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介護の2040年問題とは?介護職員57万人不足の時代に向けた準備

介護の2040年問題とは?介護職員57万人不足の時代に向けた準備

2040年には介護職員が57万人不足すると予測。高齢者人口のピーク、単身世帯の増加、認知症700万人時代の到来。介護職にとっての影響(需要増・待遇改善・ICT化)と今から準備すべきことを解説。

ポイント

この記事のポイント

2040年問題とは、高齢者人口がピーク(約3,921万人、高齢化率35.3%)を迎え、同時に現役世代が急減することで介護職員が約57万人不足する社会課題です。2025年問題(団塊世代が全員75歳以上に)の次に来るさらに深刻な局面ですが、介護職にとっては「需要増=雇用の超安定化」「人手不足=待遇改善の加速」「ICT化=業務負担の軽減」というポジティブな面もあります。認知症高齢者は約950万人(65歳以上の4人に1人)、単身高齢世帯は約896万世帯に達し、訪問介護やグループホームへの需要が爆発的に増加。今から介護福祉士を取得し、ICTスキルと認知症ケアの専門性を身につけておくことが2040年に「引く手あまた」の人材になるための最大の準備です。

「2040年問題」という言葉を聞いたことがありますか?2025年に団塊世代が全員75歳以上になる「2025年問題」の次に訪れる、さらに深刻な社会課題です。

2040年には高齢者人口がピークの約3,900万人に達し、総人口の約35%が高齢者になります。認知症高齢者は約950万人、単身高齢世帯は約900万世帯。介護サービスの需要は爆発的に増加し、必要な介護職員数は約272万人——現在より57万人も多い人材が必要とされています。これは現在の介護職員数の約26%に相当する膨大な人数です。

しかし、介護職にとって2040年問題は必ずしも悪いニュースだけではありません。需要の増加は雇用の超安定化を意味し、深刻な人手不足は待遇改善のドライバーになります。実際、2012年以降の処遇改善加算の拡充で介護職の月給は約5〜6万円アップし、2025年12月からの3階建て賃上げ、2026年6月の臨時改定でさらに上昇中です。

この記事では、2040年問題の全体像を数字で解説し、介護職員にとっての影響(ポジティブ面・ネガティブ面)、今から準備すべきこと、国の対策、ICT・ロボット導入で変わる働き方まで、介護転職者の視点で網羅的に解説します。

2025年問題と2040年問題の違い

2040年問題を理解するには、まず「2025年問題」との違いを押さえましょう。

2025年問題とは

団塊世代(1947〜1949年生まれ)が全員75歳以上(後期高齢者)になる年。75歳以上の人口が約2,180万人に達し、医療・介護の需要が急増。介護職員は2022年比で約25万人不足すると予測されていました。

2040年問題とは

団塊ジュニア世代(1971〜1974年生まれ)が65歳以上になる年。高齢者人口がピーク(約3,900万人)を迎え、同時に現役世代(15〜64歳)が急激に減少するダブルパンチ。介護職員は2022年比で約57万人不足と、2025年問題の2倍以上の規模です。

比較表

項目2025年問題2040年問題
中心となる世代団塊世代(75歳以上に)団塊ジュニア世代(65歳以上に)
高齢者人口約3,657万人約3,900万人(ピーク)
高齢化率約30%約35%
必要な介護職員数約240万人約272万人
不足数(2022年比)約25万人約57万人
認知症高齢者数約700万人約950万人
現役世代の人口約7,200万人約6,000万人(急減)

最大の違いは「現役世代の減少」です。2025年は高齢者が増えるだけでしたが、2040年は高齢者が増える+支える側の若者が減る、という二重の問題が発生します。

2040年に何が起こるか — 数字で見る

2040年の高齢化社会のイラスト

2040年に日本社会で何が起こるのか、具体的な数字で確認しましょう。

高齢者人口と高齢化率

年総人口65歳以上高齢化率75歳以上
2020年約1億2,615万人約3,619万人28.6%約1,872万人
2025年約1億2,254万人約3,657万人29.8%約2,180万人
2030年約1億1,913万人約3,716万人31.2%約2,288万人
2035年約1億1,522万人約3,782万人32.8%約2,260万人
2040年約1億1,092万人約3,921万人35.3%約2,239万人

