19人 | 13.2% |
| 20人以上 | 12%台(低い) |
規模が大きい施設ほど離職率は低い傾向。大規模施設は教育体制やシフト調整の余裕があるためです。
参考文献・出典
- [1]
- [2]
離職率が低く、長く働ける施設を見つけたい方は、働き方診断で自分に合った職場を探しましょう。
離職率が改善している5つの理由
1. 処遇改善加算の拡充
2012年の処遇改善加算創設以降、介護職員の月給は約5〜6万円アップ。2025年12月からの3階建て賃上げ(最大月1.9万円)、2026年6月の臨時改定でさらなる改善が進行中です。給与面の不満が減少したことが離職率改善に直結しています。
2. 教育体制の整備
プリセプター制度(教育担当制)やOJTプログラムを導入する施設が増加。新人職員が「放置された」と感じるケースが減り、早期離職の防止に効果を発揮しています。
3. ICT導入による業務効率化
タブレット記録、見守りセンサー、インカムの導入で記録業務や巡回の負担が軽減。「忙しすぎる」「残業が多い」という不満が解消されつつあります。
4. ハラスメント対策の強化
厚生労働省の「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」の普及や、カスタマーハラスメント対策の義務化検討により、職場環境が改善。人間関係の悩みによる離職が減少傾向です。
5. 多様な働き方の実現
夜勤なし・日勤のみ・週休3日制・パート・派遣など、ライフスタイルに合わせた働き方の選択肢が広がったことで、「辞めなくても済む」環境が整ってきています。
まとめ
介護職の離職率12.4%は全産業平均を下回り、10年で5.4ポイント改善しています。「介護=離職率が高い」は過去の話。施設形態では小規模多機能(11.0%)や老健(11.7%)が特に低く、処遇改善加算Ⅰの施設は離職率も低い傾向です。転職先を選ぶ際は離職率をチェックし、長く安心して働ける施設を選びましょう。
介護職の離職理由ランキング
令和5年度の介護労働実態調査によると、介護職を辞めた理由は以下の通りです。
| 順位 | 離職理由 | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 職場の人間関係に問題があった | 34.3% |
| 2位 | 法人・事業所の理念や運営に不満 | 23.5% |
| 3位 | 他に良い仕事・職場があった | 19.4% |
| 4位 | 収入が少なかった | 18.6% |
| 5位 | 自分の将来の見込みが立たなかった | 14.4% |
| 6位 | 人員不足で仕事がきつかった | 13.0% |
| 7位 | 結婚・妊娠・出産・育児のため | 12.7% |
| 8位 | 体力的にきつかった | 9.8% |
注目すべきポイント:体力面(9.8%)よりも人間関係(34.3%)や運営方針(23.5%)が上位。つまり「介護の仕事自体」ではなく「職場環境」が離職の主因です。職場を変えれば解決する可能性が高いため、介護業界を離れる必要はないかもしれません。
離職率が低い施設の見分け方
転職先の離職率を事前にチェックするための具体的な方法を紹介します。
求人情報でチェックすること
- 「離職率◯%」と明記:数字を公開している施設は透明性が高い
- 常に求人が出ている施設は要注意:入れ替わりが激しい可能性
- 「スタッフの平均勤続年数」の記載:5年以上なら定着率が高い証拠
- 有給取得率の記載:取得率が高い施設は働きやすい
- 処遇改善加算の区分:加算Ⅰの施設はキャリアパスと職場環境が整備されている
面接・見学でチェックすること
- 「離職率はどのくらいですか?」と直接質問:具体的な数字を答えてくれるかどうかで透明性がわかる
- スタッフの年齢層:偏りがない=長く働ける環境
- スタッフの表情・挨拶:笑顔がある職場は人間関係が良好
- 施設の清潔さ:掃除が行き届いている=人員に余裕がある
公開情報で調べる方法
- 介護サービス情報公表システム(厚労省):各施設の職員数や離職率に関する情報を公開
- 口コミサイト:実際に働いた人の声をチェック(ただし極端な意見も多いため参考程度に)
- 転職エージェント:施設の内部情報(離職率・人間関係)を持っていることが多い
よくある質問
Q. 介護職の離職率は本当に下がっていますか?
A. はい。令和6年度の調査で12.4%と、10年前の17.8%から5.4ポイント改善しています。全産業平均14.2%を下回り、「介護=離職率が高い」はデータ上覆されています。
Q. 離職率が最も低い施設形態はどこですか?
A. 小規模多機能型居宅介護(11.0%)が最も低いです。少人数チームで通い・泊まり・訪問を担当するため、スタッフ同士の絆が深く、利用者との継続的な関係も築きやすい環境です。
Q. 離職率が高い施設は避けるべきですか?
A. 離職率だけで判断するのは早計です。有料老人ホーム(15.1%)は全体では高めですが、大手法人が運営する施設は教育体制が充実しており、定着率が高いところも多いです。離職率に加えて「教育体制」「人間関係」「処遇改善加算の区分」も確認しましょう。
Q. 介護職の離職率は今後も下がりますか?
A. 下がる可能性が高いです。2025年12月からの3階建て賃上げ、2026年6月の臨時改定、ICT導入の加速、ハラスメント対策の強化など、離職を防ぐための施策が複数進行中です。特に処遇改善加算のケアマネ・訪問看護への拡大は、介護業界全体の定着率向上に寄与すると見込まれます。
Q. 短期間で辞めてしまった場合、次の転職に影響しますか?
A. 介護業界は人手不足のため、転職回数だけで不採用になることは少ないです。ただし「なぜ辞めたのか」「次は長く働く意思があるか」を面接で聞かれます。前回の反省を踏まえて「今度はこういう職場を選んだ」と説明できれば問題ありません。
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