2040年には3人に1人以上が高齢者。総人口は減り続けるのに高齢者は増え続けるという、社会のバランスが大きく変わる時代が到来します。

介護職員の必要数

年度必要数2022年(約215万人)との差
2026年度約240万人+約25万人
2030年度約252万人+約37万人
2035年度約262万人+約47万人
2040年度約272万人+約57万人

毎年約3万人ペースで介護職員を増やし続ける必要があります。これは年間で大学1学年分に相当する人数です。

認知症高齢者の増加

厚労省の「新オレンジプラン」によると、認知症高齢者は以下のペースで増加します。

年認知症高齢者数65歳以上に占める割合
2020年約600万人約16.7%(6人に1人)
2025年約700万人約19.0%(5人に1人)
2030年約830万人約22.5%
2040年約950万人約24.2%(4人に1人)

2040年には65歳以上の4人に1人が認知症。グループホームや認知症対応型デイサービスの需要が爆発的に増加し、認知症ケアの専門知識を持つ介護職員への需要がますます高まります。

世帯構造の変化 — 単身高齢世帯の急増

年単身高齢世帯数全世帯に占める割合
2020年約742万世帯約13.7%
2030年約796万世帯約15.3%
2040年約896万世帯約17.7%

一人暮らしの高齢者が増えれば、家族による介護は期待できません。訪問介護やサ高住など「在宅を支えるサービス」の需要が急増し、これらの分野で働く介護職員の需要も高まります。

介護保険の財政問題

介護保険の総費用は2020年度の約11兆円から、2040年度には約25兆円に倍増すると予測されています。40歳以上が支払う介護保険料も上昇が続いており、制度の持続可能性が大きな課題です。介護報酬の引き上げ(=介護職の待遇改善)と、保険料負担のバランスが問われています。

2040年に向けて深刻化する5つの課題

2040年に向けて、介護業界は以下の課題に直面します。深刻な問題ですが、課題を知ることで「何に備えるべきか」が見えてきます。

1. 介護職員57万人の不足

2022年の約215万人から約272万人へ、毎年約3万人ペースで増やし続ける必要があります。しかし少子化で若い世代の労働人口は減少中。「人を増やす」だけでは解決できない構造的な問題です。

この不足を補うために、①処遇改善で他産業から人材を呼び込む②外国人介護職員の受け入れ拡大③ICT・ロボットで1人当たりの生産性を上げる④介護助手(身体介護を含まない周辺業務担当)の活用⑤シニア世代・主婦層の掘り起こし——の5つの対策が並行して進められています。

2. 認知症高齢者の急増

認知症高齢者は2025年の約700万人から2040年には約950万人に。65歳以上の4人に1人が認知症という時代が到来します。

認知症の種類も多様化しており、アルツハイマー型だけでなくレビー小体型、前頭側頭型など、それぞれに異なるケアが求められます。認知症ケアの専門知識を持つ介護職員への需要は爆発的に増加し、認知症ケア専門士や認知症介護実践者研修の価値はますます高まります。

3. 単身高齢世帯の急増

2040年には全世帯の約40%が単身世帯になると予測されています。かつては「家族が介護する」のが当たり前でしたが、一人暮らしの高齢者が増えれば家族による在宅介護は期待できません。

訪問介護やサ高住への需要が急増し、在宅生活を支える介護サービスの重要性がさらに高まります。訪問介護の処遇改善加算率は全サービス中最高(24.5%)で、需要と待遇の両面で魅力的な選択肢です。

4. 老老介護・認認介護の深刻化

高齢者が高齢者を介護する「老老介護」は在宅介護世帯の約6割に達しています。さらに認知症の人が認知症の人を介護する「認認介護」も増加。2040年にはこれがさらに深刻化し、家庭内での介護が限界を迎えるケースが急増します。

専門職による介護サービスの需要が高まり、介護職員の役割はますます重要に。地域包括支援センターと連携した「早期発見・早期介入」が鍵になります。

5. 介護施設の倒産増加と二極化

人手不足と物価高騰で経営が悪化する施設が増加。2024年の介護事業所の倒産件数は過去最多を更新しました。特に訪問介護事業所の休止・廃止が深刻で、2024年6〜8月の3ヶ月間で166件が休止、397件が廃止。

一方で大手法人は規模のメリットを活かして存続・拡大しており、「施設の二極化」が進んでいます。転職先を選ぶ際は「運営母体の規模」と「経営の安定性」を確認することが重要です。社会福祉法人は利益を株主に分配する必要がなく、経営が安定しています。

介護職にとってのポジティブな影響

介護職へのポジティブな影響のイラスト

ここまで課題を並べましたが、介護職員にとっては「ピンチ」ではなく「チャンス」です。その理由を4つの観点から解説します。

1. 雇用の超安定化 — AIに奪われない仕事

需要が増え続ける介護業界は、景気に左右されない超安定産業です。リーマンショックやコロナ禍でも介護の求人は減りませんでした。さらに、介護は「人の手によるケア」が必要な仕事のため、AIに完全に代替されるリスクは極めて低いです。

オックスフォード大学の研究では、「介護職がAIに代替される確率は約3.5%」と、全職業の中で最も低い部類に入っています。2040年以降も「なくならない仕事」の筆頭です。

2. 待遇改善の加速 — 他産業並みの給与へ

57万人の人材を確保するには、他産業と競争できる待遇が不可欠です。政府は「他産業と遜色ない賃金水準」を目標に掲げ、2012年以降毎年のように処遇改善を実施しています。

年施策月額効果
2012年処遇改善加算創設+約1.5万円
2019年特定処遇改善加算+約8,000円
2024年加算一本化・拡充+最大4万円
2025年12月3階建て補助金+最大1.9万円
2026年6月臨時改定(2.03%引き上げ)+約1万円(恒久化)

2012年と比較すると処遇改善だけで月額5〜6万円の上乗せ。このペースが続けば、2040年には介護職の平均年収が全産業平均に近づく可能性があります。

3. ICT・ロボットで業務効率化 — 「きつい」が減る

タブレット記録、見守りセンサー、排泄予測AI、介護ロボット(移乗支援)の導入が加速しています。2026年の臨時改定では「生産性向上推進体制加算」が強化され、ICT導入に取り組む施設ほど加算率が高い仕組みに。これにより記録業務の時間が半減し、夜勤の精神的負担が軽減され、腰痛リスクも低下。「介護=きつい」というイメージは大きく変わるでしょう。

4. 多様な働き方の拡大 — 辞めなくても働き方を変えられる

パート・派遣・夜勤専従・週休3日制・テレワーク(ケアマネ)など、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方がさらに広がります。育児中はパート、子どもが大きくなったら正社員、体力が落ちたらデイサービスに移動——同じ業界内でキャリアを継続しながら働き方だけを変えられるのは、介護業界ならではの強みです。

2040年の地域別の高齢化 — 都市部と地方で異なる課題

2040年の高齢化は全国一律ではありません。都市部と地方で全く異なる課題を抱えています。

都市部(東京・大阪・名古屋等)の課題

  • 高齢者人口が急増:団塊世代が集中して暮らす都市部で、後期高齢者が爆発的に増加
  • 施設不足:特養の入居待機者が増加し、在宅介護のニーズが急拡大
  • 介護職の奪い合い:他産業との人材競争が激化。給与の引き上げが必須
  • 家賃が高い:介護職の給与では都市部の生活コストが厳しい。住宅手当・居住支援の重要性が増す

都市部では「介護職の待遇が他産業に追いつかなければ、人材が確保できない」という危機感が強く、待遇改善が最も進む地域になると予想されます。

地方(中山間地域・離島等)の課題

  • 高齢者は横ばい〜減少:人口減少で高齢者数自体は増えない地域も
  • しかし現役世代はさらに減少:支え手不足がより深刻。1人の介護職が多数の利用者を担当
  • 訪問介護の移動距離:利用者宅が点在し、移動時間がサービス時間を上回ることも
  • 事業所の廃止:小規模事業所が経営難で撤退。介護サービスの「空白地帯」が発生

地方ではICT(オンライン見守り・遠隔ケア)やドローン活用など、テクノロジーによるサービス提供の革新が不可欠になります。

介護職としてのキャリア選択への影響

地域介護職のメリットデメリット
都市部求人豊富、給与が高め、施設の選択肢が多い生活コストが高い、競争が激しい
地方生活コストが安い、実質手取りが都市部並み、UIターン支援金あり求人が限られる、移動距離が長い

2025年12月からの賃上げは全国一律のため、生活コストが安い地方ほど実質的な恩恵が大きいです。UIターンで地方の介護職に就くことは、2040年に向けた賢い選択肢の一つです。

国の対策 — 2040年に向けた6つの施策

政府は2040年問題に向けて、以下の対策を進めています。介護職員にとっては「追い風」となる施策が多いです。

1. 処遇改善の継続・拡大

2012年以降の処遇改善加算により、介護職員の月給は約5〜6万円上昇。2025年12月からの3階建て賃上げ(最大月1.9万円)、2026年6月の臨時改定(2.03%引き上げ)と、賃上げの流れは加速しています。政府は「他産業と遜色ない賃金水準」を目指しており、今後も継続的な処遇改善が見込まれます。

2. 介護DXの推進

ICT・AI・介護ロボットの導入を国を挙げて推進。全都道府県で「ICT・介護ロボット購入補助金」を実施しており、タブレット記録、見守りセンサー、排泄予測AI、介護ロボット(移乗支援)などの導入が加速しています。2026年の臨時改定では「生産性向上推進体制加算」が強化され、ICT導入に取り組む施設ほど加算率が高い仕組みになっています。

3. 外国人介護人材の受け入れ拡大

EPA・技能実習・特定技能・在留資格「介護」の4つのルートで外国人介護職員の受け入れが拡大中。2026年のパート合格制度も外国人の介護福祉士取得を後押しする狙いがあります。在留資格「介護」を取得すれば無期限で日本に滞在でき、家族帯同も可能です。

4. 地域包括ケアシステムの深化

高齢者が住み慣れた地域で最期まで暮らせるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援を一体的に提供する仕組みを構築中。地域包括支援センターを中心に、多職種連携が進められています。介護職員にとっては「チーム医療の一員」として活躍する場が広がります。

5. 多様な人材の活用

シニア世代、主婦層、障害者、ボランティアなど、多様な人材を介護に取り込む取り組みが進んでいます。「介護助手」制度(身体介護を含まない周辺業務を担う職種)の普及もその一環です。

6. 介護予防の強化

「介護が必要になる前に予防する」という考え方が広がっています。介護予防運動指導員やフレイル予防の取り組みにより、要介護者の増加ペースを抑制。介護職にとっては「予防分野」という新しいキャリアの選択肢も広がっています。

ICT・ロボット導入で介護の仕事はどう変わる?

2040年に57万人を「人の力だけ」で確保するのは不可能です。テクノロジーで補える部分はテクノロジーに任せ、人にしかできないケアに集中する——これが2040年の介護の姿です。

導入が進むテクノロジーと業務への影響

テクノロジー業務への影響職員のメリット
タブレット記録手書き記録が不要に記録時間50%削減、残業減少
見守りセンサー巡回頻度の最適化夜勤の精神的負担軽減
排泄予測AIおむつ交換タイミングの最適化不要な巡回の削減、利用者の快適性向上
インカム・チャット口頭申し送りの効率化申し送り時間70%削減
介護ロボット(移乗支援)力仕事の負担軽減腰痛リスク大幅減、少人数での介助が可能
ケアプランAIケアプラン作成の補助ケアマネの事務作業削減
介護情報基盤多職種間の情報共有自動化2026年4月運用開始。FAX・電話連絡が不要に

ICTで「なくなる業務」と「残る業務」

なくなる(自動化される)業務残る(人にしかできない)業務
手書き記録の作成利用者との会話・傾聴
定時の巡回(センサーで代替)感情に寄り添うケア
シフト表の作成(AI最適化)認知症ケアの臨機応変な対応
介護報酬の請求計算看取りケア・グリーフケア
口頭の申し送り利用者の小さな変化に気づく観察力

AIやロボットが「介護職の仕事を奪う」のではなく、「事務作業を代わりにやってくれる」のが正確な理解です。人にしかできない「心のケア」の価値はむしろ高まります。

今からできる3つの準備

2040年に「引く手あまた」の介護人材になるために、今から始められる具体的な準備を3つ紹介します。

1. 介護福祉士を取得する

2040年に最も需要が高いのは「高い専門性を持つ介護福祉士」です。パート合格制度(2026年開始)で取得のハードルは下がっており、働きながらでも2〜3年で合格を目指せます。

介護福祉士取得のメリット:

  • 月給が約6万円アップ(無資格との差)
  • リーダー・主任への昇進条件
  • 転職時に即戦力として評価
  • ケアマネジャー受験資格の取得
  • 2040年に約272万人必要とされる介護職員の中核を担う存在

取得ロードマップ:

  1. 入職(無資格OK)→初任者研修(1〜3ヶ月)
  2. 実務経験を積む(1〜2年目)
  3. 実務者研修を修了(2〜3年目)
  4. 実務経験3年で介護福祉士国家試験を受験(合格率78.3%)
  5. 不合格でもパート合格制度で翌年に再チャレンジ可能(有効期間3年)

2. ICTスキルを身につける

2040年の介護現場では、ICTスキルは「あると良い」ではなく「必須」になります。今から以下のスキルを身につけておきましょう。

スキル具体的な内容学び方
タブレット操作介護記録の入力、写真撮影自分のスマホで練習すればOK
データ連携ケアプランデータ連携システムの操作施設の研修で学べる
見守りセンサーアラートの確認、データの読み取り導入施設で実務を通じて習得
オンラインツールZoom等でのオンライン面談・研修無料のオンライン講座で練習

転職先を選ぶ際は、「生産性向上推進体制加算」を取得している施設がICT導入に積極的な施設の目印です。こうした施設で働けば、自然とICTスキルが身につきます。

3. 認知症ケアの専門性を高める

2040年には認知症高齢者が約950万人(65歳以上の4人に1人)に達します。認知症ケアの専門性は、2040年に最も価値がある介護スキルです。

段階的にステップアップできる認知症ケアの資格:

段階資格・研修取得条件特徴
入門認知症介護基礎研修なし(無資格者は義務)6時間のeラーニングで修了
中級認知症介護実践者研修実務2年以上GH管理者要件。約6日間
上級認知症ケア専門士実務3年以上民間資格。合格率約50%
リーダー認知症介護実践リーダー研修実践者研修修了+5年施設の認知症ケアリーダーに

認知症ケアの資格を持っていれば、グループホームの管理者要件を満たすことができ、管理職への昇進にも直結します。

介護職の社会的地位は2040年に向けて上がるか

「介護職は社会的に評価が低い」という声は根強いですが、2040年に向けて社会的地位は確実に上昇しています。

社会的地位が上がっている根拠

1. 国の最重要課題として位置づけ

政府の「骨太の方針」で介護人材確保は最重要課題と明記されています。他産業並みの待遇を目指す方針が打ち出されたことで、「介護職=低賃金」のイメージは過去のものになりつつあります。2012年以降、月給は約5〜6万円上昇し、2026年の臨時改定でさらに引き上げが進行中です。

2. 国家資格としての介護福祉士の価値向上

介護福祉士は国家資格として社会的な認知が進んでいます。パート合格制度の導入で受験者数の回復も期待されており、資格保有者の専門性はますます評価される方向です。介護福祉士の月給は無資格者より約6万円高く、資格取得のリターンは非常に大きいです。

3. 「エッセンシャルワーカー」としての認知

コロナ禍で「社会に不可欠な仕事」として介護職員の存在が広く認知されました。「社会を支えている」という自負を持てる仕事であり、その価値は2040年に向けてさらに高まります。医療従事者と同様に、介護職員は「最前線で命と暮らしを守る専門職」として社会的な評価が定着しつつあります。

4. キャリアパスの多様化

介護職員→リーダー→管理者→施設長、あるいは介護福祉士→ケアマネ→独立、さらには介護系ライター・講師・コンサルタントなど、キャリアの選択肢が広がっています。「介護職は一生現場」というイメージも変わりつつあります。

5. 海外からの注目と評価

日本の介護サービスは世界的に見ても質が高く、特に認知症ケアの分野では国際的に注目されています。アジア各国から日本の介護技術を学びに来る研修生も増加しており、「日本の介護=世界最高水準」という評価が広がっています。日本で介護の経験を積むことは、グローバルな視点でも価値のあるキャリアです。

しかし課題も残る

社会的地位の向上は進んでいますが、以下の課題は依然として存在します。

  • 全産業との賃金格差:改善は進んでいるが、まだ月額約3〜5万円の差がある
  • 「きつい・汚い・危険」のイメージ:ICT導入で改善中だが、まだ一般的なイメージは変わりきっていない
  • 社会保険の制度設計:介護保険料の上昇と介護報酬のバランスが課題
  • メディアでの取り上げ方:ネガティブなニュースが目立ちがちだが、実際には待遇改善やICT化で働きやすさは大幅に向上している

これらの課題は2040年に向けて改善が進むと予想されますが、介護職員自身が専門性を高め、キャリアアップを実現していくことが、社会的地位の向上にもつながります。「待遇が上がるのを待つ」だけでなく、「自分の市場価値を上げる」ことが、2040年に向けた最大の準備です。

2040年に「引く手あまた」の介護人材になるキャリア戦略

2040年に最も需要が高い介護人材になるための、具体的なキャリア戦略を年代別に紹介します。

20〜30代のキャリア戦略

ステップ内容時期
Step 1初任者研修取得→特養で身体介護スキルを磨く入職〜1年目
Step 2実務者研修修了→介護福祉士取得2〜4年目
Step 3リーダー・主任に昇進+認知症ケア専門士取得5〜7年目
Step 4ケアマネ取得 or 管理者8年目〜

20〜30代で始めれば、2040年には15〜25年のベテラン。管理職・エリアマネージャー・独立開業など、キャリアの選択肢は無限大です。

40代のキャリア戦略

ステップ内容時期
Step 1介護福祉士を最短で取得(パート合格制度活用)入職〜4年目
Step 2ICTスキルを磨く(タブレット記録・データ連携)並行して
Step 3管理者・サ責として施設運営に関わる5年目〜

40代は社会人経験をマネジメントに活かせる年代。2040年には介護業界で20年近いキャリアを持つことになり、施設長クラスも十分射程圏内です。

50代以上のキャリア戦略

ステップ内容時期
Step 1デイサービス・サ高住で無理なく始める入職〜
Step 2初任者研修→介護福祉士を段階的に取得1〜5年目
Step 3体力に合わせて施設形態を柔軟に切り替え定年後も

50代以上は「体力に合った持続可能な働き方」がキーワード。2040年に70代でも訪問介護のヘルパーやデイの調理員として活躍できます。

全年代共通:身につけるべき3つのスキル

  1. 介護福祉士:2040年に「高い専門性を持つ介護職員」の需要は爆発的に増加。パート合格制度で取得のハードルは下がっている
  2. ICTスキル:タブレット記録、見守りセンサー、ケアプランデータ連携。「ICTに強い介護職」は今後ますます重宝される
  3. 認知症ケアの専門性:認知症高齢者が950万人に達する2040年。認知症ケア専門士や認知症介護実践者研修は強力な差別化ポイント

この3つを持っている介護職員は、2040年に「最も価値の高い人材」として、年収500万円以上も十分に現実的です。

よくある質問

Q. 2040年に介護職は本当に足りなくなりますか?

A. 厚労省の推計では2040年に約272万人が必要で、2022年の約215万人から57万人の不足が予測されています。ただし、ICT導入や介護助手の活用、外国人材の受け入れ拡大で、不足幅は縮小する可能性もあります。いずれにしても介護職の需要は増え続けるため、雇用の安定性は極めて高いです。

Q. 介護職の給料は2040年に向けて上がりますか?

A. 上がる見込みが高いです。57万人を確保するには他産業と競争できる賃金が必要で、政府は「他産業と遜色ない水準」を目標に掲げています。2012年以降、処遇改善で月給は約5〜6万円上昇しており、このペースが続けば2040年には介護職の平均年収が全産業平均に近づく可能性があります。

Q. AIやロボットに介護職の仕事が奪われませんか?

A. 記録作成や巡回などの事務的・定型的な業務はAI・ロボットに代替される可能性がありますが、利用者との会話、感情に寄り添うケア、認知症ケア、看取りケアなど「人にしかできない仕事」は代替不可能です。オックスフォード大学の研究では介護職がAIに代替される確率は約3.5%と全職業で最低クラス。むしろICT導入により事務作業が減り、「本来のケア」に集中できる環境が整います。

Q. 今から介護職を始めるのは良いタイミングですか?

A. 非常に良いタイミングです。2025〜2026年の賃上げラッシュ、パート合格制度の開始、ICT導入の加速と、介護職にとって追い風が吹いている時期です。今から始めれば2040年には10年以上のベテランとなり、管理職や専門職として引く手あまたの人材になれます。

Q. 2040年に向けて今から何を準備すべきですか?

A. ①介護福祉士の資格取得(パート合格制度で取りやすく)②ICTスキルの習得(タブレット記録・データ連携)③認知症ケアの専門性(認知症ケア専門士等)の3つが最優先。これらを持っている介護職員は2040年に最も需要が高い人材です。

Q. 2025年問題と2040年問題の違いは?

A. 2025年問題は「団塊世代が75歳以上になり高齢者が増える」問題。2040年問題は「団塊ジュニアが65歳以上になり高齢者がピークに達する+支え手の現役世代が急減する」問題です。2040年は高齢者増+現役減のダブルパンチで、介護職員の不足数も2025年の約25万人から2040年の約57万人へと2倍以上に拡大します。

Q. 外国人介護職員は増えますか?

A. 増える見込みです。EPA・技能実習・特定技能・在留資格「介護」の4ルートで受け入れが拡大中。2026年のパート合格制度は外国人の介護福祉士取得を後押しする狙いもあります。日本人職員と外国人職員が協力してケアを提供する「多文化チーム」が2040年の介護現場のスタンダードになるでしょう。

Q. 介護施設の倒産が増えているのは心配ではないですか?

A. 小規模事業所の倒産は増えていますが、大手法人は拡大傾向にあります。転職先を選ぶ際は「運営母体の規模」「経営の安定性」「処遇改善加算の取得状況」をチェックすることで、倒産リスクの低い施設を選べます。社会福祉法人は特に経営が安定しています。

参考文献・出典

  • [1]
    介護人材確保の現状について- 厚生労働省

    2026年度に約240万人、2040年度に約272万人の介護職員が必要という推計データ

  • [2]
    将来推計人口(令和5年推計)- 国立社会保障・人口問題研究所

    2040年の高齢化率35.3%、総人口約1億1,092万人、単身世帯の増加予測

  • [3]
    認知症施策推進大綱(新オレンジプラン)- 厚生労働省

    2040年の認知症高齢者数約950万人の推計

  • [4]
    令和6年度 介護労働実態調査結果- 介護労働安定センター

    離職率12.4%、施設形態別離職率、定年制度の実態

  • [5]
    2040年に向けたサービス提供体制等のあり方- 厚生労働省

    地域別の高齢化の進行状況と介護サービス提供体制の課題

2040年問題は日本社会全体にとっては大きな課題ですが、介護職にとっては「需要増=雇用安定+待遇改善」のチャンスでもあります。今から介護業界でキャリアを築きたい方は、まず働き方診断で自分に合った介護の働き方を見つけることから始めましょう。

働き方診断では、あなたの年齢・経験・希望する働き方から、最適な施設タイプや雇用形態をご提案します。未経験から始める方も、経験者でキャリアアップを目指す方も、2040年に向けた最適なキャリアプランが見つかります。年齢や経験に関係なく、あなたの力が2040年の日本を支えます。診断は3分で完了、無料で何度でも利用できます。

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まとめ

この記事のポイントまとめ

テーマポイント
2040年問題とは高齢者人口ピーク(約3,900万人)+現役世代の急減。介護職員57万人不足
2025年問題との違い2025年は高齢者増だけ。2040年は高齢者増+現役世代減のダブルパンチ
深刻化する課題認知症950万人、単身高齢世帯900万、老老介護6割、施設倒産過去最多
介護職へのポジティブ影響雇用の超安定化、待遇改善の加速、ICTで負担軽減、多様な働き方拡大
国の対策処遇改善継続、介護DX推進、外国人材拡大、地域包括ケア、介護助手制度
ICTの影響事務作業はAIに代替。「人にしかできないケア」の価値はむしろ向上
今からの準備①介護福祉士取得②ICTスキル③認知症ケアの専門性

2040年問題は「危機」か「チャンス」か

2040年問題は日本社会全体にとっては深刻な課題ですが、介護職員にとっては「需要増=雇用安定+待遇改善」のチャンスでもあります。

2040年に向けて確実に言えることは3つ。①介護の仕事はなくならない(むしろ増える)②給料は上がり続ける③ICTで働きやすくなる。

今から介護福祉士を取得し、ICTスキルと認知症ケアの専門性を身につけておけば、2040年に「引く手あまた」の人材になれます。介護は「これから最も必要とされる仕事」です。社会のインフラを支えるやりがいと、安定した雇用・待遇を手に入れたい方は、介護業界への転職を検討してみてください。

まずは働き方診断で、あなたに合った介護の働き方を見つけることから始めましょう。

公開日: 2026年3月21日最終更新: 2026年3月21日

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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